HEALTH
「いつもどおりの量なのに食後ずっと胃が重い」「楽しみにしていた食事だけれど少し食べただけで苦しい」――そんな胃もたれが気になっていませんか? 胃もたれは食べすぎだけでなくストレスや自律神経の乱れなど、いくつもの要因が重なって起こることがあります。胃もたれの原因や、今日からできるセルフケアを紹介します。
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胃もたれは、胃の運動や消化などの働きがスムーズに進まないときなどに感じやすくなります。まずは、日々の生活に隠れている胃もたれのきっかけを見ていきましょう。
忙しい日が続くと、食事の時間が不規則になったり、つい早食いになったりすることがあります。こうした食べ方に加えて、揚げ物や脂身の多い肉など脂質の多い料理をとる機会が増えると胃に負担がかかりやすくなります。
また、一度にたくさん食べると消化に時間がかかり、食後の重さや胃もたれにつながることも。さらに、お酒の飲みすぎも胃の粘膜や運動機能に負担をかける要因です。「量は多くないはず」と思っていても、夜遅い食事や揚げ物、お酒が続いていないかを振り返ってみましょう。
自律神経の乱れによって胃腸の機能が低下し、胃もたれにつながることもあります。自律神経は体を活動モードにする交感神経と、休息モードにする副交感神経の2つからなり、心拍や血圧、消化などの働きをコントロールしています。仕事の緊張や人間関係のストレス、睡眠不足などが続くと、自律神経のバランスが乱れて胃腸の機能が低下しやすくなるのです。
女性の場合、ホルモンバランスの変化も自律神経が乱れる要因のひとつ。特に、更年期にはエストロゲンが減少して自律神経が乱れやすくなり、胃もたれにつながることがあります。
加齢によって胃腸の働きが低下しやすくなることも、胃もたれにつながります。例えば、胃の粘膜や弾力性が変化したり、消化に関わる機能が低下したりすることで、以前と同じ量を食べても「胃が重い」「なかなかお腹が空かない」と感じることがあります。
また、胃のぜん動運動が低下すると胃の中の食べ物を先へ送り出す働きがスムーズにいかなくなることで、食後のもたれや満腹感が長引くこともあります。
胃もたれが何度も続く場合は、生活習慣だけでなく病気が関係している可能性もあります。代表的なのが機能性ディスペプシアです。機能性ディスペプシアの場合、検査では明らかな異常が見つからなくても、食後の胃もたれ、早期満腹感、みぞおちの痛みなどが続きます。
また、胃の内容物が食道へ逆流する胃食道逆流症では、胸やけや酸っぱいものが上がる感じなどを伴うことがあります。胃炎や胃・十二指腸潰瘍などでも似た症状が出るため、胃もたれが長引くときは自己判断せず受診しましょう。
胃もたれを軽くするには、胃に負担をかけないだけでなく、胃腸が働きやすい生活リズムをつくることが大切です。続けやすいことからひとつずつ取り入れてみましょう。
食生活を見直して、胃への負担を軽減しましょう。揚げ物などの高カロリーな食事を控え、脂質の少ない料理を選ぶのがポイント。おかゆややわらかいうどん、白身魚、豆腐、煮た野菜など、食べやすく調理したものがおすすめです。
また、香辛料やアルコール、カフェインで不調を感じる人は、量を減らして様子をみるのもひとつの手。何を食べた日に胃もたれが出たかメモしておくと、自分なりの傾向もつかみやすくなります。
胃をいたわるなら食べ方を見直すことも大切です。早食いを避け、ひと口ごとに箸を置くくらいの気持ちでよく噛みながらゆっくり食べましょう。
満腹になるまで詰め込まず、「もう少し食べられそう」くらいで終えるのもポイント。よく噛んで食べることで満腹中枢が刺激され、少ない量でも満足感を得やすくなります。早食いや食べすぎを避けることで、食後の胃への負担を抑えやすくなります。
睡眠不足が続くと疲れやストレスがたまりやすくなり、自律神経が乱れがちになるため、睡眠の質を高めてしっかりと休息を取りましょう。寝る直前まで仕事やスマホに集中するのではなく、照明を少し落とし、軽いストレッチやゆっくりした呼吸で眠る準備を。朝起きたらカーテンを開け、自然の光を取り込みましょう。朝光を浴びることで、体内時計を整えたり、精神の安定などに関わるセロトニンの分泌を促したりする効果が期待できます。
生活リズムを整えることも効果的です。起床・就寝時刻が日によって大きくずれたり、食事の時間がばらばらだったりすると、体のリズムも乱れやすくなります。
毎日完璧にそろえる必要はありませんが、まずは朝起きる時間を大きくずらさないことから始めてみましょう。
朝食・昼食・夕食といった食事の時間も、できる範囲で一定の時間帯に。規則正しい生活は体内時計を整え、睡眠の質や自律神経を整える土台にもなります。
胃もたれが気になるときには漢方薬を活用するのもおすすめ。漢方薬は自然由来の生薬を複数組み合わせてつくられており、不調の根本原因にアプローチします。飲むだけでいいため、セルフケアとして取り入れやすいのも特徴です。
胃もたれには「胃腸を温める」「胃腸の機能をよくする」「過剰な胃酸分泌を改善する」「自律神経のバランスを整える」などの働きがある漢方薬を選びましょう。
・安中散(あんちゅうさん)
もともと胃腸が弱く、胃が冷えて痛む人に。胃腸を温めて、冷えやストレスによる胃痛や胃もたれ、胸やけなどを改善する漢方薬です。
・平胃散(へいいさん)
食べ過ぎで消化不良による胃もたれが気になる人に。胃腸の機能や水分代謝をよくして、胃もたれやげっぷ、膨満感などを改善する漢方薬です。
漢方薬は症状や体質によって合うものは異なります。自分に合っていないとなかなか効果を感じられないどころか、思わぬ副作用が出ることも。セルフケアに取り入れる際には、漢方薬に詳しい医師や薬剤師などに相談しましょう。
胃もたれが一時的で、食べすぎなど原因がはっきりしている場合はセルフケアで様子をみることもできます。一方、胃もたれを何度も繰り返す、長く続く、強い胃痛や吐き気・嘔吐、食欲低下などほかの症状を伴う場合は病気が隠れている可能性もあるため、消化器内科などを受診してください。
胃もたれが起こったときは無理に食べず、消化の負担が少ない食事と水分を少量ずつとりましょう。白湯など温かい飲み物を飲んだり、ひざ掛けなどでみぞおちのあたりを温めたりするのもよいでしょう。市販の胃腸薬を使う場合は、症状によって合う成分が異なるため、薬剤師や登録販売者に相談するのがおすすめです。
揚げ物や脂身の多い肉を使った料理、こってりしたソースやクリームを使った料理など、脂質の多いメニューは胃に負担がかかりやすい傾向があります。また、辛い香辛料やアルコール、コーヒーなどのカフェイン飲料で胃もたれすることもあります。
教えてくれたのは…医師 木村 眞樹子さん
編集/根橋明日美 写真・イラスト/PIXTAほか
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