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2017.09.01

【中年名車図鑑】走り重視のスバリストから、若い女性にまで愛されたスバルの名“中間”車

citrus

米国ドラマの『ツイン・ピークス』が25年ぶりに復活した。主演はもちろんカイル・マクラクラン。日本のクルマ好きにとってカイルといえば……そう、初代インプレッサのイメージキャラクターだ。今回はクーパー捜査官の再登場を記念して、“NEW DRIVER'S BASIC”を謳って市場に放たれた六連星の小型セダン&スポーツワゴンのインプレッサ(1992年デビュー)で一席。

 

 

【Vol.31 初代スバル・インプレッサ】


軽自動車から小型車へのスムーズな上級移行──富士重工業がこの車種展開の形成を目指したのは、1970年代にまで遡る。当時の富士重工業の乗用車は、軽自動車のレックスと小型車のレオーネの二本立てだった。1984年2月にはリッターカーのジャスティをデビューさせたが、販売台数は思うように伸びない。また、1980年代半ばにはレオーネの実質的な後を継ぐ主力車種として1.8~2リッター級のレガシィを開発する旨が決定され、市販時には同社の軽自動車と小型車の間はさらに広がってしまうことが確実となった。1990年代に向けて、1.5リッター~クラスの新しい中間車を早急に設定しなければならない──。海外進出の出遅れや国内での販売不振による経営難、さらにアメリカでのスバル・イスズ・オートモティブ(SIA)の設立などで見送られていた中間車構想は、1987年に再スタートを切ることとなった。

 

 

 ■開発メンバーがWRXばかりに注力してしまう?


新しい中間車を企画するに当たり、富士重工業のスタッフは開発中のレガシィのプラットフォームをベースに、排気量を1.5リッターまで縮小した水平対向エンジンを搭載する案を打ち出す。ボディ形状に関しては当初はセダンのみの1車型を予定していたが、ライバル車との差異化やユーザーが求める“スバルらしさ”を追求した結果、コンパクトなラゲッジを持つワゴンの設定も決断した。


ちなみに、後にWRC(世界ラリー選手権)にも参戦する高性能スポーツモデルのWRX系は、初期の段階では開発現場にその設定を伝えていなかったという。当時のスタッフによると、「開発メンバーはもともと走り好きがそろっていたため、WRX系に開発のウエイトが集中してしまう可能性があった。だからベーシックモデルの完成に一定の目途が立った後、商品企画から開発部門に高性能モデルの設定を伝え、WRX系の開発を本格化させた」という。またWRXというグレード名についても、「WRCへの参戦を前提にした未知の高性能車Xということで、開発時からWRXと呼んでいたが、それが市販時にそのまま使われた」そうだ。

 

 

■2つのボディ体系で市販を開始

 

サッシュレス4ドアのセダン。車名は“印象”などの意を持つ英語の“impression”に由来する


富士重工業の新しい小型車は、レオーネの販売を中止した翌年の1992年10月に発表、翌11月に発売する。車名は“印象”などの意を持つ英語の“impression”に由来する「インプレッサ(IMPREZA)」と名乗った。ボディタイプはサッシュレス4ドアのセダンとコンパクトなラゲッジを備えたスポーツワゴンの2タイプをラインアップ。エンジンは全車とも水平対向4気筒ユニットで、初代レガシィから引き継いで改良を加えたEJ20型1994cc・DOHC16Vターボを筆頭にEJ18型1820cc・OHC16V、EJ16型1597cc・OHC16V、EJ15型1493cc・OHC16Vを設定する。駆動方式に関しては、MTモデルにビスカスLSD付きのセンターデフ式4WDを、ATモデルにはトルクスプリット式の4WDを組み合わせ、EJ16とEJ15エンジンにはFF仕様も用意した。


シリーズの最強版で、かつWRCグループAのホモロゲーションモデルとなるセダンボディのWRXは、ロードカーバージョンのWRXとコンペティション仕様のWRXタイプRAを設定する。搭載エンジンはEJ20型1994cc水平対向4気筒DOHC16Vをベースに専用チューニングの水冷式ターボチャージャーやダイレクトプッシュ式バルブ駆動などを組み込んだ強力ユニットで、パワー&トルクは240ps/31.0kg・mを発生した。組み合わせるトランスミッションは油圧レリーズ式プルタイプクラッチを装備した専用クロスレシオの5速MT。駆動機構には強化版のビスカスLSD付きセンターデフ式4WDを採用した。一方で開発陣は、シャシーのセッティングにも徹底してこだわる。サスペンションはアームやブッシュ類を強化するとともに、ダンパーおよびスプリングにハードタイプを装着。ボディは曲げとねじれともに剛性を引き上げ、同時にアルミ製フロントフードを導入するなどして軽量化を図った。

