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美肌の湯 その11 山形県・月山志津温泉「変若水の宿 つたや」 編集/井上 智明

ブログを更新する前に。
3月11日の東日本大震災で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
時間はかかると思います。でも、少しでも早く「いつもの毎日」にもう一度近づけるように、自分にできること、もちろん小さなことしかできないと思う、でも、それを少しずつ、そしてずっと続けていこうと、ひと月たって思いを新たにしています。

このブログでは東北の温泉宿を多く掲載しています。
ちょっとひなびた感じ、人があったかいところ、白いお米が抜群においしいところ、何よりどこもお湯がいいところが大好きでよく通っているんです。
今回のお宿も実は2月のうちに行っていて、そろそろアップしないと雪もなくなっちゃうなあ、なんて思いつつ書きかけていたものです。
今回紹介する、山形県・月山志津温泉「変若水の宿 つたや」は、震災で被害に遭われた方や支援活動をされている方のために、びっくりするほどの破格のお値段でお部屋を提供されているそうです。山形県をはじめ、東北地方の多くの温泉宿がこのように、被災された方や支援されている方の宿泊を受け付けています。(もちろん通常の宿泊も受け付けています)このブログで以前掲載した赤湯温泉の「いきかえりの宿 瀧波」でも同様の支援活動をされているようです。その気になれば、できることっていろんな方法があると実感。詳しくは各お宿のHPをご覧ください。

そろそろ本文に。

さて、今回はここんとこ2月の恒例行事となった「雪にまみれて温泉につかる♨」シリーズの第4弾(もっとあるかもしれん)です。
凍えるくらいの寒さの中、浴衣脱ぐのも辛かったり、頭に雪乗っけたり、髪の毛凍らせたりしながら入る温泉が大好きです❤
で、一年で一番寒いと思われる2月に積雪が何メートルにもなるような温泉地に出かけて行って、雪見の露天風呂を満喫することにしているんです。根っからのドM体質にはたまりません。今回、伺ったのはここ最近気になっててずっと行きたかった、山形県・月山志津温泉の「つたや」。師匠の石井宏子さんも「あのパンチあふれるお湯には一度浸かるべし」とおっしゃっていたし。でも、東京から遠いんです…山形駅からこの雪の中バスを2本乗り継いで(しかもアクセスいまいち)1時間半くらい。クルマならきっと6時間はかかるような…雪道の運転苦手だし。で、ずっと機会を狙っていたのですが、なんと冬季には宿から駅への送迎車が出ていることが発覚!これだと、乗り換えなしで1時間!結構遠いのになんて太っ腹!ということで、2月の3連休に念願かなって行ってきました。
山形に着いたときから、ちらちらと雪は降っていたのですが山形自動車道はもう途中から車窓の景色はいきなり雪の壁!景色とか見えません。すげ~こんな高速初めて見た! 関越道だったら通行止めだよ…「いつもの年より2メートルは多く積もってますね」なんて宿の方がサラッと言うし。

お宿の前から見る景色。雪の壁に取り囲まれています。

温泉街に着いても雪が多すぎて真っ白で街の全貌なんて全然わかりません。
で、もちろん宿についたら暖房ぬくぬく❤
この落差も寒い土地の温泉でのひとつのお楽しみです。

で、早い時間にチェックインしたので、早速お風呂❤ってことで、まだ誰も入っていない貸切風呂へ。…あっつ!いっぺんに全部入れません。みるみる脚から真っ赤になっていきます。あ、でも一回入ると大丈夫かも。窓の外は…片側はいきなり雪の壁。でも、雪の壁の下のほうから、うさぎさんが「こんにちは」しています。凝ってるなあ。どうやって作ったんだろ。もう片側は雪景色が広がります。

よくできてるよなあ。

ひとり占め気分を満喫して、お湯から出たり入ったりを繰り返して楽しみました。
で、お風呂上がりに館内をぶらぶらしてから、メインの大浴場と露天風呂へ。…やっぱり。さっきのお風呂とお湯が違う気がする。こっちのほうがパンチがあります。色も少し緑っぽい。いいねえこの感じ。泉質はナトリウム-塩化物泉。塩分が多いせいかすっごくあったまる気がします。この季節、シチェーションにピッタリです。で、露天風呂へ。だた、ここも雪の壁。何も見えん。かまくらの中にお風呂があるみたい。
どうも、内湯が一番お湯が濃ゆい気がするので、ほぼずっとここのお風呂に入って寝っ転がったり、半身浴したり、鼻唄歌ったり…そしてお風呂場の端っこのほうにある源泉そのままの液体。ここの成分はあまりに濃すぎてそのままだと入れないらしいです。なので、浴槽では薄めて温度調整して使っているそう。それでもしっかり濃ゆいですが。

