HEALTH
何だか今年は、いろんなウイルスが流行っている気がしませんか?子供たちの間ではマイコプラズマ大流行、秋でもプール熱など夏風邪にかかったり、季節外れのインフルエンザで学級閉鎖……一方大人も、電車などでコンコン咳をしている人をよく見かけ、寒暖差や秋のアレルギーで咳喘息になっている人も多いよう。コロナを経て、マスクが外れて一気にあらゆる感染症が流行中とか?それは…これからやってくる冬、そして年末年始が不安すぎる!実際のところどうなんですか?咳や呼吸器に詳しい先生に聞いてみました。
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A:特効薬はありません
風邪の原因の9割はウイルス性で、1割は細菌性で、どちらもうつります。ウイルス性の中には、200種類に及ぶ色々な病原体が関与します。このタイプの風邪に特効薬となる抗ウイルス薬はありません。細菌性なら抗生剤の使用を検討します。細菌性だと、白色痰や白色鼻汁でなく、黄色痰や黄色鼻汁となります。鼻から喉、声帯までを上気道と言い、上気道に生じる感染が風邪です。声帯より下では、気管支炎、肺炎となります。今年、マイコプラズマは小児で大流行です。成人では、風邪、寒暖差、秋のダニアレルギーを契機に咳喘息を発症、悪化する方が増加しています。
A:本当です
コロナ禍のマスク生活で、コロナ以外の感染症は減少しました。最近はマスクをしなくなり、あらゆる感染症が増加しています。
A:咽頭痛、鼻汁、鼻閉、咳、倦怠感、頭痛、食欲低下など
喉の痛み、鼻汁、咳、頭痛、発熱、倦怠感などの一連の体調不良を指します。いくつかの症状が比較的緩徐に出現するのが特徴です。
A:風邪のほとんどは、飛沫感染、接触感染でうつります
インフルエンザは、飛沫感染、接触感染、一部エアロゾル感染。新型コロナは、飛沫感染、エアロゾル感染が中心。会話やくしゃみ、咳などで出た飛沫を他者が吸引することで起こるのが飛沫感染で、病原体が含まれた空気中にただよう微小な粒子を吸引することで起こるのがエアロゾル感染です。風邪は飛沫感染と接触感染でうつりますが、一部の免疫が高い人は、感染しても症状が出ない(不顕性感染)またはとても軽く済むことがあります。
A:これは微妙なところです
小児と大人では重症化するウイルスが違います。RSウイルスは幼児では細気管支炎や肺炎など重症化リスクがあり、大人は風邪程度。ロタウイルスもお子様では下痢や嘔吐など辛くなりますが、大人では軽症か無症状。一方で、大人の方が重篤になるウイルスや細菌もあります。風疹や百日咳は大人の方が辛いことがあります。小児は年5~6回風邪を、大人は年2~3回風邪を引くと言われています。小児がいる家庭のパパ、ママはお子様から感染して、大人でも風邪の回数が増加。子供がいる家庭の大人はそれだけ風邪リスクが高いということでしょう。
A:あります
肺炎でも高熱が出ず、風邪と勘違いしている方もいらっしゃいます。
A:まずは睡眠です
米国の研究で、睡眠7時間の人と比較して、6時間未満で風邪を4.2倍罹患、5時間未満で4.5倍罹患とする報告があります。そしてウォーキングなど軽度の運動で免疫アップ。タオルの共有を避ける。食事を一緒にしない、などです。
葛根湯と軽い運動がおすすめ
葛根湯は良いと思います。ビタミンCのサプリを増量するのが効果的という医学的エビデンスはなく、おすすめしません。発熱や咽頭痛など、明らかに風邪なら寝ることが重要です。風邪の超初期で風邪になるかも程度の時、または周囲に風邪の人がいてうつるのが心配なら、ウォーキング10~15分程度は宜しいと考えます。軽度の運動は免疫をアップします。熱いお風呂での入浴は体力を消耗するのでNG。シャワーで軽く流すと、髪や顔などからのウイルスも流して家庭内の感染予防に。食事は消化の良いものを。食欲がないなら、喉越しのよいゼリーや果物で脱水にならないよう水分摂取をしましょう。
・ウォーキングしながら日光を浴びる
ビタミンD生成のため。ビタミンDは風邪やインフルエンザ予防効果あり。
・手指消毒、アルコール消毒は頻繁に
・ドアノブやエレベーター内の操作、ドア、電車のつり革など共有するものは指で触らない
指で触り、顔を触ると接触感染リスクが増大します。ドアノブは手の平で、エレベーターでは第二関節で、ドアは腕で開き、電車のつり革には手を入れて手首で支えます。指で摑みません。
教えてくれたのは……池袋大谷クリニック 院長 大谷義夫先生
全国屈指の患者数を誇る呼吸器内科のスペシャリスト。最も気を付けている病気は風邪。『1日1万歩を続けなさい──医者が教える医学的に正しいウォーキング』(ダイヤモンド社)等、著書多数。
<定点観測者から>
実は、8月からずっと風邪を引いている私のための企画と言っても過言ではない今回の定点観測。最初は子供たち(小1・年中)が咳をしていて、深夜に咳込んで嘔吐、シーツを洗い布団を干す日々。親たちももちろん感染、症状をこじらせ、これはコロナ?と疑い検査を受けるも陰性、インフルエンザも陰性、マイコプラズマ肺炎も違うと言われ…。咳のしすぎでぎっくり腰&ぎっくり背中を初体験、産後以来の尿漏れも復活してしまう始末。いわゆる風邪症状と言っても、厄介すぎる!私の場合は咳喘息だったようで、吸入するタイプの薬でだいぶ落ち着きました。トホホ…。先生の実践テクを真似してこの冬を元気に乗り越えたい所存です。手洗い・うがい・換気など基本的なことも見直してみます。by編集担当
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2024年『美ST』1月号掲載
写真/PIXTA 取材/半田典子
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2025年1月16日(木)23:59まで
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