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2017.03.14

志村けんが動いた──ザ・ドリフターズが12年ぶりに復活した理由

citrus

 

2017年3月15日放送の『志村けんのだいじょぶだぁスペシャル』(フジ)でザ・ドリフターズが12年ぶりに復活する。

 

ケーブルテレビや動画サイトで70年代、80年代の全盛期の映像が頻繁に目にできるせいか、ドリフが過去のものになりつつある感覚は薄い。しかし、リーダーのいかりや長介さんはすでに亡く、最年長の高木ブーさんは御年84歳、加藤茶さん、仲本工事さんは70代半ば、最年少の志村けんさんでも67歳である。皆が皆、健康面で万全なわけではない。

 

また、これまで巷では「志村がドリフの活動を敬遠している」とささやかれることが多かった。今も冠番組を持つ第一線の大御所タレントとは言え、志村さんは元々がドリフターズのバンドボーイで加藤さんの付き人。いくら自分のキャリアの一部で愛や恩義を感じていても、今さら先輩に気をつかって仕事することには及び腰になってしまっただろうことは想像に難くない。

 

この二重のハードルを越えて、伝説のコントの現在進行形が観られるとは思ってもいなかった。

 

 

■3代目リーダー・いかりや長介の功績

 

ザ・ドリフターズは1956年結成。初めは岸部清さん(現・第一プロダクション代表)によって結成された、ウエスタン&カントリー、ロカビリーを演奏する本格バンドだった。2代目リーダー、桜井輝夫さんの時期にコミックバンドへの転向がはかられ、3代目リーダー、いかりやさんによって1965年にはいかりや長介、加藤茶、仲本工事、高木ブー、荒井注という現在よく知られる体制の原型が整い快進撃が始まった。

 

ザ・ビートルズ武道館公演(1966年)で前座を務めたかと思えば、シングル『ミヨちゃん』(1969年)、『ドリフのズンドコ節』(1969年)を大ヒットさせ、歴史に残るコント番組『8時だョ!全員集合』(TBS1969年~1985年)で国民的スターにのぼりつめ、1974年に荒井さんに代わって志村さんが加入して日本のお笑い界のレジェンドになった。

 

ドリフターズがこれほどに大成功をおさめることが出来たのは、ひとえにいかりやさんの功績と言っていいだろう。各メンバーのキャラクターを前面に出しながらも、三船敏郎や田宮二郎などの前世代のスター、沢田研二や前川清、キャンディーズ、松田聖子などの同世代、次世代のスターも”ゲスト”という枠にはめず、番組の主要キャラクターとして取り込んでいった、いかりやさんの手腕。下ネタもいとわず、大御所やアイドルが率先してドリフのコントに出たがるという構図を作るのは、人気や人柄だけでなせるものではない。メンバーや膨大な番組スタッフをまとめる統率力、各芸能プロダクションやテレビ局と交渉、調整する政治力、タレントの魅力を引き出す演出力など、実業家も顔負けのビジネス的な才覚が備わっていたゆえなのだ。

 

リーダー、いかりやさんが亡くなったのは2004年。グループとしては2005年の『中居正広のテレビ50年名番組だョ!全員集合笑った泣いた感動したあのシーンをもう一度 夢の総決算スペシャル』(TBS)に残る四人が集結して以来、活動がなかった。そんな彼らが今回、実に12年ぶりにコントを披露してくれるというのだ。

 

 

■復活を呼びかけた志村けん、何を思いアクションを起こしたのか

 

番組収録後に開かれた記者会見によると、今回の復活を呼びかけたのは志村さんだという。長年、ドリフターズを見守ってきた所属事務所社長、井澤健さんと相談し“みんな喜ぶだろう”という向きで企画が進んだとのこと。仮に、先述した「志村がドリフの活動を敬遠している」説が真実とすると、なにが志村さんをドリフターズ復活に突き動かしたのだろうか。筆者の推測にすぎないが、それはメンバーの健康状態と、本格コント番組が減少の一途をたどる現代へアンチテーゼだと思う。

 

仲本さんはイメージ通り健康そのもののようだが、加藤さんが2006年に大動脈解離を患って以来、体調を崩しがちなことはよく知られている。高木さんも変形性ひざ関節症などの持病がある。志村さん自身、2016年8月に肺炎のため舞台『志村魂』を降板するという体調トラブルがあった。「やれるうちにやっておかないと」という気持ち、そしてなにより、現代のお笑いファンに「ドリフはこういうことをやってきたんだ」と投げかけたい気持ちが志村さんに火をつけたのではないだろうか。

 

『寝台車』『花粉症』『歌舞伎(ドラマ撮影)』……計三本のコント収録を通してそれなりに年齢は感じたものの、まだまだやれる、やりたいという思いを強くしたという四人。いきなり定期的なスケジュールを組むのは難しいだろうが、加藤さんの「年に1回は仕事じゃなく集まって、酒でも飲んだら良いんじゃないかな」という提案あたりからぼちぼちと実現して、少しでもドリフターズとしての軌跡を長く残していただきたいものだ。

シンガーソングライター/音楽評論家 中将タカノリ

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