新年こそお着物で。三田寛子さんが着こなす艶っぽく見える【着物】の魅力

しなやかで優美な日本の着物。しっとりと美しく着こなせる丁度良い年頃になりました。「着物は決まり事が多くて……」と二の足を踏んでいたらもったいない。ぜひ着る機会を増やして新しい魅力を発見してください。

凛と背筋の伸びる着物の奥深い愉しみ

三田寛子さん
八代目中村芝翫の妻として30年。結婚は就職みたいなもので、成駒屋という会社の中で愛社精神を持ち守っていく感覚は今も変わりません。着物は私にとってはユニフォーム。歌舞伎界は各お家の好みやTPOがあるので、それを守りながら、纏っています。今でも帯をキュッと締め上げた瞬間に背中にピピッと緊張感が走ります。30年間、気持ちが引き締まる着物生活でした。でも50代になって、制服の部分とは離れ冒険したり、楽しんだりする個人的な装いとか、両方あっていいのかなと少し緩めて、日常の中に愉しんで取り入れられるようになりました。歌舞伎のときは成駒屋の嫁としての装いは今も変わっていないですが、自分の仕事やプライベートの愉しみで着るときはその時自分が求める、気持ちの上がるものを選びます。自分で着付けますが、義母の着付けを見様見真似で覚えたので、着付け師の方の完璧な美しさにはほど遠く、たまに美しく着こなしている方を見かけたら、「どうやって着付けのお勉強されているんですか?」と伺うの。するとある時、「YouTubeで勉強しました」とおっしゃって、観てみるとすごくわかりやすいんですよ。着物とはいえ、がんじがらめでなくていいんだ、とハッとさせられたんです。これから着物をお召しになる方は、1つ1つのハードルを上げないで、洋服の「おしゃれ」って言う要素で取り入れるといいですよね。恐れずにどんどん着て、知らなかった新しい自分の魅力を引っ張り出せたらいいですね。
●Profile
’66年京都府生まれ。’81年にデビューし人気アイドルとして活躍。’91年歌舞伎俳優の中村橋之助さんと結婚。3人の男児を授かり、’16年秋、歌舞伎界初の親子4人同時襲名を取り仕切る。4人の歌舞伎俳優を支えながら、テレビ、トークイベントなどで活躍中。

やっと着物を自分らしく愉しめるようになりました

史上初、親子4人の襲名を終えた記念に自分へのご褒美と、末の歌之助の高校卒業入学祝いの記念の訪問着。「自粛中を和箪笥を整理したら“卒業”の着物や帯が200着近くも。お手入れか、処分か、プロの呉服さんの目で識別していただき、残す着物は写真に撮ってリスト化。将来の3人のお嫁さんに引き継いでいきたいですね」

POINT1:人間国宝・故細見華岳先生の希少な爪掻き綴れ織を華やかに

たまたま一目惚れをして、目に留まり、話を聞いたら「大変希少な爪掻き綴れ織」と。清水の舞台から飛び降りる気持ちで新調。家族には内緒(笑)。ギザギザに刻んだ爪先で糸を一本ずつかき寄せるように模様を織る希少な帯。

POINT2:着物を知り尽くした洗練されたコーディネート

帯の柄を邪魔しない胡粉色のシンプルな帯締めに、臙脂(えんじ)色の柄がポイントの飛び絞りの帯あげ、そして半衿も白でまとめた気品のあるコーディネートは三田さんならでは。

POINT3:京都の今堀の染匠、糸目から手で型を使わない京友禅

銀鼠(ぎんねず)という明るいシルバーグレーの地色で、下はぼかしで濃淡が付いて華やかですし、お嫁入りに持参した同じ地色の加賀友禅、梅の総柄訪問着が好きで、どうしても自然と好みのものに目が行きます。

着物まわりの想い出の品と小物

① 成駒屋の家紋「祇園守」の帯留めと長方形のものは義母からのプレゼント。② 三味線方の奏者・常磐津英寿夫人から頂いた着物用バッグとピンクのモラビトのバッグ。③ 長男橋之助、次男福之助、初舞台の記念の掛け袱紗。④ 京都の祇園ない藤の草履。主人の襲名前から私と一心同体で歩いてきた魔法の草履。毎年メンテナンスをして履き続けています。
2021年『美ST』1月号掲載
撮影/岩谷優一〈vale.〉 ヘア・メーク/山本浩未 着付け/小田桐はるみ 取材/安田真里 編集/小澤博子