美ST ONLINE 無料会員登録 あなたの「美生活」に役立つ情報お届けします

新着
2017.01.13

「カジノ解禁法」施行で他人事ではなくなる!? 「ギャンブル好き」と「ギャンブル依存症」の違いとは?

citrus

 

カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備を政府に促す「カジノ解禁法」が、自民、日本維新の会などの賛成多数で成立。12月26日に公布され、即日施行されました。これを受けて「国民の理解が得られていない」などとして、地方議会から廃止や慎重な制度設計を求める意見書が出ています。

 

慎重な議論を求めるひとつの理由に、ギャンブル依存症患者が増加する懸念があります。厚生労働省の研究班は、2014年8月、ギャンブルをしたい気持ちが抑えられない「ギャンブル依存」の人が536万人に上るという推計を発表しました。これは、成人人口の約5%にあたり、世界の多くの国の割合(1%前後)を大きく上回っており、パチンコやパチスロが身近な場所に普及していることの影響が指摘されています。ちなみに、日本のパチンコ産業の売上規模は年間20兆円を超えており、東京都の予算やスウェーデンの国家予算を上回ります

 

ギャンブル依存症とはどのような病気なのでしょうか。「ギャンブル好き」とは、どこがどう違うのでしょうか。

 

 

■そもそも「依存症」って?

 

依存症は、対象となるものや行為に異常に執着し、自分の意志ではやめられなくなる病気です。ギャンブルや買い物、インターネット、万引き、セックスなどの、行為に依存する「プロセス依存」のほか、アルコール、薬物(覚せい剤、処方薬等)、ニコチンなどに依存する「物質依存」や、ストーカー、DV、共依存など、相手を支配したりしがみついたりするなどして人から必要とされることに不健康に執着する「関係依存」があります。

 

始まりは「ストレス解消」のひとつの手段だったものが、次第にエスカレートし、それがなければイライラや不安が強くなり精神的に不安定になったり、物質依存の場合は離脱症状が出たりします。しかし、依存症は「否認の病」とも言われ、自分が病気だとは思っておらず「いつでもやめられる」と思っています。しかし、問題行動を引き起こし、何度も失敗を繰り返して「もう二度とやらない!」と決意するのも束の間、また同じことを繰り返してしまうのも依存症の特徴です。

 

以前は「アルコール中毒(アル中)」といったように「中毒」という言葉が使われてきましたが、「依存症」「嗜癖(アディクション)」という言い方が一般的になり、精神科の診断基準(DSM-5)では「ギャンブル障害」「アルコール使用障害」といった診断名に変わっています。

 

 

■ギャンブルはなぜ依存症になりやすいのか

 

物質や行為に依存するのは、そこに「快感」があるからです。依存行動により脳が「快感ホルモン」であるドーパミンを放出し、それが一種の「条件づけ」となっていると考えられています。条件づけには、ある行為を行うと、毎回同じ条件で報酬が与えられる「連続強化」と、気まぐれに報酬が与えられる「間欠強化」があり、間欠強化の方が、行為への執着が高まります。まじめに仕事をしていれば給料が上がっていくといった「連続強化」に対し、ランダムに勝ったり負けたりするギャンブルは「間欠強化」で、勝ち負けという強い興奮状態を伴うこともあり、依存になりやすいと言われています。

 

アルコール依存の場合は、肝機能に問題が出てくるなど、健康状態の悪化が「底つき」になり、治療開始のきっかけになることがありますが、ギャンブル依存の場合、自分の健康を損なうわけではなく、周囲にもバレにくいため依存が進行しやすいといった深刻さがあります。

 

 

■依存症患者を抱える家族の問題

 

ギャンブル依存に限らず、依存症をエスカレートさせる要因のひとつに、家族の「共依存」の問題があります。「お酒さえ飲まなければ、ギャンブルさえしなければ、暴力さえ振るわなければ、いい人なのよ」と、本人を庇う人に出会ったことがあるかもしれません。

 

たとえば、夫がギャンブル依存症で妻が専業主婦の場合、妻は夫の収入に頼るしかないため、夫の問題行動が会社に発覚する前にどうにかしてやめさせようとします。持ち歩くお金を制限したり、帰宅時間を管理したり、誓約書を書かせたりと、涙ぐましい努力を続けます。しかし、大の大人の行動を四六時中見張っておくわけにもいかず、お金を持たされていない夫は周囲の人に借金を重ねて信頼関係を損なったり、会社のお金に手をつけてしまったりします。そして、結局、子どもの教育資金として大事に貯めてきたお金を手渡したり、自分の実家に借金をしたりして、夫の尻ぬぐいをしてしまうのです。「これが最後よ」と言いながら、何度も何度も。

 

でも、それは依存症の夫にとっては「借金しても、妻が何とかしてくれる」という成功体験になってしまいます。借金を返さないと、会社のお金に手をつけたことがバレて懲戒免職になってしまう。退職金ももらえなくなり、生活が破綻してしまう。「そうなると、お前たちも困るだろ」と開き直るようになり、ギャンブルを止めるという決意にはなかなか繋がらないのです。そして妻たちは思っています。「いつか夫が自分のしていることに気づいて、謝ってくれるのではないか」。彼女たちは依存症の夫と同じように、改心するかどうかわからない夫に対し、大金を賭け続けているのです。家族の生活を人質に取られて。

 

 

■ギャンブル依存症からの回復とは

 

依存症から回復するには、まずは「自分ではやめられないのだ」と自覚し、治療に繋がることが大切です。依存症の治療は、自分の行動パターンを整理し、望ましい行動に変えていく「認知行動療法」という心理療法や、同じ問題を抱える人たちで定期的に集まって話し合う「自助グループ」が有効だと言われています。自助グループには、回復の色々な段階の人たちがいるため、自分がこれから回復していくイメージを抱きやすくなります。何より、同じ問題を抱えた人たちと思いを話し合うことが治療的だといわれています。また、ギャンブルにハマる人は、刺激を求める側面があるため、趣味を見つけたり、生活に変化を持たせることも有効です。なにかにどっぷりと依存してしまう人は、依存の対象が「それしかない」ため、病的な依存になってしまうのです。

 

周囲の家族ができることで、一番重要なのは「借金を肩代わりしない」ということです。「周囲にバレると恥ずかしい」と、家族で尻ぬぐいを繰り返すことが、依存症をエスカレートさせていきますので、なるべく早めに病院や都道府県の精神保健福祉センターなどに相談し「色々な人を巻き込む」ことが大切です。本人がなかなか治療に繋がらない場合、困っている家族が、病院などで開かれている「家族会」に参加しましょう。どのように治療に繋げたのか、法的な問題はどのように解決すればいいのかなど、当事者ならではの色々な話が聞けると思います。

 

依存症は本人の問題です。しかし、本人の問題と家族の問題の境界がグチャグチャになっている場合が多いので、問題に気づいた家族がカウンセリングを利用して問題を整理するのもいいでしょう。「もしかしてギャンブル依存では?」と、自分自身や家族に心当たりがある人は、ギャンブル依存症の自助グループ(GA)のHPにチェックリストがありますので、チェックしてみましょう。

 

福田由紀子

totop
Mail
Instagram
rss
美ST
美魔女
セレSTORY
STORY
光文社

Copyright© 2017 Kobunsha Co., Ltd. All Rights Reserved.