第21回 「春菊」

毎日のように野菜を見て、触って、感じた事実を基に、独自の野菜の見方・食べ方を確立してきた内田 悟さん。これまでの常識を覆すような、新たな野菜の魅力に出合える連載です。第21回のテーマは、盛りの「春菊」です。

[春菊] 和野菜のイメージが強いが、原産はヨーロッパ南部の地中海沿岸(現在も観賞用として栽培されている)。東~東南アジアで食用に品種改良され、日本に伝わったのは江戸時代。一般の菊が秋に花を咲かせるのに対し、春に花が咲くことから春菊と呼ばれるようになったとか。関西では「菊菜」とも呼ばれる。走りはスッキリとした香りで葉も茎も柔らかく、名残りに近づくにつれて、濃厚な香りと苦みが際立つ。

 

 

 春菊の目利きどころ

茎が丸い茎が太く、断面が丸いのは、自然に細胞分裂を繰り返して育ったサイン。芯が白くなっているものは食感が悪い。
葉が密生している葉が茎の下のほうまで密生したものほどパワフル。葉の先までシャキッとした、みずみずしいものを選びたい。
緑色が淡い緑色が白い膜をはったように淡く見えるものは、自然にきちんと細胞分裂を繰り返して育ったもの。

 

 

袋から出してやさしく揺する買ってきた春菊はビニール袋から出し、手でやさしく揺すって空気を入れると、眠っていた葉が目覚めるように鮮度がよみがえる。すぐ使わない場合は、新聞紙に包み直して霧を吹き、ビニール袋に入れて冷蔵庫へ。
 

今が旬真っ盛り。
春菊のパワフルな風味を
存分に味わって!

 

緑黄色野菜のなかでも、ビタミンAの含有量はトップクラス。皮膚や粘膜を強くし、免疫力の向上に役立つ春菊は、風邪が流行しやすい今の時季に積極的に摂りたい野菜です。エネルギー代謝に関わるビタミンB2も豊富なので、肉、魚料理の付け合わせとしてもおすすめ。

「露地ものの春菊の旬は秋。どんどん風味を増しながら、12月の初旬には季節を終え、ハウスものに切り替わっていきます。葉がやわらかく苦みも少ない『走り』の時季は、ぜひ生のまま、サラダでどうぞ。風味が極まる名残りには、茹でて和え物にしたり、天ぷらにしてもいいですね。品種によっても風味や食感は違うので、いろいろ試してみてください。この号が出るころは、ちょうど盛りなので、どんな調理もOKです。おひたしや和え物用に茹でるときは、葉と茎を分けたりしなくても、全体がほどよくシャキッと茹で上がるはず。これぞ旬野菜ならではのチカラです」(内田さん)

【白い芯は削る】白い芯はえぐみのもと。とはいえ、丸ごと捨てたりせず、白い部分を削り取って使うのが内田流。
【太い茎は縦に切る】盛りを過ぎると、茎の根元に近い部分は太く、硬くなってくるので、包丁で縦に切ってから使う。
【葉は手で摘む】包丁を使うと、金物に反応してアクが出る。葉を手で摘むようにすると、味わいがおだやかに。

 

1955年、北海道生まれ。2005年にレストラン専門青果店「築地御厨」創業。本業のかたわら、2007年より一般消費者を対象に「やさい塾」を開講。http://www.yasaijyuku.com