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【就寝前にやるべきことって?】ぐっすり眠れない人に試してほしい5つの工夫

最近熟睡できず、日中もスッキリしないなどの悩みはありませんか?40歳以降になってから熟睡した感じがないのは、ホルモンバランスが原因かもしれません。本記事では、40〜50代の睡眠に関する悩みをお持ちの方へ、熟睡するための秘訣を5つご紹介します。

1:40代50代の女性は睡眠の質が低下しやすい

40〜50代になり睡眠の質が低下しやすいのは「女性ホルモンの減少」が関係しています。女性ホルモンの分泌量が減少すると、以下のような睡眠に関する悪影響が起こります。

● 自律神経の乱れによる入眠困難
● 更年期症状による中途覚醒
● 睡眠呼吸障害による日中の眠気
● 睡眠中枢への影響による睡眠の質の低下

女性ホルモンの減少が悪影響をもたらすメカニズムを解説します。

①女性ホルモンの分泌量低下に伴う自律神経の乱れ

女性ホルモンには、自律神経の働きをスムーズにする作用があります。よって、女性ホルモンの分泌量が減少すると、自律神経が乱れて緊張・興奮状態が続き不眠を招きます。眠れないなどの状況に焦りや不安を感じ、入眠困難や中途覚醒など不眠がちになる方も多いのです。

②更年期症状による不眠

女性ホルモンの分泌量が減少することであらわれる更年期症状により、睡眠の質が低下することがあります。ほてりや発汗などの血管運動神経症状が起こり目が覚めてしまう方、不安や抑うつなどの精神症状に伴う不眠症状を起こす方がいます。

③ホルモン減少による睡眠呼吸障害

基本的に、女性は男性と比べて睡眠呼吸障害を起こすリスクは低めです。しかし、閉経後は睡眠呼吸障害を起こすリスクが高まります。女性ホルモンの「プロゲステロン」には呼吸中枢を刺激する働きがあります。よって、プロゲステロンの減少は呼吸中枢への刺激を減らすことになり、無呼吸の発症リスクを高めてしまうのです。また、女性ホルモンの「エストロゲン」は抗重力筋という、地球の重力に負けず姿勢を保つ筋肉とも関係しています。そのため、分泌量が減少すると抗重力筋の働きも弱くなり、気道が塞がりやすくなって無呼吸のリスクを上げてしまいます。

④ホルモン減少による睡眠中枢への影響

プロゲステロンとエストロゲンは眠気の促しや抑制の作用があり、睡眠中枢に影響を与えている重要なホルモン。よって分泌量の減少は、睡眠の質の低下や不眠を招く要因の1つになります。

2:熟睡のメカニズム

深くて良質な眠りには、日中の疲労蓄積と深部体温の低下、睡眠サイクルの3つが関わっています。

1つ目に解説するのは「覚醒中の疲労蓄積による睡眠欲求」。睡眠欲求は、覚醒時間が長いほど強くなります。そして、長時間覚醒していると、普段寝つきが悪い人もすぐに眠りに入り、深い眠りが出現することが知られています。

2つ目に解説するのは「深部体温の低下」。深部体温が下がると、脳と体は休息モードに入り寝る準備に入っていきます。深部体温は入眠時に自ずと低下していきますが、低下するまでの時間が早いほど眠りが深くなりやすいです。

3つ目に解説するのは「整った睡眠サイクルと熟睡」。通常、睡眠中は眠りが浅い「レム睡眠」と眠りが深い「ノンレム睡眠」が、90分ずつ交代で切り替わっています。ただし、入眠から3時間はノンレム睡眠に入り、熟睡して必要な睡眠を確保しているとされています。そして、朝になるにつれ、レム睡眠の時間が長くなりスッキリと目覚める。これが整った睡眠サイクルです。

これら3つが揃うことで熟睡する時間が作られ、深く質の良い睡眠をとることができるのです。深部体温がうまく低下しない、睡眠サイクルが乱れるといったことは、生活習慣や寝る前の行動に要因があります。これから熟睡するための対策方法をご紹介するので、ぜひ意識してみてください。

