《連載》40代以上は【トム フォード ビューティ】本気のファンデに投資！〈29年間 美容エディターのコラム〉

化粧品には大きくわけると、化粧品会社発祥と服飾会社発祥があります。前者はそのままですが、後者はご存知シャネル、ディオール、サンローランなどファッションブランドから生まれた化粧品です。

シャネルは1921年に名香「N°5」、1924年に初の口紅、1927年に「ユイル ドゥ ヴィザージュ」をはじめとしたスキンケア製品を発表。ディオールは1947年に初の香水「ミス ディオール」、1953年には初の口紅「ルージュ ディオール」を発表。サンローランは1964年、初の女性用フレグランス「イグレック」（Y）を発表、1978年「私が作った服を着る女性に、顔を与え、輝く素肌を与えたい」と、ボーテ部門の創設を発表し、翌1979年には、〝サンローランの19番〟と言われる口紅が大ヒットします。
多くは、メゾンが自分たちの洋服を纏う女性に似合う香水を創り出すことがきっかけで、香水だけで終わるブランドが多い中、前述の御三家は化粧品のフルアイテムを揃え、ファッションとビューティの両輪でブランド世界が成立しています。

その後、多くのファッションブランドがその名を冠した化粧品ブランドを立ち上げますが、一過性だったり事業が立ち行かず消滅したものもいっぱいありました。
そんななか、今、成功しているのが、「ジョルジオ・アルマーニ ビューティ」と、今回紹介する「トム フォード ビューティ」ではないでしょうか。

「ジョルジオ・アルマーニ ビューティ の強みは「ドレスを着替えるように肌を着替える（Dress Code for Face）」というファンデーション。シルクやヴェール、ベルベットなどファブリックの質感のイメージを、目指す上質な肌と重ねています。

「トム フォード ビューティ」は、2006年にフレグランス「BLACK ORCHID」を発表し、同年ローンチ。2010年初のリップカラーコレクションを皮切りに発表した製品の数々は人気を集め、ブランドのアイコンとしては、「アイ カラー クォード」や充実したラインナップのリップカラーが思い浮かびます。

しかし、〝肌モノ〟も面白いな、と思った私のきっかけは、2019年3月に発売された「ソレイユ グロウ トーン アップ ファンデーション ハイドレーティング クッション コンパクト」（長い……以下「ソレイユ」）の「1 ローズ グロウ トーン アップ」です。肌トーンを一気に明るくしてくれる下地で、つけてみたら「顔が明らかに白くなってる！」というくらいの威力があり、即買いしました。ローズカラーでさりげなく輝くので白壁にはなりません。毎日美白をしていてもくすみが避けられないときに使うトーンアップ下地として最強です。

そして2020年3月13日というコロナ自粛真っ最中に発売になった「シェイド アンド イルミネイト ソフト ラディアンス ファンデーション」。これを肌にひと塗りしたとき、「トム フォードが本気を出してきた！」と思ったほどの仕上がりの素晴らしさ。

私は、真夏以外は、SUQQUの〝諭吉ファンデ〟こと「エクストラ リッチ グロウ クリーム ファンデーション」を使っています。この美容液ファンデはおおよその季節はいけるのですが、さすがに30℃超えると難しい……。しかし夏用の落ちにくいファンデは密着力があるぶん、この年齢の肌には厳しいですね。密着するときに揮発することが多いので、水分奪われまくって、落としたときにげっそり3歳くらい老けた私が鏡の中に（涙）。
夏でも美容成分が肌に効き、なおかつもちがいい、厚付きにならずマスクにもあまりつかないファンデ。その条件に合ったのがこのファンデでした。

特に夏用というわけではないんです。しかしなんでしょうね、見た目はゆるいクリーム状なのですが、すーっと肌に伸びて、モッタリしません。肌にピタッと留まり薄づきだけれど確実にトーンが整います。自然にカバーされて毛穴落ちはなし。思えば、人間の肌は100％ツヤ肌でも100％マット肌でもありません。だからこそ立体感が出るわけで、このファンデはトーンや質感を整えながら、もとからある立体感を強調してくれる感じがします。また、カバーとプロテクトはするけれど通気性が良く、肌が疲れません。

ソレイユをつけると自然なパール感によってツヤが出ています。ファンデのみだと端整なセミマット仕上がりになり、きちんと感が出ますね。ソレイユの上にファンデを重ねると発光感があって、夏らしい肌になります。

一度美容液ファンデを使うと、この年齢ではそうじゃないファンデは使えなくなってしまいます。

このファンデは美容液ファンデとしても最高レベル。ヒアルロン酸、ノニエキス、コパイバ　バルサム、クラブウッド オイル、アサイー オイルなどの成分が配合。ノニはインディアン・マルベリーとも言われ酵素の働きを助け、免疫力を高め沈静作用にも優れているビタミンやミネラルが含まれたフルーツ。コパイバ　バルサムはコパイババルサムノキから採れる精油のこと。皮膚トラブルや炎症に効果があると言われます。ゆらぎ肌の私にとってはありがたい成分入りで、朝つけてから夜落とすまで乾燥せず、脂浮きもせず、快適に過ごせます（PITTA マスクを上につけていますが、色移りはそんなにありません）。

ちなみに。
「トム フォード ビューティ」にリキッドファンデはこれしかないんです（以前あったものは廃盤になりました）。その気合がひしひしと感じられる名ファンデです。

高級ファンデと言えば、クレ・ド・ポー ボーテの「ル・フォンドゥタン」3万円を筆頭に、ゲラン、ラ・プレリー、アルビオン（EXCIA AL）、シスレーなどがありますが、このトム フォードのファンデも、14,500円、高級です。でもファンデって、カバー力があるものは少しの量で済んで、1年は余裕でもちます（SUQQUのクリームファンデも10カ月使ってまだ半分残っています）。だから自分の肌に合ったものを見つけたら、ファンデに投資するのは、美ST世代にとって実はお得なことではないか、と思うのです。

瞼が腫れることがあるのでアイメークはほとんどしないのですが、マスク生活なのでやってみようかと思っています。明るめブラウンの組み合わせ、上の2色はパール入り、下2色はマット。粉が細かく吸い付くようにつくので粉落ちはなし。少量でも色が出るので、少しずつ重ねていくのがよさそうです。￥9,200

ミニチュアリップスティックコレクション「トム フォード ボーイズ アンド ガールズ」の中の1色で、これは「ボーイズ」コレクション。このちび具合が最高。隣にあるのはiPhone XRです。私が探しに探したツヤありブラウンリップ。トム フォードが愛し尊敬する世界中のボーイズたちの名前が付いています（チャドウィックって誰？）￥3,700