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2019.04.24

【中年名車図鑑|3代目 日産ラングレー】“小さなスカイライン”としてマニアックな存在感を示した

citrus

日産パルサーの兄弟車としてプリンス店系列のディーラー網で販売された日産ラングレーは、1986年にフルモデルチェンジを実施して3代目となるN13型系に移行する。新型では従来のハッチバックモデルに加えて、端正な4ドアセダンモデルを新設定した――。今回は “Skyline's MINI”というキャッチ通りのルックスで話題を呼んだ第3世代の「太陽密度の放射エネルギーを示す単位名=LANGLEY」の話題で一席。

 

 

【Vol.108 3代目 日産ラングレー】

 

パルサーの兄弟車として、さらにプリンス店系列の量販小型車として、1980年6月に登場したN10型系の初代ラングレー。パルサーの基本コンポーネントを使用し、プリンス店系列の基幹モデルであるスカイラインをデザインモチーフに据えた同車は、2代目のN12型系になるとキャッチフレーズにも「ケンとメリーのスカイライン」に倣って「ポールとポーラのラングレー」と称し、スカイラインのイメージにより近づける方略をとった。

 

 

■“スカイライン”テイストのさらなる追求

 

 

ラングレーの存在価値を高めるうえで、スカイラインの血統を強調することは得策。3代目となる次期型では、さらにスカイラインのテイストを追求しよう――。その具体策として開発陣は、従来のハッチバックに加えて4ドアセダンモデルの設定を決断する。商品テーマは「スカイラインのテイストを備えたジャストサイズの高性能GTセダン」の創出。スタイリングは元より、走りの性能についてもスカイラインに近づけることを目標とした。


エクステリアに関しては、4ドアセダンのボディに異形角型の4灯式ヘッドランプやシャープなイメージのグリル、大型カラードバンパーなどを採用して精悍なフロントマスクを演出する。また、リアビューにはスカイラインと同イメージの丸型4灯式リアコンビネーションランプを組み込んだ。内装についても、スカイラインと同形状の3本スポークステアリングを装着するなどの工夫を凝らす。ボディサイズは全長4255×全幅1655×全高1380mm/ホイールベース2430mmで仕立てた。一方のハッチバックモデルについては、従来の5ドア仕様を廃して3ドアのみの設定とする。内外装にはスポーティ感を強調する独自のアレンジを実施。ボディ長はセダンよりも220mm短い4035mmのディメンションとした。

 

 

搭載エンジンは、新規にツインカム16バルブPLASMAシリーズのCA16DE型1598cc直列4気筒DOHC16V(120ps)をラインアップ。ほかに、緻密な改良を加えたE15E型1487 cc直列4気筒OHC(82ps)/E15S型1487 cc直列4気筒OHC(73ps)のガソリンユニットとCD17型1680cc直列4気筒ディーゼル(55ps)を用意する。また、CA16DEおよびE15Eユニットに組み合わせるトランスミッションには、5速MTのほかにOD(オーバードライブ機構)付き4速ATを設定した。サスペンションはフロントがトランスバースリンク式マクファーソンストラット、リアが新開発のパラレルリンク式ストラットを採用する。CA16DEエンジン搭載車には、ツーリング仕様とスポーツ仕様の2種類の減衰力が選べるアジャスタブルショックアブソーバーを奢った。制動力の向上も図り、ブレーキブースターは全車で容量アップ。同時に、CA16DE/E15E/CD17エンジン搭載車にはセミメタリックパッドを装備する。ボディ剛性については、従来比でねじり剛性が約1.5倍、曲げ剛性が約2倍のアップを達成した。

 

 

 

■“Skyline's MINI”を謳って市場デビュー


3代目となる新しいラングレーは、N13型系パルサーの登場から5カ月ほどが経過した1986年10月に市場デビューを果たす。キャッチフレーズは、ずばり“Skyline's MINI”。車種展開は4ドアセダンがCA16DEエンジン搭載のGTツインカム、E15Eエンジン搭載のGT、E15Sエンジン搭載のタイプF/タイプX、CD17エンジン搭載のタイプF-Dで、3ドアハッチバックがCA16DEエンジン搭載のGTツインカム、E15Eエンジン搭載のGT、E15Sエンジン搭載のタイプL/タイプF/タイプXで構成する。イメージキャラクターには、当時日産のワークスドライバーとして全日本ツーリングカー選手権や全日本耐久選手権などに参戦していた鈴木亜久里選手が起用された。


市場に放たれた3代目ラングレーは、4ドアセダンとともに3ドアハッチバックも設定していたが、実際の販売に関しては4ドアセダンに人気が集中した。とくにスカイラインをイメージしたツートンカラーのGTグレードの引き合いが多く、当時のプリンス店の販売スタッフによると「スカイライン人気の根強さを再認識した」という。


一方、ラングレーのセダンモデルの追加は一般ユーザーにある種の混乱をもたらした。ラングレーの4ドアセダンを知らない人がディーラーに赴いた際、「スカイラインって、あんなに小さかったっけ!?」と勘違いすることがあったのだ。販売スタッフがラングレー・4ドアセダンの存在を説明すると、「よくここまで似させたなぁ」と感心されたという。また、ボディの大きさが判別しにくい夜間では、「点灯した丸型4灯のテールランプだけでは、ラングレーとスカイラインの識別がつきにくい」という感想をもらすユーザーもいた。スカイラインのイメージを使ってラングレーの存在感を高める開発陣の方策は、一種の戸惑いを伴いながら、確実に成果をあげたのである。

 

 

■3代目がラングレーを名乗る最後のモデルに――

 

 

3代目ラングレーは、デビュー後も着実に車種設定の強化と中身のバージョンアップを図っていく。1987年1月には、センターデフにビスカスカップリングを用いたフルタイム4WD仕様を追加。1988年6月になると、特別仕様車の1500タイプFセレクトをリリースする。同年9月にはマイナーチェンジを実施し、1500のエンジンがGA15E型(97ps)とGA15S型(85ps)の1497cc直列4気筒OHC12V(1気筒当たり吸気バルブ×2/排気バルブ×1)に換装された。

 

 

プリンス店系列の定番小型車として、確固たる地位を築いたラングレー。しかし、日産本体では別の戦略を練っていた。オースター/スタンザ、サニー/ローレル・スピリット、そしてパルサー/ラングレー/リベルタ・ビラ/エクサなど、多くのクラスで派生車種が増えたため、一旦整理する必要があると考えたのである。そして1990年8月、パルサーがフルモデルチェンジしてN14型系に移行すると、ラングレーはリベルタ・ビラやエクサとともにカタログから落とされ、プリンス店系列ではパルサーが販売されることとなった。“小さなスカイライン”としてマニアックな人気を集めた歴代ラングレーだったが、その車歴は10年あまりであっけなく幕を閉じたのである。
 

大貫直次郎

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