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2018.07.18

【中年名車図鑑|4代目 トヨタ・ハイエース】15年にわたって愛された“1BOX界のハイソカー”

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上級1BOXカテゴリーの代表格に君臨するトヨタ・ハイエースは、1989年になると全面改良が実施され、第4世代となるH100型系へと移行する。新エンジンの投入や新機構の採用に加え、内外装の徹底した高級化を図った4代目は、従来と同様にクラスのベンチマークに成長。ユーザー志向に合わせた改良も随時行われ、結果的に15年もの長きに渡って生産される人気の定番ロングセラー車に昇華した。今回は“トヨタの、もうひとつの最高級車”を謳った4代目ハイエースで一席。 

 

 

【Vol.77 4代目 トヨタ・ハイエース】


後にバブル景気と呼ばれる未曾有の好景気に沸いていた1980年代終盤の日本の自動車市場。その最中にあって、レジャーユースで多く活用された多人数乗り車の1BOXワゴンも、ユーザーからより高級で利便性の高いモデルが求められていた。


このカテゴリーの旗艦としてハイエースを設定し、市場をリードしていたトヨタ自動車は、来るべき1990年代に向けた高級1BOXワゴンの姿を鋭意検討する。入念なユーザー調査を行い、得られた結論は、動力性能のさらなる向上とスタイリッシュな外観の構築、そして快適さと豪華さを実現した室内空間の演出などであった。

 

先進的な曲面フォルムを基調とした未来的なエクステリアを採用。リアムーンルーフを追加した“トリプルムーンルーフ”を設定。ルックスの個性化にも一役買った


まずエクステリアに関しては、未来を予感させる先進的で伸びやかな曲面フォルムを基調とし、上級モデルではフォグランプ組み込み型の大型異形ヘッドランプや大型PPバンパー、バックドア一体デザインの横長大型リアコンビネーションランプなどを装備して高級感を主張する。また、バンパーコーナー部にエアロスリットを配するとともに、サイドウィンドウのフラッシュサーフェス化を図って空力性能の向上と風切音の低減を実現した。従来型の特徴だったルーフ部のアレンジでは、新たにリアムーンルーフを追加した“トリプルムーンルーフ”を設定。乗員の開放感を引き上げると同時に、ルックスの個性化を成し遂げる。ボディサイズやホイールベースも従来型より延長し(ワゴン・スーパーカスタムで全長4615×全幅1690×全高1980mm/ホイールベース2330mm)、高級1BOXとしての存在感をいっそう高めた。


インテリアについては、質感の高い新形状のインパネを組み込むとともに、ステアリングポスト角の変更(52度→39度)やパーキングブレーキの移設(インパネ下ステッキ型→前席間レバー型)、全車フロアシフト化などを実施して乗用車感覚を向上させる。また、上級グレードの2列目席には90/180/270度の回転が可能な大型2人席ベンチシートを、3列目席には前後680mmも移動するスーパースライド機構を採用した。開発陣はエクイップメント面にもこだわり、電動スライドドアおよびイージークローザーやハンドフリーマイクとスピーカーを活用したジョイフルトーク、バックソナー&クリアランスソナー、電動チルト&マニュアルテレスコピックステアリング、ダブルカーテン、3段階調光式蛍光灯、湯沸しポット&アイスメーカー付冷温蔵庫、10スピーカー式高性能オーディオ、液晶6.5インチTVなど、豪華なアイテムを豊富に用意した。

 

ステアリング角の変更、フロアシフト化などで乗用車感覚を向上。2列目席に90/180/270度の回転が可能な大型2人席ベンチシートを採用した。ダブルカーテン、3段階調光式蛍光灯、湯沸しポット&アイスメーカー付冷温蔵庫など、高級1BOXとしての装備も多数用意


