HEALTH
「なんとなく気分が晴れない」「イライラしやすい」「眠りが浅く疲れが取れない」。 そのお悩み、セロトニン不足が関係しているかもしれません。実はセロトニンは腸と密接に関係しており、腸内環境を整えることがセロトニン不足による不調の改善に役立ちます。セロトニンの特徴や腸との関係、今日から実践できる腸活習慣を紹介します。
セロトニンは、精神の安定に関わる神経伝達物質の一つで、不安感を和らげて精神を安定させたり、心身をリラックスさせたりする役割を担っています。睡眠や自律神経の調整にも関与しており、心身の健康を保つために欠かせない存在です。
セロトニンが不足すると感情のコントロールが難しくなり、イライラ感や意欲の低下を感じやすくなることがあります。自律神経が乱れやすくなり、疲労感や胃腸の不調、不眠、うつ病など心身の不調につながる場合もあるのです。
また、女性の場合は、更年期にエストロゲンの分泌量が減少することでセロトニン不足を招き、更年期の諸症状が悪化することもあります。
セロトニンは脳内でも作られていますが、実は体内のセロトニンの大部分は腸で産生されています。
食事から摂取した栄養素をもとに、腸内細菌の働きによってセロトニンが作られ、腸のぜん動運動を促したりバリア機能を維持したりする働きを担っているのです。腸内のセロトニンが減少すると便秘や下痢などの不調が起きやすくなり、腸内環境が悪化してさらにセロトニンの産生量が減少するという悪循環に陥る可能性があります。
また、脳と腸は密接に関係しており、これを「脳腸相関」といいます。腸内環境が悪化するとそれが脳に影響して気分の落ち込みなどが起きやすくなり、脳がストレスを受けると腸内環境が悪化しやすくなるのです。
逆に、腸内環境を整えることでセロトニンの産生を促すとともに脳にプラスの影響を与えられ、心身の不調の改善が期待できます。
腸で作られるセロトニンを増やすには、日常の中に腸内環境を整えるちょっとした工夫を取り入れることが大切です。
腸内環境を整えてセロトニンの産生量を増やすには、腸内の善玉菌を増やすことが大切です。ヨーグルトや納豆、味噌などの発酵食品には、善玉菌やその働きを助ける成分が含まれています。これらを日々の食事に無理なく取り入れることで、腸内フローラのバランスが整いやすくなります。
また、野菜や海藻、豆類に含まれる食物繊維や、玉ねぎやバナナなどに含まれるオリゴ糖といった、善玉菌のエサとなり腸内での活動をサポートする栄養を摂ることも欠かせません。善玉菌が活発に働ける環境を整えることで、セロトニンが作られやすくなります。
トリプトファンは、セロトニンの材料となる必須アミノ酸です。体内で作ることができないため、食事からの摂取が重要。トリプトファンを多く含む食材には、大豆製品や乳製品、卵、魚、ナッツ類などが挙げられます。
卵を使ったおかずを一品プラスする、ナッツを間食に食べるなど、これらの食材を日々の食事にバランスよく取り入れてみましょう。
また、トリプトファンからセロトニンを合成する際にはビタミンB6が必要です。かつおや玄米、ブロッコリーなどのビタミンB6を多く含む食材と、トリプトファンを含む食材を組み合わせてとることを意識しましょう。
ストレスがたまっていると自律神経の乱れを引き起こし、腸の働きやセロトニンの分泌にも影響を与えます。ストレスをため込まないためには、自分に合った発散方法を見つけることが大切です。
好きなことに集中する時間を持つ、心地よい香りのアロマを取り入れる、ゆっくりと深呼吸をする、短時間の瞑想で心を落ち着かせるなど、無理なく続けられる方法で構いません。ストレスケアを習慣にすることで、自律神経が整い、腸内環境の安定にもつながります。
体内時計を整えて、腸の活動のリズムを作ることも効果的です。毎日同じ時間に起きて起床後にコップ一杯の水を飲む、朝食後にトイレに行く、食事の時間を一定にするなど、毎日の行動をルーティン化することで腸のリズムが整いやすくなります。
就寝前にはスマホやパソコンなどから離れるデジタルデトックスを行い、リラックスする時間を設けると、心身が落ち着き体も休息モードへ移行しやすくなります。
また、朝に自然光を浴びるのも効果的。体内時計がリセットされ、セロトニンの分泌を促すことができます。
食事や生活習慣の見直しだけでは十分なケアができない場合、腸内環境を整えるサプリメントを上手に活用するのも一つの方法です。乳酸菌やビフィズス菌、食物繊維を含むものなど、自分の生活スタイルに合ったものを選ぶことが大切です。
ただし、サプリメントはあくまで補助的な存在。基本となる食事や生活習慣を整えたうえで取り入れることで、腸活のサポート役として役立ち、セロトニンを増やすことにもつながります。
<参考文献>
厚生労働省健康日本21アクション支援システム〜健康づくりサポートネット〜「セロトニン」
藤田紘一郎「こころとからだの免疫学 —腸内細菌の働きを中心に—」
監修してくれたのは…医師・後藤利夫さん
1988年、東京大学医学部卒業。独自の無麻酔・無痛大腸内視鏡検査法「水浸法」を開発。大腸内視鏡6万件以上無事故のベテラン医師。大腸がん予防から始まった腸内細菌や乳酸菌にも造詣が深く、菌のパワーを使って健康になる方法を各所で伝授し続けている乳酸菌の専門家。サプリメント「今日から腸活!」の監修も務める。
編集/根橋明日美 写真・イラスト/PIXTAほか
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