HEALTH
朝起きたとき「なんとなくあごがだるい」「肩やこめかみが重い」と思っていたら、家族から「歯ぎしりしてたよ」と指摘された……。睡眠中の歯ぎしりは自分では気づきにくいものですが、歯やあご、睡眠の質などに影響することがあります。歯ぎしりが起こる原因や予防のためのセルフケアを紹介します。
睡眠中の歯ぎしりには、ストレスや生活習慣などが関係しています。それぞれ具体的に見てみましょう。
ストレスがたまっていると、無意識に歯ぎしりや食いしばりが起こることがあります。
自律神経は体を興奮・緊張状態にする交感神経と、休息状態にする副交感神経の2つからなります。仕事や人間関係などでストレスがたまると、交感神経が優位になり、寝ていても体が緊張した状態になりやすいのです。
この結果、寝ている間もあご周りの筋肉に力が入りやすい状態に。これにより無意識に食いしばりや歯ぎしりが起きてしまうのです。
日々の何気ない習慣が睡眠の質の低下を招き、歯ぎしりにつながっていることもあります。就寝前の飲酒やコーヒーなどのカフェインを含む飲み物をとるといった習慣があると、睡眠の質が悪化してしまいがちです。
また、集中しているときに上下の歯を接触させる癖がある人は、日中の噛みしめが夜の歯ぎしりにつながる場合があります。
睡眠中の歯ぎしりが続くと、歯のすり減りのほか、詰め物や被せ物の破損などにつながることがあります。
また、歯ぎしりで強い力が加わるとあごの関節や筋肉に負担がかかり、顎関節症や頭痛、肩こりのような不調が現れることも。さらに、歯ぐきにも負担がかかるため、冷たいものがしみる知覚過敏や歯周病などにつながることもあります。
睡眠中の歯ぎしりは体全体の健康に影響するため、早めに対処しましょう。
歯ぎしり対策では、歯を守るとともに睡眠の質を高めることが大切。生活の中に取り入れやすいセルフケアを紹介します。
歯やあごへの負担を軽くするために、マウスピース(ナイトガード)を活用しましょう。上下の歯が直接強くこすれ合うのを防ぎ、歯のすり減りや被せ物の破損、顎関節への負担を和らげることにつながります。
ただし、マウスピースは自分の歯に合っていないとかえって歯に負担をかけることがあります。歯科に相談して自分の歯に合ったものを作りましょう。
就寝時に脳と体を休息モードへ切り替えやすくなるよう、就寝前の過ごし方を見直してみましょう。読書をする、香りを楽しむ、ぬるめの入浴で温まるなど、静かで心地よい時間を過ごし、リラックスできる習慣がおすすめです。
一方で、寝る直前のスマホの使用や照明が明るい部屋で過ごすといった習慣は体を覚醒させて寝付きの悪化を招きます。睡眠の質の低下を招くため、就寝前はスマホなどのデジタル機器の使用を控え、明るすぎない間接照明で照らした部屋で過ごすなどの工夫をしましょう。
ストレスを適度に発散して自律神経を整えることも、睡眠中の歯ぎしり対策につながります。特別なことをしなくても、深呼吸やゆっくりしたストレッチ、散歩など手軽に始められるものでかまいません。
特に、運動にはネガティブな気分を発散するとともに、全身の血行を促進し、自律神経を整える働きもあります。運動によるほどよい疲労感は寝付きをよくすることにもつながるため、習慣に取り入れてみましょう。
日中に食いしばりや歯ぎしりをしていないか意識し、気づいたら止めることも大切。本来、リラックスしているときは唇を閉じていても上下の歯は少し離れている状態が自然です。
仕事中やスマホを見ているとき、料理に集中しているときなどに上下の歯が触れていないか確認してみましょう。無意識に食いしばっていたら、舌を上あごに軽く添え、上下の歯を軽く離します。
デスクワーク中はつい食いしばってしまいがちなら、パソコンの端など目につく場所に「歯を離す」と書いたメモを貼るのも有効です。日中の癖を減らすことが、夜の歯ぎしり対策にもつながります。
セルフケアをしても睡眠中の歯ぎしりがなかなかよくならないなら、漢方薬を活用するのも一つの手。漢方薬は心と体のバランスを整える働きがあります。不調の根本からの改善を目指すため、繰り返しやすい不調にも効果的です。
睡眠中の歯ぎしりには「神経の高ぶりを抑える」「自律神経を整える」「血行を促進する」などの働きがある漢方薬を選びましょう。
・抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
ストレスがある人、イライラしやすい人に。神経の高ぶりや筋肉の緊張をやわらげ、不眠や歯ぎしりを改善する漢方薬です。
・桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
体力がなくて疲れやすく、神経過敏な人に。精神を安定させることで自律神経を整え、不安や不眠などを改善する漢方薬です。
漢方薬は体質や症状によって合うものが異なり、場合によっては上記以外の漢方薬のほうがよいこともあります。自分に合う漢方薬を知りたいなら、漢方薬に詳しい専門家に相談しましょう。
「朝起きたときにあごが疲れている」「舌や頬の内側に歯型がある」「肩こりがある」などの場合、睡眠中に歯ぎしりをしている可能性があります。睡眠中は自覚しにくいため、気になる場合は録音アプリを使って睡眠中の音を録音したり、家族に聞いたりして確認しましょう。
女性の場合、更年期になると女性ホルモンのバランスが変化して自律神経が乱れやすくなり、結果的に睡眠中の歯ぎしりにつながることがあります。更年期はほてりや寝汗など、睡眠の質が低下しやすい時期でもあるため、自律神経を整えるセルフケアを心がけましょう。
歯ぎしりは歯の破損やあごの痛みなどのトラブルにつながる可能性があるため、気になる場合は歯科に相談しましょう。自分なりのセルフケアだけではなかなか改善できないこともあります。歯科で歯や顎関節の状態を確認し、必要に応じてマウスピースや生活指導を受けましょう。
教えてくれたのは…医師 木村 眞樹子さん
編集/根橋明日美 写真・イラスト/PIXTAほか
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2026年9月16日(水)23:59まで
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