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2017.07.13

F1にターボ旋風を巻き起こした「黄色いティーポット」

citrus

 

「幸せの黄色いティーポット」と呼んでいいものかどうか……。


ルノーはF1参戦40周年を記念して、黄色いティーポットを製作し、発表した。正式には英語でYellow Teapot(イエロー・ティーポット)と言う。紅茶を入れるためのポット(洋式の急須)だ。


イエロー・ティーポットは、F1におけるルノーの歴史と関連がある。フランスの自動車メーカー、ルノーがF1に初めて参戦したのは、1977年のことだった。ルノーのコーポレートカラーであるイエローのカラーリングをまとった車両で参戦した。RS01である。


ルノーはF1に参戦するにあたり、革新的な技術を持ち込んでいた。ターボチャージャーだ。エンジンの排気でタービンを高速回転させ、その勢いで同軸にあるコンプレッサーを駆動し、エンジンの燃焼で用いる吸気を圧縮する。すると、エンジンは排気量が示す数字以上に空気(より正確には酸素分子)を取り込むことができ、出力が向上する。


新規参入コンストラクターのルノーは、ターボを初めてF1に持ち込むことによって技術的優位に立つ目算でいた。大きな出力が得られるターボ技術はやがて大流行。ホンダと組んだマクラーレンが1988年に16戦15勝を挙げることができたのは、ホンダのターボパワーに負うところが大きい。


ターボエンジンの威力があまりにも強くなりすぎたために1988年限りでターボの使用は禁止され、89年以降はターボのような過給機の力に頼らない自然吸気エンジンに一本化された。ところが、2014年以降はターボエンジンとすることが義務づけられている。かつてのターボは出力を高めるための手段にすぎなかったが、現代のターボはエンジンの効率を高める技術として見直されているからだ。世界各地のレースカテゴリーでターボエンジンが重用されているのはそのためだ。市販車用のターボエンジンが増えているのも同じ理由である。


初めてターボエンジンを積んだ国産車は、1979年の日産グロリア・ターボだった。ルノーはその2年前に、F1にターボ技術を持ち込んだ。当然、技術はまだ未熟で、よく壊れた。

 

 

■ルノーの「イエロー・ティーポット」がF1の一時代を築いた


1.5L・V6ターボエンジンを搭載したルノーRS01のデビュー戦は、1977年のイギリス・グランプリだった。レースで壊れることもあったし、練習走行で壊れることもあった。そんなときは激しく煙を吹き上げた。


その様子を、紅茶を愛する国、すなわちイギリス出身のケン・ティレルは眺めてこう言った。「まるで黄色いティーポットのようだな」と。イギリス人特有の、皮肉を含んだジョークといったところだろうか。「あんなもん、モノにならないよ」と。以来、「イエロー・ティーポット」の呼称はサーキットを飛び越えて浸透し、皮肉と一緒に親しみを込めて使われるようになった。


命名者のケン・ティレルは名門F1チームの創設者である。1976年に富士スピードウェイで開催された日本初のF1グランプリで走った「6輪たいれる」のティレルである。1990年と91年は中嶋悟が所属、93年~96年は片山右京、98年には高木虎之介が所属し、日本人になじみの深いチームだった(98年限りで消滅)。


ルノーは1979年のフランスGPで初優勝を遂げる。タイトルを獲得するには至らなかったが、ルノーが先鞭を付けたターボエンジンの実力は徐々に認められて浸透し、フェラーリやBMW、ホンダらが高出力のターボエンジンを開発してF1界を席巻した。

 

40個限定発売される「イエロー・ティーポット」。120ユーロ也


F1で一時代を築いたターボエンジン。きっかけを作ったのはルノーであり、イエロー・ティーポットだったのは間違いない。その功績をたたえるため(?)、ルノーは現代のセンスでホンモノのイエロー・ティーポット(文字通り、紅茶を入れる容器である)をデザインし、制作した。


イメージしたのは1977年のルノーRS01と、2017年の最新F1マシン、RS17である。取っ手のカーボンはRS17のカーボン製ボディワークからの引用だろう。フタの部分は、F1マシンのコクピット風。注ぎ口はノーズを連想させる。フランスのエスプリがきいた一品と言えるだろうか。

 

「イエロー・ティーポット」は、1977年のルノーRS01(写真上)と2017年の最新F1マシンRS17(写真下)をモチーフにしている


現物を確かめたい方は、パリはシャンゼリゼ通りにあるルノーのショールーム「アトリエ・ルノー(Atelier Renault)」へどうぞ。ここのレストランで9月からイエロー・ティーポットを使う予定だそう。


また、アトリエ・ルノーでは9月上旬から40個限定(40周年記念商品だからか)でイエロー・ティーポットの販売(129ユーロ)を予定している。売り切れ必至とみた。


 

モータリングライター&エディター 世良耕太

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