 

ベーシックなワゴンモデルは若い女性からの支持も高かった。ラゲッジスペースはコンパクト


富士重工業が大きな期待を込めて市場に送り出した新しい中間車は、好感を持ってユーザーに受け入れられる。とくに人気が高かったのがスポーツグレードのWRX系とベーシックワゴンのCS/CX系で、WRX系は走りを重視するスバリストたちに、CS/CX系は女性を中心とした若者層に高く支持された。

 

 

■“全性能モデルチェンジ”を敢行


高い人気を獲得し、新しいユーザー層も開拓したGC/GF型系インプレッサは、その勢いを維持しようと、精力的にイメージの強化とラインアップの拡充を図っていく。1993年8月にはインプレッサWRXを駆ってWRCに参戦。そのベースモデルとなるWRX-STiも1994年1月に発売し、後に緻密なマイナーチェンジを毎年繰り返してポテンシャルを高めていった。スポーツワゴンに関しては、1993年10月に高性能モデルのWRXグレードを設定。このときにターボエンジンとATが組み合わされ、駆動機構には遊星ギア式センターデフを持つVTD-4WDが採用された。

 

インプレッサの代名詞ともいえるWRX。「WRCへの参戦を前提にした未知の高性能車X」として名付けられた

インプレッサのリファインはまだまだ続く。1994年10月にはマイナーチェンジを実施して内外装の新鮮味をアップ。同時にセダンWRX系のパワー向上(240ps→260ps)も図る。1995年1月には輸出向けの2ドアクーペを「リトナ」のネーミングで国内投入。さらに同年10月には、スポーツワゴンをSUV風に仕立てた「グラベルEX」を発売した。


他メーカーのクルマではフルモデルチェンジをむかえる場合が多いデビュー4年後の1996年10月、富士重工業はインプレッサを新型に切り替えず、“全性能モデルチェンジ”と称するビッグマイナーチェンジを敢行する。当時の開発スタッフによると、「バブル景気の崩壊で全面改良に充てる資金がままならなかったこともあるが、開発側としては現行モデルでもまだまだやることはたくさんあると判断した」という。その言葉通り、全性能モデルチェンジ版の新インプレッサは魅力にあふれていた。フロントマスクおよびリアセクションの造形はより精悍になり、内装の質感や機能性も向上する。さらにWRX系のエンジンは、国内自主規制の280psにまでパワーアップした。この間、インプレッサはWRCの舞台でも活躍し続け、1995年から’97年まで連続してマニュファクチャラーズタイトルを獲得するという日本車初の偉業を成し遂げた。


全性能モデルチェンジ以後もインプレッサの改良は続けられ、1998年3月にはEJ22改(2212cc水平対向4気筒DOHC16Vインタークーラーターボ)エンジンを積んだ22B-STiの発売を、1998年9月には内外装の変更と機能パーツの強化を図ったマイナーチェンジを、1998年12月にはスポーツワゴンをレトロ調に仕立てた「カサブランカ」の限定販売などを実施する。そして2000年8月にはついに全面改良が行われ、2代目となるGD/GG型系に移行したのである。

 

 

■レガシィで成功した“米国俳優路線”を踏襲

 

WRXのインテリア。ナルディステアリング&シフトノブを装備していた


ところで、インプレッサの兄貴分で富士重工業の起死回生作となった初代レガシィは、その人気の要因のひとつとして、ハリウッド俳優のブルース・ウィリスをイメージキャラクターに起用した広告戦略があげられる。ブルースがレガシィの広告に登場したのは1991年6月のマイナーチェンジモデルから。“ツーリング・ブルース”というキャッチコピーを背景に渋くきめるカットが、クルマ好きのみならず映画ファンなどからも大注目を浴びた。このレガシィの路線に倣って、インプレッサでもアメリカの人気俳優がイメージキャラクターに起用される。最初に登場したのは、テレビドラマの『ツイン・ピークス』や映画『ヒドゥン』などの主演で注目を集めたカイル・マクラクラン。知的で二枚目の実力派を、新しい基幹モデルに抜擢したのである。また、1996年のマイナーチェンジからは映画『シザーハンズ』や『若草物語』などに出演して人気を高めていたウィノナ・ライダーが担当。キュートで活発なノニーのイメージが、インプレッサの快活なキャラクターによくマッチしていた。
 

 

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大貫直次郎

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