HEALTH
煮て、つぶして、丸めて、待つだけ。みそづくりの工程はとてもシンプル。時間が美味しくしてくれるから、複雑なテクニックは不要です。
手前みそ。一度は挑戦してみたいけれど、「失敗しそう」「季節的にもう遅いから」「適した保存場所がわからない」と、やらない理由を探していませんか? 清水さんによれば、「材料さえあれば、みそはいつでも仕込むことができます。大豆や生麹は、ネットで手に入りますし、塩は好みの自然海塩でOK。夏でも、室内の涼しい場所に置けば大丈夫」とのこと。「寒仕込みがよいとされる理由は、気温の上昇とともに、ゆっくりと発酵が進んで旨みを醸成、雑菌も繁殖しにくいためですが、初夏に仕込んだものは味が大きく劣るのかというと、実はそうでもなく。みそって時間がつくっていくものなので、みそ自身が勝手に美味しくなってくれるようなところがあるんです。きっと『我が家のみそがいちばん!』って思えますよ」。
教えてくれたのは……清水紫織さん(40歳)「神楽坂発酵美人堂」店主
みそ、醤(ひしお)、甘酒、ぬか床などの発酵食品の仕込み方、楽しみ方を伝えるワークショップを主宰。オリジナルのみそや醤油、甘酒などのプロデュース、販売も行う。
材料(出来上がり2kg)
大豆(北海道産有機丸大豆「トヨムスメ」)・・・400g
生麹(有機白米生麹)・・・ 400g
自然海塩 ・・・82g(11.5%)
大豆の茹で汁・・・適宜
大豆麹
塩
※基本のみそは大豆(乾燥)と生麹を1:1で作る。麹の割合を増やすほど甘くまろやかな味わいになる。
※雑菌の繁殖を抑えるために塩分は11%を下回らないようにする(下茹でした大豆+生麹の分量に対する塩の分量。乾燥大豆×2.2≒下茹で大豆の分量)。
仕込みの前日に①:大豆はホコリなど目に見えない汚れがついていることがあるので、豆と豆をやさしくこすり合わせながら、水に汚れが出なくなるまでよく洗う。
仕込みの前日に②:大豆の3倍重量の水に18時間浸す(翌日、茹で始める時間から逆算して浸し始める)。豆の芯まで十分に給水させずに茹でると、茹でムラができやすくなる。
②を水ごと鍋に移し(目分量で水が大豆の2倍量に足りなければ足す)、火にかける。アクを取り、ときどき差し水をして大豆が茹で汁から出ないようにしながら、弱めの中火で茹でる。
大豆を親指と薬指でつまんでつぶせるくらいまで柔らかくなればOK(およそ3時間)。煮汁1カップを容器に取っておき、大豆はザルに上げて水けを切り、粗熱を取る。
茹でた大豆を冷ましている間に、「塩切り麹」を作る。大きめのボウルに塩と麹を合わせ、軽くもみ合わせるようにして塩と麹のかたまりをつぶしながら、丁寧に混ぜ合わせる。
粗熱の取れた茹で大豆を厚手のビニール袋に入れ、手でつぶす。フードプロセッサー、すり鉢、マッシャーを使ってもOK。全体をしっかりつぶす。つぶし足りないと発酵不良の原因に。
塩切り麹に⑥を加え、両手で握るようにしながら混ぜ、耳たぶくらいの柔らかさになるまで練り合わせる。水分が足りずまとまりにくい場合は、④の大豆の煮汁を少しずつ加える。
容器に移す前に、ソフトボール大に丸める。これは空気を抜くための工程。
空気が入らないよう、しっかり押し込みながら詰める。容器は、ガラスや陶器、ホーロー、プラスチック桶、木樽、「ラミジップ」などファスナー付きの厚手のビニール袋でも。
容器の側面についたみそは台所用消毒液やアルコールや焼酎を染み込ませたペーパーで拭き取り、表面をラップでピタッと覆ってから蓋。直射日光の当たらない冷暗所に6カ月以上置く。
2019年『美ST』7月号掲載
撮影/小林愛香、楠 聖子 取材/伊藤由紀、大山真理子 編集/小澤博子
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