HEALTH

第20回 「かぼちゃ」

毎日のように野菜を見て、触って、感じた事実を基に、独自の野菜の見方・食べ方を確立してきた内田 悟さん。これまでの常識を覆すような、新たな野菜の魅力に出合える連載です。第20回のテーマは、走りの「かぼちゃ」です。

[かぼちゃ] 収穫は夏の終わりから初秋にかけて。その後1〜2カ月貯蔵して水分を抜き、デンプンを糖化させてから出荷するのが一般的。それでも走りは水分が多く、甘みが少なくあっさりとした味わいで、名残りになるにつれて水分が切れ、ぽっくりと甘くなってくる。貯蔵性が高く、また輸入物も安定しているため、通年美味しいものが手に入るが、旬ならではの味の変化を楽しめるのは、この4〜5カ月ほど。

 

 

 かぼちゃの目利きどころ

肉厚でワタが多い肉厚で、ワタが多く(種の周囲に適度な隙間があり)、種がぷっくりとして大きいもの。実や皮の色が濃いもの。
ずっしり重い見た目よりずっしりと重く、胴がよく張っているもの。「同じ大きさなら重たいほうを選ぶ」のが正解。
軸がよく枯れている軸が、十分に枯れてコルクのようになっているのが、完熟したサイン。軸の大きさは10円玉大が目安。

 

 

面取りをして皮に包丁を入れる煮物を美しく仕上げたいときは、切り口の角を取る「面取り」で、煮崩れを防ぐ。皮には火や味が入りにくいので、包丁で切り込みを入れる。
 

走りのかぼちゃは
上下で味わいが違う。
ぜひ食べ比べてみて

 

かぼちゃのオレンジがかった果肉の色は、βカロテン。皮膚や粘膜を強くし、免疫力アップにも役立つ、強力な抗酸化物質です。さらに、ビタミンC、Eも豊富で、「冬至のかぼちゃで風邪知らず」と言われるのも納得の、パワフルな野菜。

「9月あたりのかぼちゃは、旬のなかでも“走り”だから、上下で違う味わいが楽しめます。軸に近い上の部分は熟した甘みがあり、ぽくぽくとしていて、煮物、スープなど、どんな料理にも合う。一方、下の部分はというと、成長途中だから水分が多く、甘みは少なめ。多少の雑味も残っているけれど、天ぷらには、こちらのほうが断然向いていると思います。この時季だけの“上下の食べ比べ”、ぜひ試してみてください。今回ご紹介するレシピは、あまり余計なものを加えず、旬のかぼちゃの風味、力強さ、鮮やかな色合いを生かした3品。コロッケは少し多めに作って冷凍しておくと、お弁当のおかずに重宝しますよ」(内田さん)

【ワタと種を取る】スプーンでワタと種だけを、やさしくかき出す。果肉までガリッと削ってしまわないように。
【縞目に沿って包丁を入れる】こうすると、種に当たらないのでスムーズに切れる。頂点から包丁を入れ、半分ずつ切るのが◎。
【軸を取る】かぼちゃを押さえ、包丁の刃先を立てて軸に深く入れ、かぼちゃのほうを回して軸をくり抜く。

 

1955年、北海道生まれ。2005年にレストラン専門青果店「築地御厨」創業。本業のかたわら、2007年より一般消費者を対象に「やさい塾」を開講。http://www.yasaijyuku.com

 

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第20回 「かぼちゃ」

2024年6月号

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