貸切風呂にて。実は熱いの我慢してます。

で、但し書きに「タオルにお湯を浸して、それで体や顔を拭いたりするといい」と書いてあったのでその通りにしたり、タオルにお湯をたっぷり含ませて、お風呂で寝っ転がって顔に乗っけてパック状態にしたりと、源泉も満喫。

ちょっとだけなめてみたらやっぱしょっぱい。色も、濁った緑茶みたいな色でこれは確かに源泉そのままでは相当強烈だな…と思いました。

で、こんな強烈なお湯にぐったりしているうちに、ごはんの時間。そうです、このお宿の大きなお楽しみはこの食事にあるんです。結論から言うと、山の素朴な温泉宿で出されるものの中でも最高峰です!山菜も川魚も「まんま」ではなく、上品にちょっとひと味工夫がされていて、もちろん温かいものは温かいうちにひと品ひと品できたてが供されます。

岩魚の香草焼き茸添え。ただの塩焼きではありません。

特にぜんまい、うど、わらび、ふきのとう…山菜は、普通のおひたしや天ぷらがわけもなくうまい!なんでだろう、日本酒もすすみます。山形名物のそばやなめこ汁と続いて、山形牛❤

ちょっとずつ、食べたいものが次から次へと運ばれてきてもう満腹、もう幸せ。

…で、いつものようにひと眠りした後、また大好きな内湯へ。
お?なんと、湯舟の脇に可愛く日本酒が置かれてる♪噂には聞いてたものの、やっぱり嬉しいです。酔っ払って溺れないようにちょっとだけいただきました。

見た目も可愛い日本酒セット。これを抱えて撮影してみたのですが、あまりにキモいので、これにしました。

なんだか体の外からも中からもじんわりあったまってきた~。さらにまた源泉をタオルにたっぷり浸して頭からかぶったりして楽しみつくさせていただきました。

で、またまた幸せな気分で眠りについた……のですが、なんと!次の日、朝、起きれない!という異例の事態が発生してしまいました。いつもは、朝ごはんの1時間前に目覚ましをかけて起き出して朝風呂をしっかり楽しんで腹ごなしをしてから朝ごはんなのですが、今日は、起きたのが電話のベルの音。

???と思って受話器を取ると、「朝ごはんのお支度ができております」の声。しまった~っ!温泉に行って寝坊するなんてほぼゼロ、のオレ様が寝坊するなんて~(ちなみに、仕事で寝坊したことは数知れず)ダッシュで半纏羽織ってお食事処へ。寝ぐせ頭です。しかも、9時という遅い時間に設定していたので、お客もまばら。あせって、ごはんかきこみました…がうまい!お米もちっちゃいおかずもけんちん汁も寝坊したのにあったかい。無農薬野菜のサラダやこごみ、ひりこ、納豆、黒豆…朝食にもお品が気があるくらい、いっぱいテーブルに並んでいます。これで寝坊しなくてもっとゆったりした気分で味わえたらもっと幸せなのに。とにかく、迷惑にならない程度に急いで、でもしっかりほぼ完食させていただきましたよ…おかわりもした。

結局お風呂の成分が濃すぎて、どっと疲れが出てしまったらしく、目覚ましの音にも全く気付かなかったみたいです。恐るべし、濃厚温泉。調子に乗って長風呂してたしなあ。

ああ、でも朝風呂が…と落ち込んでみたのですが、お迎えのバスの時間は11時。でも、お風呂はもう掃除していたような…おそるおそるお宿の人に聞いてみると「あ、大浴場は清掃中ですが、貸切でしたらどちらもまだ大丈夫ですよ」と。よ、よかった!宿のお姉さん親切❤

ついでに、宿についたときからの疑問、「お風呂ごとに泉質やお湯は違うんですか?」と聞いてみたところ、「よく言われるんですよ~、でも同じお湯なんですよ。湯舟の大きさやなんかが違うからそう感じられるのでしょうか?」と教えてもらえました。まだまだ、僕も修行が足りません。見た目や浴槽の環境に騙されて肝心の泉質がわからなくなるなんて。
美の道も同じ、外見よりも本質をしっかり見極めなければ、それを語る資格、なしですね。
反省です。もっと、いろんなお湯に浸かってみないと!

寝坊はしたものの、何とか朝風呂にも入れてカラダもあったまって大満足の滞在という感じで、よかったよかった~。

しかしですね、この数時間後に山形市内で某公共の建物の中にある穴場温泉を探して、降りしきる雪の中1時間半ほど道に迷い、やっと発見したものの、新幹線の時間が迫っていて結局10分もお湯に入っていられなかった、という残念すぎる事件が起こってしまったのですが…お湯の本質どころか、地図すら読めないオトコはダメですね。

月山志津温泉 変若水の宿 つたや
山形県西村山郡西川町志津10
☎ 023-775-2222
山形道月山インターより10分、山形駅からバスなら月山口まで1時間強。
月山口から送迎あり。冬季は山形駅より送迎あり。
www.gassan-tsutaya.co.jp/

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