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2017.08.15

【中年スーパーカー図鑑】カウンタックと人気を二分した70年代フェラーリのフラッグシップ

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好評企画「中年名車図鑑」と並ぶ名車シリーズの第2弾として、「中年スーパーカー図鑑」を始動させる。メインとして取り上げるのは、“スーパーカー”と呼ばれる1970年代に隆盛を極めたスーパースポーツ群。第1回目は、スーパーカーの代名詞的な存在といえるフェラーリ365GT4BB(1973年デビュー)/512BB(1976年デビュー)で一席。

 

 

【Vol.1 フェラーリ365GT4BB/512BB】


排出ガス規制や省エネの対応に汗を流していた1970年代中盤の日本の自動車産業。一方で子供たちのあいだでは、クルマに関する一大ムーブメントが巻き起こっていた。1976年ごろから1978年あたりにかけて流行した“スーパーカー”ブームである。

 

 

■ブームにあやかって、消しゴム、お菓子、クイズまで!


岩波書店発行の広辞苑では「高出力・高性能で、特徴的なデザインのスポーツカー」と解説されるスーパーカー(super car)。いわゆる超高性能スポーツカーをスーパーカーと呼ぶようになったのは、欧米の自動車雑誌でフェラーリやランボルギーニといったブランドのスポーツカーおよびGTカーを“super car”と表現するようになったことが端緒と言われている。また、イギリスのAPフィルムズが制作したスーパーマリオネーションの『スーパーカー』も、名称の普及に大きな役割を果たした。

 

「スーパーカー」の代表格として絶大な人気を誇ったフェラーリ365GT4BB。当時は、スーパーカーショップや周囲の幹線道路にカメラをぶら下げた子どもたちが集まり、ひとつの社会現象となった


日本におけるスーパーカーのブームは、池沢さとし(池沢 早人師)さん作の漫画『サーキットの狼』などが大きな影響を与える。スーパーカーと呼ばれたモデルはフェラーリBBシリーズやディーノ246GT、ランボルギーニのカウンタックとミウラ/イオタ、マセラティのボーラとメラク、ポルシェ911(930)ターボ、デ・トマソ・パンテーラ、ロータス・ヨーロッパ、ランチア・ストラトスなど。いずれのモデルも、当時の国産車にはない華やかなでスーパーなムードを醸し出していた。イベント会社では、これらのスーパーカーを集めた撮影会などを実施。また、スーパーカーを扱うショップや周辺の道路などにも、子供たちが頻繁に詰めかけた。スーパーカー・ブームを支えたのは、クルマ本体だけではなかった。ブームに目をつけた玩具メーカーや食品メーカー等が、スーパーカー消しゴムやカード、スーパーカーを描いた王冠付きの飲料水などを販売し、大ヒット商品に発展させる。スーパーカーのプラモデルやミニカー、ラジコンカーなども多数登場。さらに、TVでは『対決!スーパーカークイズ』が放映され、高い人気を獲得した。

 

 

■カウンタックLP400よりも最高時速は2km/h上回っていた…


スーパーカー・ブームの主役の1台として熱い支持を集めたのが、フェラーリが製造する365GT4BBとその発展版の512BBだった。フェラーリは1969年にフィアットの傘下に入り(フィアットがフェラーリの株式の50%を取得)、市販車部門をフィアットの管理下に置く一方でレース部門であるスクーデリア・フェラーリの運営を強化および安定化させる。その体制下の1971年に市販車の旗艦スポーツモデルである365GT4BBを発表し、入念な車両実験を経て1973年より販売をスタートさせた。

 

BBは=ベルリネッタ・ボクサー(Berlinetta=クーペ、Boxer=水平対向エンジン)の略。4390cc水平対向12気筒DOHCエンジンをミッドシップに搭載する

 

