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美肌の湯 その18 福島県 甲子温泉・旅館大黒屋 編集/井上 智明

…さて、前回の更新からずいぶん日にちがたってしまいましたが…
もちろん温泉は行きつづけていて、写真もいっぱい撮っているんですよ。
ただ、忙しいのと、本来のいい加減な性格がたたって更新が滞っていただけです。
と、いうことで真夏に冬の温泉です。納涼な感じです。

さかのぼること3月、某平日にめでたく休みが取れたのでかねてから気になっていた福島県南部の山奥、甲子温泉というところに向かいました。ここは新幹線の新白河駅からバスに乗っても行けなくもないのですが、最寄りのバス停からでも4キロ(!)あるので、基本的にはお宿のお迎えの車で向かうことになります。車で行こうにもメートル単位のこの雪ではちょっと自信が持てません。何せ最近は、他人の力を借りて温泉に行くラクチンさに目覚めてしまって、このパターンが多いんです。

で、お昼に白河ラーメンを食べて、13時20分新白河駅発のお迎えバスに乗り込みました。「・・・?」、お客は…あれ?後部座席に女性が2人座っているけど、荷物とかいでたちからしてお客には見えません。運転手さんとのトークで、このお宿の従業員さんだということがわかるのですが、出た!「送迎バスオレ様ひとり占め状態」です。これ、たまにあるんですよね。片道40分、人件費とガソリン代ごめんなさい!の世界。しかも雪道の中…従業員さんでもだれでもいいから乗っていてくれたほうが罪悪感が和らぎます。

そして、運転手さんしゃべるしゃべる!たいていこういうシチュエーションの話はつまんないことが多いのですが、これがトークうまいんです!で、その流れというか成り行き上、通り道の名所「雪割橋」まで案内してくれることに。この橋、高いです、怖いです(高所恐怖症なので)でも雪景色が水墨画みたいで美しいです。そうこうして国道を進んでいくうちに、だんだん雪が深くなって宿の近くは雪が深すぎて周りがどうなっているのかわかりません。一軒宿なので、集落とかないし。

で、14時にお宿到着。最近リニューアルされたのでまだ建物の木材の色合いも明るく、いい香りがします。ロビーで雪を眺めながらぼんやりお茶をいただき、部屋まで案内してもらいます。この仲居さんもまた明るく楽しくおしゃべりしてくれます。…あの、基本的にわたくし、宿についたら「ほっといてください」モードに入るので、あまり話しかけないでオーラを出すのですが、お構いなしにおしゃべり。でも全然嫌じゃないです。むしろ何だかなごみます。お宿がリニューアル中は、スタッフでよその人気旅館に視察を兼ねて社員旅行に行ったんですって。へぇ~そういうことするんだぁとかわかってけっこう新鮮。

で、新しくて広いお部屋でまた雪を見てぼんやりして(早く着くと余裕があっていいですね)、おもむろに宿の名物でもある混浴大岩風呂に向かいます。

雪の中、橋を渡っててくてくと。

ここはリニューアル前からずっとある、雪に降られながら橋を渡って行くお風呂。広くてちょっと深めの浴槽に、ちょっとぬる目のお湯が大量に掛け流されているのです。外は降り積もる大雪なのにぬるくて大丈夫?なんて思いながら入ったのですが、大丈夫でした。長時間浸かってもカラダに負担がかからず、入っているうちにほんわかあったまってきます。

これじゃ、わかりませんが(俺サマメインなので)かな~り広い。

で、部屋でまた雪見てぼんやりして、あ、なぜこんなぼんやりしてばっかりかというと実はここ、ケータイがかなり厳しくて、1階ロビーに行くとソフトバンクがばっちり入る(本当に珍しいです、ソフトバンクが入るなんて!)以外は電波ゼロ本とかなのです。むしろ、いつも追いかけてくるアイツとアイツざまあ見ろって感じで、せいせいします。でも、たまにつながるから連絡は来るんですけどね。メールも見れるし。

で、ぼんやりし終わったら、新しくできた露天風呂付きのお風呂へ。こっちは別の源泉でけっこうあったかめなので、ガッツリ体温あげたい方はこちらへ。しかも、当然雪景色満喫です。泉質はどちらもそこまで濃厚というわけでもなく、単純泉~硫酸塩泉なので保湿効果があって、マイルドに肌とカラダに優しいのです。

