【連載小説】TOKYO「白肌」恋物語③ 「ずっと好きだったし、今も、これからも好きだ」幼なじみからの告白に、透子の出した答えは?

美しい肌は人生さえも変えてくれるの? ふとしたきっかけで使い始めた美白コスメをきっかけに始まった、43歳シングルマザー・五本木透子の「2度目の青春」ラブストーリー。
前回までのあらすじ
五本木透子は高校生になる娘・心白(こはく)を持つ43歳シングルマザー。コーヒーショップで偶然出会った20代の男性、四ッ谷サトルとLINEを交換することに。最初は年齢差に気後れする透子であったが、シミウスの美白ジェルの後押しもあり、しばしばデートを重ねる関係に。幼なじみの八代くんから新しくオープンする自身のレストランに招待されたのも、ちょうど同じ頃。流れた時間の重さを感じつつも、再会を心待ちにする透子であった。

第3話 シミウスと恋のアルデンテ

八代くんが来月オープンするというレストランの厨房で
鯛に迷いなくスッと包丁を入れる手を見ると
大学1年の夏、弓道の試合を見に行った日を思い出す。


あの日、彼が鋭い視線で弓を引き、次々的を射抜いていく姿を目にして驚いた。
見学席には他校の女子もたくさんいて、
八代くんが的を射抜くたびに小さな悲鳴が上がって波のように広がったけど、
試合が終わっても彼が見学席を見ることは一度もなかった。


八代くんと会うのは10年ぶり。


「試合のあと、喫茶店に行ったよね。あのお店今もあるのかしら」

ライバルは10年前の自分だ。
八代くんとの再会がシミウスを使い始めてからでよかった。
頬を指で押すと吸い付くようなハリがある。

「あのカロリー爆弾パスタ、美味かったよね」

八代くんは鯛から目を離さない。それどころか、久しぶりに会ったというのに
透子となかなか目を合わさない。



2人で行った喫茶店はナポリタンの上にチーズをドッサリのせて焼いた
バルカローレナポリタンというメニューが名物の店。

俺も東京に行こうかなあ。

そう言ってアイスコーヒーに刺さったストローを持つ八代くんの長い指にできた
弓ダコを透子はハッキリと覚えている。

東京の大学を卒業後、商社に入ってジャカルタやマドリードに赴任していたと
噂で聞いていた。

(帰国しました。これからは東京勤務です)

と年賀状をもらったのは、心白が小学生になったころだっけ。
それから透子は家族写真が入った年賀状を毎年出すようになった。


「粉を扱っていたら、やっぱり俺、料理人になりたかったと思いだしたんだ」

やっと八代くんが包丁から目を離して、眩しそうに目を細めて透子を見る。

「あと、バルカローレナポリタン。あのころ、はじめてアルデンテって言葉を知ったのに、あのナポリタンはアルデンテ無視だもんな」

「茹でてからチーズのせてガンガン焼いてたもんね」

「のびのびもいいとこ」

「給食のソフト麺レベル」

「トマト味の? 懐かしい」



長い沈黙。


「追いかけても追いかけても3歳差は埋まらないと思っていたんだ」


ぐつぐつと沸騰した寸胴鍋にブカティーニを入れると
ロングパスタと鍋がふれ合う音が、あの夏の日の女の子たちの悲鳴のように聞こえた。



ずっと友達だったものが男と女に変わることなんてあるのだろうか?



そう思った瞬間、スマホが鳴った。
四ッ谷くんからの定期LINE。
思わずスマホを裏返してしまってから墓穴を掘ったことに気づいた。
八代くんは透子のスマホを見ないふりをしてブカティーニを鍋に沈めている。