車名の365GT4BBは、365=1気筒当たりのエンジン排気量、4=4カムシャフト、BB=ベルリネッタ・ボクサー(Berlinetta=クーペ、Boxer=水平対向エンジン)を意味する。縦置きにミッドシップ搭載されたエンジンは365GTB/4デイトナ用のV12ユニットを基にバンク角を180度にまで広げた“ティーポF102”4390cc水平対向12気筒DOHC(正確には180度V型12気筒DOHC)で、パワー&トルクは380hp/44.0kg・mを発生。エンジン下には5速MTのギアボックスおよびファイナルユニットをレイアウトする。基本骨格は楕円断面鋼管などを採用したコクピットセクションに、角断面鋼管による前後サブフレームを組んで構成。前後カウルやドアにはアルミ材、ホイールアーチやセンタートンネル、トランクルームなどにはFRP材を使用して軽量化を図った。サスペンションには前後ダブルウィッシュボーン/コイルをセット。ブレーキには4輪ベンチレーテッドディスクを装備した。


車両デザインはカロッツェリア・ピニンファリーナのチーフデザイナーであるレオナルド・フィオラヴァンティ(Leonardo Fioravanti)が担当する。視覚的な美しさとボリューム感、そしてMRレイアウトならではの機能を融合させたスタイルは、見る者を大いに惹きつけた。トリノ工科大学の風洞実験室を使って完成させた空力フォルムも訴求点で、Cd値(空気抵抗係数)は0.38という優秀な数値を実現する。一方で内包するインテリアは、上質かつ機能的なデザインで構成。黒地にアンバーカラーで表示されるメーター類は航空機から応用してアレンジされ、またバケットタイプのシートは当初がスライド機構のみ、後にリクライニング機構付きが組み込まれた。

 

1973年式の365GT4BB。後の512BBと違い、マフラーエンドは左右6本のスタイル


365GT4BBはメーカー公表の最高速度でも注目を集める。発表された数値は302km/h。これは半年ほど前に登場していたランボルギーニ・カウンタックLP400を2km/h上回っており、当時の世界最速だった。ただし、自動車雑誌などが実施したテストでは270km/h前後という結果だったのだが……。


1976年になると、アメリカの排出ガス規制に対応するためにエンジン排気量を4942ccにまで拡大した512BBがデビューする。5リッター・12気筒を意味する車名を冠した新世代BBは、最高出力が380hpから360hp(1980年には340hpに修正)にダウンしたものの、最大トルクは44.0kg・mから46.0kg・mとアップし、低回転域での扱いやすさが向上していた。また、クラッチはワイヤー式のシングルプレートから油圧式のツインプレートに変更。ラジエター容量は拡大され、電動ファンも2個から3個に増設された。

 

デザインはピニンファリーナのレオナルド・フィオラヴァンティ。ボリューム感たっぷりの流麗なスタイルは、カウンタックと好対照だった


内外装デザインも一部変更を受ける。エクステリアではフロントスポイラーやサイドNACAダクトの設定、テールランプの片側2灯式(従来は3灯式)および大型化、マフラーエンドの左右4本化(従来は6本)、リアホイールの拡大(7.5→9インチ)およびタイヤサイズの変更(215/70VR15→225/70VR15)、リアカウルの延長およびスリットの増設などを実施。インテリアではパワーウィンドウスイッチの移設やサンバイザーの変更などを行った。

 

365GT4BBのインテリア。512BBとはサンバイザーやパワーウィンドウスイッチ等の場所が異なる


1981年には燃料供給装置をウェーバー製トリプルチョークキャブレターからボッシュ製Kジェトロニックインジェクションに換装した512BBiに移行する。パワー&トルクは340hp/46.0kg・mと変わらないものの、特性としてはよりマイルドで信頼性の高い方向へと刷新。また、フロントウィンカーカバーのオレンジへの統一や電動ファンの送風方向の変更、ボディのワンカラー化(従来はボディ下部がブラックのツートンカラー)などを実施した。


フェラーリの旗艦スポーツモデルであるBBシリーズは、1984年まで生産。以降はテスタロッサがその地位に就く。生産台数は365GT4BBが387台、512BBが929台、512BBiが1007台だった。

 

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大貫直次郎

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