雪見の露天風呂にて。

で、すっかりふやけ切ったところでお待ちかねのごはんです。

これまたリニューアルされたお食事処、ゆるめの仕切りでなんとなく部屋ごとに区切られています。個室すぎると何だかせまっ苦しいので、こういう作り、好きです。

いつも、僕は食事のときはデジカメを持ってって、出てきたものをいちいち撮影しているのです(しかもあとでちゃんと整理してる)が、ここでまた食事の給仕をされる女性がデジカメを目ざとく発見して、「お撮りしましょうか?」。と、いうことで食事どき、日本酒を前にご機嫌な一枚というのを撮ってもらいました。

自撮りではないのでこんな感じ。ということで、ご機嫌です。

こういうのはじめてです。照れくさいけど、気さくでおしつけがましくないから、ちょっと嬉しかったりして。で、食事もヤーコン白和え、こごみ黒胡麻酢、うるい梅肉、あみ茸、むかご豆腐、雪鱒の刺身…ていねいに味付けされた山の幸が少しずついろんな種類出てきて、日本酒が進む進む!

お酒が進む、小鉢の数々❤
そして、和牛源泉せいろ蒸し!ここでもしっかりあったまりました。

とろける幸せ和牛せいろ蒸し。

栃餅をデザートにいただいた以外の食後のお楽しみもありました。それは「テン」です。そう、あの生き物の。お宿のほうで餌付け(?)されていて、夜になるとロビーのガラス越しにお目にかかれるかも、だって。しかし、待てない…なぜなら眠いから。睡魔には勝てませぬ。ということでテンを断念して、部屋に戻って寝てみたのですが…仕事の電話で起こされました! 相当ムカついたのですが、急ぎの件だったので、電波状態のいい1階のロビーに電話をかけに降りて行きました。…と、白くて細長い物体が窓の外に!いた!テンだ!思ってたより可愛い❤なんか食べてる。これはシャッターチャンス!と思って撮影を試みたのですが、暗いのと動くのと自分が下手くそなのでちゃんと撮れない(涙)!でもこっち見てる! すっかり目も覚めて撮影に夢中です。動物好きな(しかも白いのが好き)もので、こういうのツボなんです。宿の人たちもつい情が移って餌付けちゃったんだね。

心霊写真じゃないです。走るテンです。

ということで酔いも覚めたので、もう一度お風呂へ。優しい気持ちになったところで優しいお湯に浸かって心身ともにすっかり緩みきった状態。とってもよく眠れました。

翌朝は、また橋をてくてく渡って混浴大岩風呂へ。ちなみに女性専用時間が1日2回あるので、実際に混浴になることはなかったです。美味しいお米が主役の朝ごはんをしっかりいただいて、もう一回お風呂入って帰りのバスに乗り込みました。

帰りは行きと違う運転手さんで、僕の他にもお客さんが乗っていました。で、またこの人がいい人で、また勧められるがまま行きにも見た「雪割橋」を見学していくことに(笑)。だって、他のお客さんが見たそうだったから、僕はもう見たし結構ですって言えなかったんだもん。でも、もうひと組のお客さん、昨日自家用車で宿に向かっていたけど、雪がひどすぎて車を途中で断念して、宿の人に迎えに来てもらったそう。そりゃ大変だったんだねぇ。宿の人も「じゃあ、車はどこそこに停めて、そこに迎えに行きます」と対応してくれたそう。いい人たち~。

ということで、このお宿、お風呂もいいし、食事もいいのですが、何より、居心地がよいんです。その大きな要因はスタッフがみんな「いい人」で、それがすべてに表れているから、なんですね。また行きたい、というより何回も通いたい宿がまたひとつ増えました。

―――で、この宿を訪ねてから約1ヶ月半後。

朝っぱらから宅急便が届きました。なんやねんと思ったら送り主は「ふくしまファンクラブ事務局」。「!」そうだった。このお宿に泊ったときに「今キャンペーン中で、1万人に当たるから、結構チャンスあるんで応募してみて下さい!」って応募用紙もらってちゃっかり出してたんでした。中身は…って開けると日本酒だった。しかも純米大吟醸!パッケージからして高そう。しかもおまけつき。ありがとうフロムふくしま、ってステッカー、ありがとうはこっちのセリフです。もう本当に近いうちに、また温泉入りに行きます!

●甲子温泉 旅館大黒屋
福島県西白河郡西郷村真船字寺平1
☎0248-36-2301
東北自動車道白河インターより車で40分くらい
東北新幹線新白河駅より送迎バスで40分くらい
www.kashionsen.jp/

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美肌の湯 その18 福島県 甲子温泉・旅館大黒屋 編集/井上 智明

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