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健康診断の結果、どこを見る?「40代50代が気にすべき数値」を下げる方法

秋は健康診断のシーズン。「体重管理はきちんとしてるし、きっと問題ないはず」と油断している人に注目してほしい数値がLDLコレステロール値です。「コレステロール」というと肥満と関わりがあるように考えている人も多いかもしれませんが、実は痩せていてもLDLコレステロール値が高くなるケースがあります。LDLコレステロール値が高い状態は、動脈硬化を促し、さまざまな病気の原因になります。そこで、数値を下げるセルフケアの方法を紹介します。

1.LDLコレステロールとは

コレステロールは血液中に存在する脂質の一種で、HDLコレステロールとLDLコレステロールがあります。
HDLコレステロールは「善玉コレステロール」ともいわれ、血液中の余分なコレステロールを回収して動脈硬化を抑える役割をもっています。
これに対し、「悪玉コレステロール」といわれるのがLDLコレステロールです。肝臓が作るコレステロールを体中に運ぶ役割をもっており、正常範囲である140mg/dl未満なら特に問題ないといわれています。
しかし、LDLコレステロール値が高すぎると、血管壁に蓄積して動脈硬化を進行させます。動脈硬化によって、心筋梗塞や狭心症、脳卒中などのリスクが高まるため、LDLコレステロール値は早期の対策とコントロールが重要です。

2.痩せていてもLDLコレステロール値が高くなる理由

LDLコレステロール値は、太っていて脂肪が多い人だけが高くなるわけではありません。日本では、高コレステロールの人の割合が、痩せ、標準・肥満体型の間で差がなくなってきているという報告があります。
痩せていてもLDLコレステロール値が高くなるのは、食生活の乱れや運動不足などが主な原因です。なかには、遺伝性の「家族性高コレステロール血症」という病気により、痩せていてもLDLコレステロール値が高くなっていることもあります。
健康に過ごすためには、健康診断の際の体重や体脂肪率だけでなく、LDLコレステロール値にも注目しましょう。

3.LDLコレステロール値を下げる方法

以下では、LDLコレステロール値を下げるセルフケアを5つご紹介します。

①飽和脂肪酸を控える

動物性脂肪に多く含まれている飽和脂肪酸は、過剰に摂取するとLDLコレステロール値の上昇につながるといわれています。肉だけでなく、植物や魚由来の脂肪をバランスよく摂ることで、飽和脂肪酸を控えましょう。
特に飽和脂肪酸を多く含むのは、ラードやバター、ココナッツオイルなどの常温で固まる油が使われた食品です。
また、飽和脂肪酸は、乳製品にも多く含まれています。スイーツや菓子パンをよく食べる人は、飽和脂肪酸を過剰摂取しやすい傾向にあるので注意しましょう。

②高コレステロールの食材を控える

高コレステロールの食材にも注意が必要です。
食事から摂取したコレステロールが血液中のコレステロール値に与える影響は個人差が大きいため、摂取量の基準値は定められていません。しかし、脂質異常症の重症化予防の観点から1日200mg未満に留めることが望ましいとされています。
例えば、コレステロールが多い食材のひとつである卵は、1個(可食部55g)当たり200mgのコレステロールが含まれているので、摂取量は1日1個が目安です。
他にも、100gあたり、牛もも肉は61mg、皮付きの鶏もも肉には89mg、鯖では61mgほどコレステロールが含まれているため、食べ過ぎには注意しましょう。

③食物繊維を多く摂る

食物繊維の一種である水溶性食物繊維は、コレステロールなどを吸着し、そのまま便として体外に排泄する働きをもっているため、LDLコレステロール値を下げるのに役立ちます。
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があり、両方をバランスよく摂取することが大切です。食物繊維が多く含まれる野菜類や穀類、豆類、きのこ類、いも類を積極的に食べ、成人の理想摂取量である1日24g以上を目指しましょう。

④運動習慣をつける

LDLコレステロール値を下げるには、食生活の改善だけでなく、運動習慣をつけるのも重要です。ウォーキング、ジョギング、サイクリング、スイミングなどの有酸素運動は、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を増やします。HDLコレステロールは、体の余分なコレステロールを回収して肝臓へ運ぶため、LDLコレステロール値を下げるのに効果的です。できれば1日30分、週3回以上の有酸素運動を取り入れましょう。

⑤漢方薬を飲む

LDLコレステロールが気になる人には、漢方薬もおすすめです。漢方薬は医薬品としての効果が認められており、高コレステロール血症や高脂血症の方に活用されています。
LDLコレステロール値が高くなるのは、食生活の乱れや運動不足、ストレスの他にも、内臓脂肪の増加が原因と考えられます。そのため、増えすぎた内臓脂肪に対して、脂肪の吸収を抑える、血流を良くして代謝を上げる、脂肪の燃焼を促す、余分な脂肪を便と一緒に排出するなどの作用をもつ漢方薬を選び、根本改善を目指しましょう。
漢方薬なら、自分の症状や体質に合うものを毎日飲むだけなので、生活習慣を急に変えるのは大変という人でも気軽に続けることができます。また、心と体のバランスが整うことで、コレステロール値の正常化だけでなく、さまざまな不調の同時改善が期待できるでしょう。

<コレステロールが気になる人におすすめの漢方薬>

・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
便秘気味でぽっこりお腹が気になる人に。高血圧に伴う症状(どうき、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみに用いられます。

・大柴胡湯(だいさいことう)
ストレスで食欲が増して脇腹が張り、便秘傾向の人に。胃炎、高血圧症、肥満症に用いられます。

ただし、漢方薬を選ぶ際、その人の状態や体質に合っているかが重要です。合っていない場合、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。どの漢方薬が自分に向いているのかを見極めるためには、漢方に精通した医師や薬剤師などに相談しましょう。

教えてくれたのは…「あんしん漢方」ライター 円山 真由佳さん

教えてくれたのは…「あんしん漢方」ライター 円山 真由佳さん

医薬品登録販売者。ドラッグストアでの医薬品・化粧品販売を経て、市販薬の使い分け方を広めるべく執筆・情報発信を行う。美容薬学・アロマテラピーの資格を保持し、インナーケアや女性の不調ケアにも精通している。表面的な悩みの奥にある潜在的な悩みをくみとり、対症療法ではなく根本改善を目的としたアドバイスが得意。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行っている。

編集/根橋明日美

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