《29年間ビューティ担当のベストコスメ》【第25回】シワを消す話題の成分、「ナイアシンアミド」配合。カネボウの「リンクル リフト セラム」

第1次シワ改善コスメブームの始まりは2017年1月。そして再びやってきた〝第2次シワ改善コスメブーム〟。一番の違いは目尻のシワだけでなく、いわゆる〝三八ジワ〟(額とほうれい線、口元)への対応が強化されたこと。今回一躍有名になった「ナイアシンアミド」という成分を各メーカーがこぞって使う理由は、シワとハリ・リフトアップの関係に、より注目したからと言えそうです。昔からある成分のポテンシャルをどう生かすか、そこに化粧品会社の蓄積と進化が見えます。

カネボウの「リンクル リフト セラム」

≪今月の美の英知≫

1:ナイアシンアミドは3つの承認を得た〝スーパー成分〟
2:組み合わせでメーカーの力量を発揮
3:シワは真皮に効かせて内側からのハリで消す

カネボウ リンクル リフト セラム 20㎖ ¥13,500【医薬部外品】(カネボウインターナショナルDiv.) 2019年10月発売。コラーゲンに関しては、有効成分ナイアシンアミドに加え、月桃葉エキス(合成促進)、ゼニアオイ花エキス(構造強化)、ヒメフウロエキス(糖化抑制)がアプローチし、ヒアルロン酸には「リフト セラム」にも配合されているN-メチル-L-セリン、コメヌカエキスが働く。抱水性の高いトリプルオイルによる即効ハリ効果もあり、包括的なシワ改善を目指すハイレベルな美容液。

三八ジワが気になるなら、ハリとリフトアップも不可欠です。ナイアシンアミドに長年の知見を結集した、真皮に効く美容液を

 2019年秋冬の最大の話題は、なんと言っても〝第2次シワ改善コスメブーム〟。多くの製品がしのぎを削るなかで、1つの成分に注目が集まりました。それは「ナイアシンアミド」。今シーズン、カネボウにおいては今回取り上げる「リンクル リフト セラム」の他にリサージ、トワニー、DEW、コーセーのルシェリ、オルビスなどのシワ改善コスメに、さらにドゥ・ラ・メールの新エイジング美容液「ザ・RGセラム」にも配合されています。気になりますよね、〝ナイアシンアミド祭り〟になった理由が。

 ナイアシンアミドはビタミンBの一種で「ニコチン酸アミド」とも言われます。1990年後半には、表皮細胞のセラミド産生を促進してバリア機能を高める働きがあるとする多くの事例が存在。カネボウが《肌あれ、あれ症》の医薬部外品として申請し承認を受け、2000年に「フレイア セルフォースV」を発売しました。SK−Ⅱは、1990年代よりナイアシンアミドを化粧品の有用成分として配合し、研究を進めて2007年には医薬部外品《美白有効成分》ニコチン酸アミドWとして初めて認可を受け、さらに2017年同成分で「しわを改善する」効能効果の初承認を受けました。その後、ナイアシンアミドを配合した《シワ改善》製品として最初に世に出たのは、2018年発売のコーセーのコスメデコルテ「iP.Shot アドバンスト」(リンクルナイアシンとして)です。つまりナイアシンアミドは、3つも医薬部外品有効成分として承認されたスゴイ成分。そして、長年存在してきた成分だから使用事例が多くあり、製剤として設計しやすく使いやすい、水溶性で温度変化に強いという特長もあります。今季、配合された製品がこれほど出てきたのもうなずけますね。だからこそ、どう使うのかという点が化粧品メーカーの腕の見せどころなのです。「乾燥による小ジワ」という言葉、よく目にしますよね。確かに正しいのですが、私は表面的な乾燥はもとより、内側からのハリやリフトアップがシワ改善には重要なんだな、と、リンクル リフト セラムを使って実感しました。1本を約1カ月で使い切り、笑っていないときは目尻にシワはほぼなくなり、ほうれい線も薄くなりました。


 この美容液は、ナイアシンアミドを、カネボウが1981年から研究しているヒアルロン酸と組み合わせた点がポイントです。ヒアルロン酸は皮膚の水分保持を司り、真皮内でコラーゲン線維の間を埋めるように存在し、数日で半減するほど合成と分解を盛んに繰り返しています。この分解と合成のバランスが大事で、単純に合成が多いから(分解が少ないから)いいというわけではなく、常にフレッシュな状態であることがベスト。カネボウは1998年にヒアルロン酸の合成制御の仕方を、2013年に分解制御の仕方を発見しています。


 さらにカネボウは、シワの深い部分ではヒアルロン酸の合成が分解より少ないことと、同様のシワ部分ではコラーゲン線維の劣化が進んでいることも発見。ビニールプールを思い浮かべてください。空気の入った部分がコラーゲンで、中の水がヒアルロン酸。周囲がしっかりしていないと水は流れ出てしまいますよね。そこで効果を発揮するのが、ナイアシンアミドです。ナイアシンアミドは、表皮のターンオーバーを促進するとともに、真皮にある線維芽細胞の増殖とコラーゲンの合成を高めるよう働きます。皮膚内部を上質なコラーゲンとヒアルロン酸で満たして肌のハリが生み出され、なおかつコラーゲンを足場として線維芽細胞の働きが活性化されて、ヒアルロン酸合成はさらに高まるという相乗効果も期待できるのです。パンッと張った新品のビニールプールを肌の中に作ること、表皮はもちろん、肌内部からのシワ改善=真皮に効くシワ改善、これがリンクル リフト セラムで実現します。


 私たちはつい新成分に目がいきがちですが、馴染みがある成分を使って、長く研究を続けてきた知見と組み合わせる。さらに大ヒットしたリフトアップ美容液「カネボウ リフト セラム」と同じ成分と、密閉して効果を高める「胎脂処方」も加えました。今まで化粧品メーカーとして蓄積してきた英知を結集して完成させることもまた、新製品の素晴らしい価値だと言えるでしょう。


\使い切ってます♡/

直径5ミリ粒を目尻、口元、ほうれい線、眉間、額に塗って、約1カ月もちました。目尻とほうれい線については本文どおり。使い始めたころに「こんなところにシワが?」と発見してショックだった目の下のシワがなくなったのが嬉しい。どのシワ改善コスメを使っても効果が薄かった眉間は、これから使い続けての勝負かと思います。保水性があるため肌に留まるテクスチャー、つけた直後に弾力性がアップする感覚があって、これから到達する肌を予想できるから、やる気が出てきます。
29年間ビューティ担当・編集I
『JJ』時代から美容を担当。スーパーモデルブーム、日本上陸前のM・A・Cをブレイクさせる。愛ある視点で厳しく化粧品を選ぶ。「コスメは感動!」が信条。美ST ONLINEでの連載「30年目のコスメ愛」も好評。
2020年『美ST』2月号掲載
撮影/河野 望 編集・文/石原晶子