3:熟睡するために重要な5つの対策

熟睡には「ある程度の疲れ」「整った睡眠サイクル」「脳と体のリラックス」が必要です。これらを実現させるための対策方法を5つご紹介しますので、ぜひ取り入れてみてください。

①日中の適度な運動

日中の適度な運動は、ほど良い疲労感を体に与えます。運動に慣れていない方は、ウォーキングや、5分や10分の筋トレといった、中強度くらいの運動レベルがおすすめです。一方で、寝る前の激しい運動はかえって交感神経を優位にします。眠りの質を低下させるため避けましょう。

②アロマやヒーリングミュージック

アロマやヒーリングミュージックは、副交感神経を優位にし、脳と体をリラックスさせます。特に日本人は、ラベンダーなどの外国産の花の香りよりも、ヒノキや白檀(びゃくだん)、甘夏などの香りが落ち着く香りといわれています。理由は、昔から木やミカン系は日本人にとって身近にある香りだからです。また、無音よりも、雨や雷雨などの環境音があるほうが入眠しやすい傾向にあります。曲を聴く時は、イヤホンではなくスピーカーで小さめにかけるのがポイントです。

③就寝前のスマホやパソコンを避ける

スマホやパソコンのブルーライトは脳を刺激して覚醒させる作用があるので、就寝前の使用は避けましょう。目から光の刺激を受けると脳が昼間と錯覚して睡眠ホルモンのメラトニンを減らし、睡眠の質が低下します。就寝する2時間前にはスマホやパソコンは触らないようにし、どうしてもやむをえない場合は、画面の色設定を暖色に変更しましょう。

④寝具・服装・部屋の環境を整える

睡眠の質は、寝具、服装、部屋の環境でも左右されます。
朝起きた時に首がこっていたり腰が痛かったりする方は、枕が高くマットレスが硬いといえます。まくらの高さやマットレスの硬さをチェックしてみましょう。
服装は普段着るようなシャツやジャージではなく、通気性の良いパジャマを着るのがベスト。通気性の良いコットン生地や手触りの良いシルクは、パジャマ生地におすすめです。
また、エアコンや扇風機、除湿機などを使用して、快適な温度や湿度にしましょう。エアコンの設定温度は、夏場は25℃前後、冬場は20℃前後に設定するとよいでしょう。

⑤睡眠に働きかける漢方薬を飲む

漢方薬のなかには「不眠」への効果が認められているものがあり、実際に心療内科や婦人科でも処方されています。漢方薬は、不眠などの更年期症状の原因となる血流や自律神経、ホルモンバランスの乱れを整えることで、心身の体調の根本改善を目指します。
不眠の対策には「自律神経の乱れを整え、睡眠の質を改善する」「いらだちや興奮を鎮めて寝つきを良くする」「血流を良くして中枢神経の機能を回復し安眠に導く」「ホルモンバランスの乱れを整える」といった漢方薬を選びます。

<更年期の不眠におすすめの漢方薬>

・加味逍遙散(かみしょうようさん)

疲れやすくイライラや肩こりのある方に。のぼせ感(ホットフラッシュ)がある方の更年期障害や、不眠症などに用いられます。

・柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

イライラや動悸がある方に。更年期神経症や不眠、精神不安が気になる方に向いています。

・抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

神経が高ぶってイライラしている方に。怒りやすく、更年期障害や不眠が気になる方に向いています。

漢方薬は症状だけでなく、体質にも目を向けて選択しなければなりません。体質に合わないと副作用を起こしたり、効果があらわれなかったりするからです。自己判断ではなく、医師や薬剤師、漢方医などの漢方薬に詳しいプロに相談することをおすすめします。

神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。世界中の人に漢方薬で健康になってもらいたいという想いから、症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談できるオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。あんしん漢方(オンラインAI漢方)はこちら

編集/根橋明日美

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