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日本では、半数以上の夫婦がセックスレスに陥っているといわれます。そのなかには「夫婦仲は良好」という人たちも少なくありません。栄養士として働くえみかさん(仮名・55歳)も、研究職の夫・次郎さん(仮名・53歳)と「35歳の時」からずっとレス。それでも「夫婦仲はいい」と話します。レスであることに不安を抱えていた30代40代を経て「閉経して吹っ切れた」と笑うえみかさんですが、いまはまた別の悩みがあるといいます。
「レスになったのはずいぶん昔の話ですけど、最初は私から拒否した覚えがあります。『授乳中はできれば胸を触られたくない。そういう気になれない』と。ホルモンの影響もあったのか、その時期は性交渉そのものに嫌悪感がありました」
当時はお互いまだ30代。「悪いな」と思いながらも断っていたというえみかさん。
「夫は性交渉を断っても『あ、そっか』という感じでさほど残念そうでもなくて。それはそれでちょっとプライドが傷ついた記憶があります。我ながら勝手ですよね。もともと私より疲れやすい人なので、断られても『ちょっとがっかり』程度だったのかもしれませんね」
しかし30代後半には、えみかさんのほうが2人目を望む気持ちが強まってレス解消に興味が。そのころ、次郎さんは他県の職場に転勤になっていました。
「私から性交渉を再び持ちたいと思うとは意外でした。人間も生き物ですから、繁殖期というか、そういうタイミングってあるんですねきっと。ただそのタイミングが夫と合わない。私がOKの時期は夫はほぼ単身赴任で、帰宅は週末のみ。就寝時に私がくっついたり誘ったりしてもくすぐったそうに苦笑いするだけ。『ああナシなんだな』と悟りました」
30代後半に短大に入り直し、栄養士資格を取得したえみかさん。
「30代40代は多忙を極めました。勉強して、義父と実の両親を看取り、義理の母の介護の手続きや施設入所の手配。息子の受験にも追われて……。右へ左へ走り回っていた記憶しかありません」
性生活を振り返ると完全にレスだったといいます。
「そんなことより先に悩むことが山ほどありましたから、揉めることもなく二人三脚で息子を育て上げました。たまにレジャーを楽しむこともありましたし、それでなんとかストレス解消をして必死で生きていました」
それでも生理の前後には「このままレスを放置していいのだろうか」と、ふと罪悪感や不安がよぎることも。
「極端な思考でお恥ずかしいですし、ちょっとメンタルがおかしかったと自分でもわかっているんですが、生理になると『また無駄に排卵してしまった。この少子化の時代に…』なんて変な罪悪感にとらわれて落ち込むことがありました。いま思えば落ち込むのはPMS(月経前症候群)の症状だったのかもしれません」
53歳で生理が乱れ、55歳で完全に閉経したというえみかさん。
「『これでやっとあの謎の罪悪感から解放される!』と思いました。実際、生理前後のネガティブ思考は気づけば消えていましたね」
しかし、えみかさんには新たな悩みが生まれました。
「我が家は性交渉こそないけれど、『人前でイチャイチャすんなよ、キモい』と息子に言われるくらいスキンシップは多いほうなんです。私も夫もどこか子供っぽいのか、お花見で寒い時は体を寄せたり、寝る前にバックハグしたり。手をつなぐのも平気でした」
ところが閉経後、妙にスキンシップに抵抗を感じるようになったそうです。
「キモいとかウザいとか、そういう攻撃的な感情じゃないんです。『スンッ』とした感じというか……。小学生のころやたら抱きついてくる友達に『ちょっとめんどくさいな、この子』と思った、あの感覚に近いかもしれません。ソファで映画を観ているときに肩を寄せられると『近い近い』って、パーソナルスペースを侵されたような居心地の悪さを覚えます」
これもホルモンの影響なのかな、と自己分析するえみかさん。
「あきらめて少し密着したあと自然に身を引くようにしています。30代の『子供がほしいし性交渉をとりたい気分』と同じで、その年齢なりの反応が出てくるんだと思うんです。『相手のことは好きで、嫌な思いはさせたくない』と思っていればなんとかなるはず、と考えすぎないようにしています」
※本記事では、プライバシーに配慮して取材内容に脚色を加えています。
取材・文/星子 編集/根橋明日美 イメージ写真/PIXTA
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