四ッ谷くんとの関係はまだ名前がつかないものなのに
なぜか後ろめたい。

八代くんがパスタをお湯から引き上げながら言う。

「こんど、海に行かない? 海岸沿いにおいしいパンやさんがあるんだ。
その海岸は俺らの田舎の浜に似てるんだよ」

「うん、パン大好き」

透子が言うと八代くんは困ったような顔で笑った。

家に帰ってリニューアルしたシミウスのUV美容液を追加オーダーした。

心白が小さいころ、公園やプールで夢中になっていっしょに遊んでいたら
首の前も後ろも焼けてしまって、その名残が抜けない。


ビタミンCやプラセンタエキス、
コラーゲンにヒアルロン酸。
肌にいいものしか配合されていない無敵の美容液。
これがあれば海もこわくない。


海へのドライブデートは朝6時に待ち合わせ。

「パンが8時に売り切れることもあるから」

って、どんだけ数を絞って作ってるのよ、

「希少感でもったいぶらないで欲しい~」

と、助手席で透子がおどけると

八代くんは、

「料理人としてちょっと気持ちは分かる」

と微笑む。

最後の2個のフォカッチャ、滑り込みセーフ。

砂浜に小さな椅子を二つ出して、
八代くんが作ってきてくれた夏野菜と鶏肉のバジルマリネ、
ピーチ味のレモンティーと一緒に海を見ながら食べるランチは最高だった。

頬に手をあててみる。
朝塗ったUV美容液がしっかり肌をガードしてくれている感触がある。
それに、八代くんはパラソルも立ててくれている。

43歳が日に当たりたくないことを分かってくれていた。

「そうだ、お願いがあるんだけど。お店の内装の相談に乗ってほしい」

「え、私?」

「インテリアコーディネーターの勉強してるんでしょ?」

「そんなの、始めたばかりよ」

「昔から透子さんのセンスは信じられる」

「やだなあ、普通よ」

「その普通の感覚って実はめちゃくちゃ貴重なの、知ってる?」

パラソルの下、さらに日差しを遮るように太陽を背にしてくれている
八代くんはもうハナタレ小僧じゃない。
いじめっ子から透子を守ろうとしてコテンパンにやられていた八代くんじゃなかった。

「料理のメニューも考えてほしい。絶対入れたいのは昔、透子さんが一度だけつくってくれたカルボナーラ」

「ああ、あったね。結婚前に実家に帰った時、みんなでご飯食べたよね」

あれは美味かった。

「あとで教えてよ」

と八代くんが言う。

帰りに寄った厨房で八代くんが白いソムリエエプロンを腰に巻くと
弓道着の帯をキュッと締めていた高校生の顔に戻る。

「この、隠し味に田舎の味噌を入れたカルボナーラに透子さんの名前もらっていい?
透子のカルボナーラ、卵黄のせ」

プルプルでとろけてホッとして元気が出る。

まるでシミウスジェルの感触。今の自分にとっての元気のもと。
彼が語る思い出も、透子にとっては自分を支えてくれる勇気のもとだ。


八代くんのお店がついにオープンした。


TVで顔を見たことのある有名シェフやマスコミの人、カメラマン、インフルエンサーなど多くの人で賑わって、20人入ればいっぱいのお店は熱気にあふれていた。

パーティのあと、招待客が帰って二人きりに。
新しいシャンパンを開けて注いでくれる。

「オープン、おめでとう」

「内装の評判、すごくよかったよ。透子さんが選んでくれた床のテラコッタタイル、すごく褒められた」

「好評なのは八代くんの料理よ。独創的なのに懐かしい味がするもの」

はにかむ笑顔は小学生のころと変わらない。

「立派になっちゃって、すごいなあ」

透子が八代くんの腕を軽く叩いた瞬間、その手を掴まれる。

「透子さん、綺麗になった」

「え? そんなこと・・・」

「離婚したから? それともLINEしてくる人がいるから?」

八代くんの手は思いのほか力強くて、透子はふりほどけない。

「毎年、年賀状で見ていた透子さんより、今のほうがずっと綺麗で。
嬉しいけどなんだか不安になる」

私が綺麗になっているとしたらそれはシミウスのおかげなのに。


「でも、もう後悔したくない。俺と付き合ってほしい」


八代くんに抱きすくめられると少しはだけた白シャツから香る
シャンパンと故郷の海の匂い。

「でも・・・私たち、時間経ちすぎてない? 八代くん、私のこと美化してるんじゃ・・・」

「早く茹で上がる麺はのびるのも早い。でも、こっちは35年かけてるんだよ。コシの強さは尋常じゃない」


顔にあたる八代くんの胸の厚み。
背中にまわされた手の温もりを透子はすでに懐かしく感じる。


「離したくない。ずっと好きだったし、今も、これからも好きだ」


透子はその告白をあの夏の日からずっと待っていたような気がした。
テーブルに置いたクラッチバッグの中でスマホが震える音がした。

「あのころ」と変わらない透明感とハリをもたらしてくれる美白オールインワンジェル。プルプルとした感触のジェルがハリと潤いを、プラセンタエキスがシミやくすみをケアして透明感のある肌に導いてくれます。SIMIUS 薬用 ホワイトニングリフトケア ジェル[医薬部外品] 60g ¥5,217(メビウス製薬)
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フィルム ☎︎03-5413-4141
文/笹行あや香 
小説家。大学卒業後、女性月刊誌ライターを経て作家に転身。複数のペンネームで美ST世代を主人公にした小説や、エンターテイメント系のコラムなどを執筆。美STには男性アイドルのカバーストーリーを寄稿している。現在、長編恋愛小説に取り組む。

撮影/須藤敬一 ヘア・メーク/SATOMI スタイリスト/Toriyama悦代(0ne8tokyo)