前席床下に搭載するエンジンでは、直接駆動カム式動弁系やクロスフロー吸排気系、EFIなどを組み込んだ新開発ガソリンユニットの2RZ-E型2438cc直列4気筒OHC(120ps)と1RZ-E型1998cc直列4気筒OHC(110ps)を採用したことがトピックとなる。さらに、大幅な改良を施した2L-Ⅱ型(2446cc直列4気筒ディーゼル。85ps)およびターボ付きの2L-TⅡ型(94ps)や3L型(2779cc直列4気筒ディーゼル。91ps)といったディーゼルユニットもラインアップ。3L型には副変速機付きのパートタイム4WDも設定した。操縦性や走行安定性の向上についても抜かりはない。動力性能の引き上げに合わせて、シャシーを大幅に改良。同時に、TEMS(Toyota Electric Modulated Suspension)やPPS(Progressive Power Steering)といった先進機構も積極的に盛り込んだ。


第4世代となる新型ハイエースは、1989年8月に市場デビューを果たす。乗用モデルのキャッチフレーズは“トヨタの、もうひとつの最高級車”。同社のクラウンなどに匹敵する豪華装備を満載した高級1BOXワゴンであることを、声高に主張していた。

 

 

■ユーザー志向に合わせた改良を続けて15年の長寿命車に発展

 


華やかなスタイリングや豪華な装備類などで、1BOX界の“ハイソカー”と呼ばれた4代目ハイエースは、デビュー後も市場の志向に即した様々な改良を着実に実施していく。1990年10月には4WD車のラインアップを拡充するとともに、積載性に優れるSW(スイッチワゴン)を設定。1993年8月にはマイナーチェンジを行い、内外装の刷新や4WDのフルタイム化、1KZ-TE型ディーゼルターボエンジン(2982cc直列4気筒ディーゼルターボ。130ps)への換装などを敢行した。4代目ハイエースの進化は、まだまだ続く。1996年8月には再度のマイナーチェンジを実施し、内外装に変更を加えると同時に安全性能を強化(前2席エアバッグおよびABSの標準装備化)。1999年7月には3度目のマイナーチェンジを行い、フロントマスクの変更やインパネ形状の刷新、1KZディーゼルターボエンジンへのインタークーラーの追加などを施した。


モデル進化の過程では、ノーズを伸ばして動力源をフロント部に置いたワゴン専用パッケージのグランビア(1995年8月デビュー)や実質的な後継モデルのアルファード(2002年5月デビュー)といった高級ミニバンが登場したものの、1BOXならではの使い勝手の良さや耐久性に富むシャシーなどがユーザーから根強く支持され、それに応える形でメーカー側も4代目ハイエースの生産を継続していく。結果的に全面改良を実施して第5世代に移行したのは、デビューから15年あまりも経過した2004年8月のことであった。

 

 

■ハイエースをベースに生み出された国産初の高規格救急車「ハイメディック」


最後に4代目ハイエースに関連したトピックをひとつ。1991年4月、日本で救急救命士法が制定(施行は同年8月)される。救急救命士とは救急車等で傷病者を病院へ搬送する途上に医師の指示のもと、救急救命措置を施す任にあたる有資格者だ。それまでは法律上、救急隊員が医療行為を行えなかったために、傷病者の救命率や社会復帰率などは欧米に比べて低かった。これを解消するために、前記の法律が生み出されたのである。一方、救急救命士が満足のできる仕事を行うためには、従来型以上に高規格な救急車が必要とされた。そこでトヨタ自動車のグループ企業であるトヨタテクノクラフトは、4代目ハイエースのバンモデル(スーパーロング・ハイルーフ)をベースとした高規格救急車の開発に着手。1992年5月になって、国産初の高規格救急車となる「トヨタ・ハイメディック」を誕生させた。ハイエースとパラメディック(救急医療隊員)を組み合わせた車名を冠する高規格救急車は、ボディ幅を広げるなどして救助器具等を配備。エンジンにはハイエースに設定のないセルシオ用の1UZ-FE型3968cc・V型8気筒DOHCを専用にチューニング(最高出力220ps)して搭載した。ハイメディックはデビュー後も細かな改良を施しながら生産され続け、1997年5月になってグランビアおよび欧州仕様ハイエース(セミキャブオーバー型ロング)をベースとする第2世代にバトンタッチしたのである。
 

大貫直次郎

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