HEALTH

薬剤師に聞いた!顔や脚がパンパン…な「酷いむくみの解消方法」5選

顔や体のむくみが気になることはありませんか? むくみは、体内の老廃物などをうまく排出できずにたまった結果生じるものです。むくみと同時に起こりやすい、手足の冷えや肩凝りなどに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、むくみのメカニズムと改善策を紹介します。

1.むくみの原因は?

むくみは、リンパ循環が滞ることで生じます。リンパ循環とは、リンパ液がリンパ管を通って静脈まで運ばれる一連の流れのことです。
リンパ液は毛細血管から漏れ出た血漿(けっしょう)成分で、毛細血管から1日に約20Lも漏れ出していますが、漏れ出したリンパ液のうち、大部分の8〜9割が再び血管に吸収されます。一方、残りの1〜2割のリンパ液は、リンパ管を通ってリンパ節に入り、最終的に静脈まで運ばれます。
このリンパ循環が「リンパ液がうまく流れない」「毛細血管からの漏出が過剰」「毛細血管でのリンパ液の再吸収される量が減る」など何らかの原因でうまく働かなくなると、むくみとしてあらわれるのです。

リンパ液には老廃物などの有害物質を、汗や尿、便として体外に排泄する働きがありますが、それらがうまく排泄できず体にたまることでもリンパ液の流れは悪化します。リンパ液の流れが悪くなると、さらに有害物質を体外へ排泄しにくくなるという悪循環に陥る可能性があります。
この悪循環に陥ってしまうと、むくみだけでなく肥満や便秘、セルライト、ニキビや吹き出物などの肌トラブル、老化、免疫力の低下などを引き起こしてしまうのです。

2.リンパ循環に悪影響を与える要素とは

多くの場合、生活習慣の乱れが引き金となってリンパ循環に悪影響を与えているため、塩分の摂りすぎ、偏食や暴飲暴食、睡眠不足、過労など普段の生活習慣を見直すことが重要です。
他にも、がんや感染症、心臓病、腎臓病、肝臓病、甲状腺などのホルモン異常、血栓症、静脈瘤、やけどやアレルギーなど、病気が原因となる場合もあるため、生活習慣を改善してもむくみが解消されない場合には、病院を受診することをおすすめします。

3.むくみ解消のためにできること

むくみを引き起こす原因であるリンパの流れをよくするために、普段の生活にすぐに取り入れられる方法を5つ紹介します。

①偏食・暴飲暴食を控える

偏食や暴飲暴食は、むくみの原因のひとつです。栄養バランスのいい食生活を心がけましょう。
有害物質を体に溜め込まないために、おすすめの食材を紹介します。
ひとつ目は、有害物質の排出を促す食材。リンゴ、ごぼう、きのこ類、海藻類などがあります。
ふたつ目は、
有害物質を包み込み体内で吸収されにくくする食材。長ネギ、タマネギ、にんにく、ニラなどが該当します。
3つ目は、
有害物質を無毒化するのに役立つ食材。ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、大根、にんにく、長ネギ、タマネギ、海藻類など。これらの食材にはミネラルのひとつであるセレニウムが多く含まれており、セレニウムには有害物質を無毒化する働きがあります。
尿や便による排泄を促して有害物質を排出するためには、これらの食材を積極的に摂ることに加え、しっかり水分補給をして、油分や塩分の多い食事を控えることが大切です。

②睡眠をしっかりとる

リンパの流れを良くしてむくみを予防するためには、睡眠をしっかりとりストレスをためないことが重要。リンパの流れには自律神経が関わっていて、副交感神経が優位になる必要があります。夜になると副交感神経が優位になり眠気を感じて睡眠に入っていきますが、ストレスがたまっていると、交感神経が刺激されて夜になっても副交感神経が優位にならず、リンパの流れが悪くなりむくみやすくなってしまいます。
睡眠時間を確保するだけでなく、睡眠前は部屋の電気を暗くしてスマホなどの電子機器を触らないなど、睡眠の質を上げるための習慣を取り入れてみてください。

③過労など、生活習慣の乱れを見直す

生活習慣の乱れはストレスの原因になります。ストレスがたまると自律神経が乱れリンパ循環が悪化しやすくなるので注意が必要です。湯船に浸かってリラックスしたり夜型の生活を見直してみたり、ストレスをためない生活習慣を意識していきましょう。

④体を動かしたりストレッチやマッサージをしたりする

体を動かして血流を良くすることがむくみ解消に重要です。運動不足で筋肉が凝り固まっていると、血流やリンパ液の流れが悪くなります。
マッサージや運動によって凝り固まった筋肉をほぐすことで血流やリンパ液の流れが改善されます。
マッサージをするときは、リンパ腺の合流ポイントを中心にほぐすといいでしょう。耳の下から鎖骨、わきの下、足の付け根の周辺を意識してマッサージしてみてください。
また、運動して汗をかくことも老廃物などの排泄につながります。さらに運動によって新陳代謝が上がると血流も良くなり、老廃物などを排泄しやすくなるため、ウォーキングやランニングなど、適度な運動習慣をつけていきましょう。

⑤漢方薬を試してみる

むくみ対策には、生活習慣の改善と併せて漢方薬を服用するのもおすすめです。婦人科や内科などでも、自然由来の治療薬として漢方薬が処方されています。
むくみの原因は、偏食や暴飲暴食による食生活の乱れ、不規則な生活習慣による体内の水分代謝や自律神経のバランスの乱れだと考えられています。そのため、水分の循環を良くしたり、自律神経のバランスを整えたりする漢方薬を選ぶことで、むくみの根本改善を目指せるのです。
むくみの解消のため、食生活や運動習慣、睡眠の改善に取り組もうと思っても、忙しくて始められない人も少なくありません。しかし漢方薬は服用するだけでいいので、忙しい人でも気軽に始められます。

<むくみ対策におすすめの漢方薬>

五苓散(ごれいさん)
余分な水分を体外に排出して、むくみや頭痛、めまいを改善します。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
血行を良くし水分代謝を促して、余分な水分を体外に排出することでむくみや冷えの改善に役立ちます。

漢方薬は、効果だけでなく自分の症状や体質に合ったものを選ぶことが重要です。合わないものを選んでしまうと、効果を感じられないだけでなく、副作用が起こることもあるため注意しましょう。そのため、漢方薬を選ぶ際は、漢方薬に精通した医師・薬剤師に相談することをおすすめします。
忙しくて病院に相談しに行く時間をとれない場合には、オンライン漢方薬個別相談サービスもおすすめです。スマホひとつで気軽に利用できるのでチェックしてみましょう。

教えてくれたのは…「あんしん漢方」薬剤師 碇純子さん

教えてくれたのは…「あんしん漢方」薬剤師 碇純子さん

薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学)。神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。

編集/根橋明日美 写真/PIXTAほか

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