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藤井やよいさん(以下、藤井) 私は今44歳なんですが、少しずつ心身の不調を感じることがあって。たとえば夜中に汗をかくとか。
八田真理子先生(以下、八田) 40代からは女性の守り神、女性ホルモン・エストロゲンの分泌が急激に低下してきますから。
藤井 ですよね。不調改善のために山梨の薬局でオーダーメイドの漢方薬も作ってもらっているのですが、自身でできる対処として、女性ホルモン・エストロゲンに似た働きをする食品由来の成分を摂るという方法があると聞きました。
八田 エクオールという成分ですね。
藤井 エクオール!聞いたことがある気がします。
八田 エクオールは大豆イソフラボンが腸内細菌で代謝されて作られる成分で、女性ホルモンの一つであるエストロゲンに似た働きをしてくれるんです。目尻のシワ軽減や、糖や脂質の代謝、血管機能の改善も期待できると言われています。
藤井 えっ?美肌効果と糖や脂質の代謝も助けてくれるかもしれないんですか?40代以降は太りやすくなると言われていますが、エクオールを味方につければオバサン体型にも良いのかしら⁉
八田 そういう可能性もありますね!女性の元気やイキイキとした笑顔を引き出す成分としてすごく注目されているんですよ。
藤井 それは味方にしたいです!鏡で自分の顔を見て「まだ大丈夫!」と思うと、生きるモチベーションもテンションもググッとあがりますもんね(笑)。
藤井 エクオールとエストロゲンは、本当に形がよく似ていますね。
八田 そうなんです。エストロゲンの分泌量が減ってしまう美ST世代には、注目してほしい成分ですよね。
藤井 大豆イソフラボンから、腸内細菌で代謝されて作られる成分ということでしたが、大豆食品を食べたらいいんですか?
八田 それが、そう単純でもなくて。なかなかハードルが高いんですよ(笑)。
エクオール10mgとは、エクオールを作れる人なら豆腐200g、または豆乳コップ1杯(200㎖)、または納豆1パック(約50g)を摂ったときに腸内で作られる量に相当します。
※大塚製薬の研究によると、エクオールを作れない閉経後女性が 1日10mg のエクオールを12週間摂取することで、ホットフラッシュ・首肩こり・目尻のシワ・糖や脂質の代謝・血管機能・手指の痛みを改善し、 1年間の継続摂取で骨密度の減少を抑制したという報告があります。
八田 ですが、まず知っておいていただきたいのは、エクオールを腸内で作れる人と作れない人がいて、日本人では2人に1人の割合で作れないんです。
藤井 えっ?2人に1人が?どんなに大豆食品を食べても?
八田 そうなんです。欧米人は3割の人しか作れないですし、食生活が欧米化している日本の若い世代も2~3割の人しか作れないという研究結果があります。
藤井 そんなに少ないんですね。
八田 これは小さい頃からの食生活などが関わっていて、腸内環境の問題では、と言われています。大豆を多く摂れる和食中心の食事、たとえばご飯にお豆腐の入ったお味噌汁、煮豆といった素朴な料理を食べてきた人はエクオールを作れる可能性が高いですね。
藤井 あ、我が家は比較的、大豆食品を食べる家庭だったと思います!
八田 でも、エクオールが作れる人でも普段の食事では大豆食品自体あまり摂っておらず、1日平均約3mgしか作り出してないと言われています。エクオールの有用性を期待できる値は10mgと考えられているので、3mgでは十分ではないですよね。もちろん大豆製品を食べない日は作れませんし、そのうえエクオールは作られたとしても1~2日で排出されてしまうんです。
藤井 体内にとどまらないんですね。
八田 ちなみに私は作れない派なんですよ、残念ながら。だから9年前からエクオールを直接摂っています。
藤井 直接補えるんですか⁉サプリなどですか?
八田 そうなんです。大豆食品からだとエクオールを作れる量は腸内環境に左右されてしまうのですが、サプリなどなら確実に摂れるんです。もちろん、日々の健康のためには、食事・睡眠・運動といった生活習慣を整えることが前提です。
藤井 エクオールを含む健康食品と言ってもかなり種類があると思うんですが、どうやって選べばいいですか?
八田 口に入れるものだから食事と同じように、どうやって作られているのかが重要。エクオールサプリは大豆を発酵させて作るのですが「何の菌で発酵されているか」が分かるといいですね。乳酸菌など、安全性がきちんと確認できているものを選ぶといいでしょう。
藤井 なるほど!乳酸菌で発酵させているものがあるんですね!私たちには身近ですし、安心ですね。
八田 合成・抽出・濃縮を一切していないものもいいですね。あとは医療機関や調剤薬局などで相談してもいいと思います。
藤井 クリニックに置いてあるのを時々見かけます。
八田 学会や論文で研究結果が報告されるなど、有効性や安全性のエビデンスがあって信頼できるものを選んでいただきたいと思います。
藤井 他に、摂り方のポイントなどはありますか?
八田 まずは、研究結果から、1日10mgを目安に摂っていただくのがお勧めです。また、エクオールは摂取後すぐに吸収されて8時間ほどで血中濃度が半分になってしまうので、1日のうちで分けて摂ってもいいかもしれません。
藤井 何歳から摂ってもいいものなんでしょうか?
八田 実は、エストロゲンが十分に分泌されている20代の性成熟期に摂ったとしてもエクオールはエストロゲンの過剰な状態を抑えてくれる役割もしてくれるんです。
藤井 逆に閉経後はどうですか?
八田 もちろん、問題ありません。人生100年時代、更年期以降エストロゲンが低値の状態が続きますので、エストロゲンに似た働きをするエクオールは、健康と美のために有用な成分だと考えています。私が思うに、エクオールは床暖房のようなもの。女性をふんわりぬくぬく温めてくれるイメージ。ホルモン補充療法はつけたらすぐに温まる石油・ガスファンヒーター。漢方薬は電気ストーブみたいに足元からじわじわ温まるって感じでしょうか。私は、よく講演でもお伝えするのですが、どれかに絞ることなく、全部やっていいんですよ、と。
藤井 なるほど! 50代になるとエストロゲンが少なくなるとは聞いていたのでなんとなく不安だったのですが、対策することができると聞いて安心しました。
八田 もちろん40代から50代にかけて、きちんと栄養バランスのとれた食事、十分な睡眠、適度な運動を確保する生活に改善しておくのは必要です。早くからセルフケアをしておくのは、体のベース作りとして有効だと思います。
撮影/浜村菜月(LOVABLE) ヘア・メーク/榎田茉季(ROI) 取材/柏崎恵理
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