HEALTH
笑うと出る、ジャンプすると出る、くしゃみで出る…。尿漏れは多くの女性が経験しますが、やっぱり大っぴらには相談しにくいもの。「悩んでいるけど誰にも相談できない」というあなたに代わり専門医にお話を聞いてきました!尿漏れが起こる2つの原因とは?
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全国の働く女性の実態調査によると、閉経後の約40%に尿失禁症状があり、その10人に1人に手術が必要だと分かりました。
女性の骨盤のトラブルは、出産後・更年期・高齢期という3つのステージに分かれていますが、医療の関わりはあまりなかった分野。20年ほど前は、出産後は少し漏れるから骨盤底筋を鍛えましょう、年をとったら漏れるのはしょうがないというのが一般的な認識でした。
2004年頃に骨盤底筋が緩むことが原因で膣から臓器が出てくる骨盤臓器脱に対してメッシュで支える手術が世界的に流行り、日本でも大きなトレンドになりました。そういった重症の方への保険適応の手術が注目を浴びる一方で、同じ骨盤底筋が緩むことが原因の腹圧性尿失禁は尿漏れの原因のほとんどでありながら比較的軽症で、その治療は保険診療がないのが現状です。昨今のブームで、膣や尿道の構造を熟知していないクリニックでの自由診療の膣レーザーで火傷を負った患者さんを診る機会が増えるようになり、軽症の方からきちんと診察をしたうえでそれぞれの原因に適切な治療ができる診療所を開院しました。
腹圧性尿失禁にも原因が2つあります。
1つは骨盤底筋が緩くなってきてくしゃみや重い荷物を持つなど腹圧がかかることで膀胱の出口である尿道が開き尿漏れする〝グラグラ尿道〟と呼ばれるタイプ。骨盤底の膀胱・尿道・肛門には括約筋という貯留や排出を調整する筋肉がありますが、括約筋がうまく働かなくなることで漏れます。尿漏れを繰り返し、生活に支障があるなら受診を。
もう1つは女性ホルモンの減少により尿道や膣の粘膜が萎縮して血流が悪くなり尿漏れする〝スカスカ尿道〟と呼ばれるタイプ。正常な尿道は厚みもハリもあり、腟はウロコのような壁がしっかりしています。女性ホルモンの低下で血流が低下し粘膜が萎縮します。そしてハリがなくなり尿道を閉じ切ることができず漏れます。
それ以外にも急に尿意をもよおすとトイレまで我慢することができず漏れてしまう切迫性尿失禁があります。こちらは保険適応で内服などの治療があります。
お話を聞いたのは……日本橋骨盤底診療所 所長 安倍弘和先生
撮影/和佐田美奈子 イラスト/まるはま 取材/菊池真理子 編集/岡村宗勇
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