HEALTH

第23回 「里芋」

毎日のように野菜を見て、触って、感じた事実を基に、独自の野菜の見方・食べ方を確立してきた内田 悟さん。これまでの常識を覆すような、新たな野菜の魅力に出合える連載です。第23回のテーマは、盛りの「里芋」です。

[里芋] 熱帯アジア原産で、日本では縄文時代から栽培されていたといわれる里芋。里芋という名は、山芋(山に自生する芋)に対してつけられたという説もある。株の中心の親芋から小芋、さらにその周囲に孫芋がたくさんつくため、子孫繁栄の象徴として、古くから正月料理などに使われている。種類は、関東地方でポピュラーな俵型の土垂(どだれ)、小型の石川早生(いわゆる小芋)、京料理などに使われる海老芋などが代表的。

 

 

 里芋の目利きどころ

芽が中心にある頭の芽が色づいておらず(赤っぽくなっているとえぐみが強い)、上から見たとき中心が真ん中にあるもの。
ふっくらと丸いふっくらと丸く、心持ち胴が張っているもの。栄養の過不足がなく、すくすくと育った証拠。
筋目の間隔が均一縞模様にも見える、筋目の間隔が均一で細かいものは、実の中身も均一で、バランスのいい味わい。

 

 

調理の前にぬめりを取るぬめりを取るには、塩でやさしくこすり、5分おいて水分が出てきたら洗い流す。または、皮をむいて水から茹でる(沸騰の手前で3分)という手も。
 

たくさん食べても
お腹にもたれない里芋。
食感は火入れ次第

 

里芋の主成分はデンプン(糖質)ですが、粒子が細かく消化がいいのが特徴。また、デンプンや脂肪の代謝 に役立つビタミンB1やB2が豊富で、ダイエットにも適しています。

「里芋の粘りは、蒸せばねっとり、揚げればホックリ、茹でてつぶせばクリーミーに変化するのが面白いところ。調理の前に、表面のぬめりをきちんと取るだけで、シンプルな料理の味がグッとレベルアップします。 今回ご紹介する3品のレシピも非常にシンプルですが、里芋の美味しさを再発見してもらえると思いますよ。」

「まずコロッケは、あえて粗めにつぶして、ほくほく感とクリーミーさの両方を楽しめるようにしました。同 じく旬のキャベツとの相性も抜群です。カレーは、里芋をゴロゴロ、たくさん入れて、精進風ながら食べ応えのある一品に。じゃがいもだったら胃にもたれるところですが、里芋は大丈夫です。最後は、直球勝負の芋煮汁。寒い時季に、何度も食べたくなる味です」(内田さん)

【縦割り】食べやすい大きさに縦割りしたものは、汁物、煮物、煮っころがし、揚げ物など、さまざまな料理に。
【輪切り】皮をむいて、1㎝程度の輪切りにしたものは、汁物だけでなく、グラタンやオーブン料理にも。
【六方むき】上下を切り落とし、丸みを持たせながら六角になるよう皮をむく。見た目がよく、煮崩れしにくい。

 

1955年、北海道生まれ。2005年にレストラン専門青果店「築地御厨」創業。本業のかたわら、2007年より一般消費者を対象に「やさい塾」を開講。http://www.yasaijyuku.com

 

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第23回 「里芋」

2024年6月号

2024年4月17日発売

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