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【シルク美魔女】愛媛シルクが未来を変える②「革新をリードする3つの存在」とは?

チーム愛媛で「伝統と革新」のシルクを共存させる

愛媛県では愛媛のシルク産業の発展のために、「愛媛シルク協議会」を立ち上げました。産官学で構成されるメンバーで、勉強会や交流会をするなど、愛媛県全体で取り組む仕組みがあります。愛媛シルク大使も協議会から委任いただいています。シルク産業にかかわる組織だけでなく、誰もが参入しやすいチームです。

「伝統と革新」を共存させて発展させるところが「愛媛シルク協議会」の強み。「伝統」は生糸にして繊維として継続、「革新」は繊維以外の素材に変えて、これまでとは全く異なる分野で発展させることです。今回は「愛媛シルクの革新」に注目します。革新のためには愛媛県が強みとして持っている「3つの存在」がキーポイント。

2016年に創業した「ユナイテッドシルク株式会社」代表取締役の河合 崇 社長の熱意と粘り強さ、住友商事時代に繊維のプロとして携わってきた知識や経験がチーム愛媛の機動力となり、持続可能な「革新」への取り組みを目指しています。

愛媛シルクの革新をリードする「3つの存在」とは?

【存在① 西日本では愛媛県だけ!全国で4社しかない、「お蚕さまの卵をつくる会社」の存在】
【存在② 蚕種製造・養蚕・製糸などシルク産業における「全工程の施設」の存在】
【存在③ シルク原料の生産加工「せとうちシルクファクトリー・愛媛シルクパーク」の存在】

【存在① 西日本では愛媛県だけ!「全国で4社」しかないお蚕さまの卵をつくる会社の存在】

美しい繭をつくるお蚕さまの成長は、ゴマ粒より小さな「卵」からスタートします。「蚕種」とは、蚕(カイコ)の卵のことで、蚕種業者は、蛾に産卵させた卵を冷蔵保管し、随時温度を与え人工孵化ふかさせてから、養蚕農家に販売する役割を担っています。蚕種製造販売会社は全国で4社しかありません。愛媛県八幡浜市には、西日本唯一の蚕種製造販売会社である「愛媛蚕種株式会社」があります。この4社が無くなってしまうと国産シルクは大きなダメージです。次世代に引き継ぐ重要性を感じます。

また、下記の写真2枚目に愛媛蚕種株式会社で飼われている猫ちゃんたちが写っています。これはお蚕さまをネズミなどから守るためなのです。お蚕さまをを卵から繭まで育てる「養蚕農家」さんでも、猫ちゃんたちをよく見かけます。「蚕と猫」は相性抜群です!

【存在② 蚕種製造・養蚕・製糸などシルク産業における「全工程」の施設の存在】

大洲市と西予市は、愛媛県内を代表する養蚕地です。「生糸を生産する製糸工場は全国に残り4カ所」のみとなりましたが、西予市の野村シルク博物館はその一つです。愛媛県は、「蚕種製造・養蚕・製糸」などシルク産業における全工程の施設を県内に有し、日本のシルク産業の発展を支えてきました。現在もそれらの施設が愛媛県内に現存しており、そうした地域は国内を見渡しても残りわずかとなっており、愛媛県の大きな強みです。

【存在③ シルク原料の生産加工「せとうちシルクファクトリー・愛媛シルクパーク」の存在】

ユナイテッドシルク株式会社が持つ、「せとうちシルクファクトリー」「愛媛シルクパーク」は、新しいシルク産業の創出に向け、「スマート養蚕システム」と「シルク原料加工設備」を備えた工場です。「蚕の飼育から原料抽出」までを行う一気通貫体制を実現できるところなのです。「生糸にしない革新の秘密」はこの工場の存在にあります。図表の①繭の生産、②原料加工の部分に対応しています。2つの工場でできることをご紹介します。

【2つの工場でできること① スマート養蚕システム】(図表①繭の生産)

スマート養蚕システムとは、「かいこ育成装置」なのです。すごーくざっくりいうと、お蚕さまを養蚕農家さんが育てるのではなく、機械化された装置の中で育てるのです。ご飯は桑の葉ではなく、蚕フードのようなもので育てるのです。

養蚕農家の高齢化に伴い失われようとしている、日本の養蚕業の高度な飼育管理技術、ノウハウを工業的に再現した新たな蚕飼育装置です。生産効率を大幅に向上させることができるだけでなく、蚕の幼虫飼育から繭処理までの一連の工程を網羅しており、クリーンな環境で飼育することで病気のリスクを抑えることができます。また、従来型養蚕では5〜10月に限られていた蚕の飼育を、年間を通して実施することができるというメリットがあります。養蚕農家の減少の問題解決にも貢献できる期待が寄せられています。

スマート養蚕システムを可能にしたのは、大量飼育装置「MayuFacture®」の存在です。開発したのは、新菱冷熱工業株式会社(本社:東京)さんです。「ビルではなく、地域をまるごと冷暖房する地域冷暖房」として国内シェアNo.1、国内63拠点、海外にも19拠点を有するグローバル企業です。蚕との共通点は、「温度と空調管理」。約1ヶ月で卵から繭になる成長にあわせて、どのように管理していくかが技術研究されています。

養蚕農家の長年の経験をデータとして盛り込みながら、毎日何をすればいいか?の作業が可視化され、経験が必要な温度や空調管理は機械に頼れることで、未経験でも蚕を育てることができるのです。「せとうちシルクファクトリー」は、しまなみ海道で有名な今治市の「社会福祉法人 来島会」の敷地内にあります。障がい者の働くや暮らすを支援する来島会のみなさんにご協力いただき、蚕の育成の雇用も生まれています。

新菱冷熱工業株式会社の「MayuFacture®」の研究・技術者や営業担当の方とお話しましたが、とにかく熱い!国産シルクを守り、世界的に発展させるためにこれだけの情熱と使命感を持ってくださっていることに感激しました。チーム愛媛は愛媛県から広がっていきます。

【2つの工場でできること② シルク原料加工設備】(図表②原料加工)

シルクは、18種のアミノ酸で構成されるフィブロインというたんぱく質が主成分です。繭からフィブロインを抽出するためにユナイテッドシルク株式会社が独自の加工技術をすすめています。

シルクは繊維以外の用途で機能性研究が進んでおり、食品や化粧品、さらにはバイオ医薬の原材料として活用することもできるのです。糸以外の原料加工することで、図表③のように幅広い用途に用いることができます。シルクって奥深いですね。

第3回の最終回では、「伝統と革新のシルク商品」をご紹介します。読むサステナビリティでの応援ありがとうございます。

国産シルクに関心をもってくれて嬉しいニャーって言ってるかな♡

木曽千草

シルク美魔女 木曽千草

子育て、親の病気、会社の経営、更年期の体調不良、そんな挑戦や困難の中で出会った人からパワーをいただき、心身ともに強くなれました。今度は私が、誰かの一歩をより強くバックアップできる存在になりたいと思います。地元ではシルク大使として、シルクの商品開発やPRの仕事も兼任。地方美魔女としても活躍の場を広げたい。

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【シルク美魔女】愛媛シルクが未来を変える②「革新をリードする3つの存在」とは?

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