HEALTH
イベントが多く多忙だった年末が過ぎて、お正月も挨拶回りなどでなにかとバタバタ。日常が戻ってきて、新しい気持ちで一年を始めたいのになんだか疲れを感じている……。そんな人は多いのではないでしょうか。冬は生活習慣の乱れに加えて、寒暖差によっても疲れが溜まりやすくなる季節です。今回は冬の疲労の原因、そして対策をわかりやすくご紹介します。
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疲労感について以下のチェックリストを見ながら、いくつ当てはまるか確認しましょう。
□だるさを感じる
□よく気分が沈む
□やる気が湧かない
□怒りやすい
□寝ても疲れが残る
□睡眠が浅く、よく眠れない
□頭痛で悩んでいる
□肩がこる
□食欲がない
□よく胃の調子が悪くなる
□風邪やインフルエンザによくかかる
この中で多く当てはまる人ほど、疲労を感じていることになります。
昼夜の温度変化や外気との寒暖差は、体に負担をかける原因です。人は7℃以上の温度差を感じると「寒暖差疲労」を感じやすくなります。
通常、体内で作られた熱は、血流を通して全身に運ばれ、体温を保っていますが、寒い時は生命維持に重要な内臓の温度低下を防ぐため、体の中心に血液が集まるように自律神経が働き、血管が収縮。こうして血流が滞ると、手足の末端に酸素や栄養素が行き渡らなくなります。血液には老廃物を回収する働きもありますから、血流が滞ると老廃物も蓄積していき、腰痛、肩こり、倦怠感などの原因になる場合があるのです。
年末年始は生活習慣が崩れがちです。
年末は連休前で仕事量が普段よりも増え、適切な睡眠時間を確保できなかった人もいたのではないでしょうか。睡眠不足で仕事効率が低下し、悪循環に陥ることもあります。
また年末から年始にかけては、イベントや人付き合いなどで外食が増えてアルコールを摂取することが多くなります。お正月のおせちも意外と栄養バランスが悪く、塩分や糖質が多い組み合わせです。
暴飲暴食と激務で心身のストレスが積み重なり、一気にそのダメージが疲労感となって現れます。
冬は全体的な活動量も低下しがちで、運動不足に陥りがちです。買い物もネットで済ませることができるようになった近年ではさらに外出機会が減り、慢性的な運動不足の人が増えました。
長時間同じ姿勢で体を動かさずにいると、筋肉が固まって血流が低下し、疲労物質が溜まっていきます。また慢性的な運動不足だと、筋肉が萎縮し、些細なことでもすぐに疲労しやすい体になってしまいます。
ここからは簡単に実践できる冬の疲労回復方法をご紹介します。
3つの首とは「首」「手首」「足首」のことです。3つの首には動脈が通っていて血流が多い部分なので、ここを重点的に温めることで体全体がポカポカと温まりやすくなります。首はマフラーやネックウォーマー、手首は手袋やアームウォーマー、足首は靴下などでしっかり防寒して温めましょう。
耳にはツボが集まっていて、自律神経をはじめ各種器官ともリンクしています。耳をマッサージして自律神経の乱れを解消しましょう。簡単にできる耳回しストレッチをご紹介します。
(1)親指と人差し指で耳の端をつまみます。
(2)上下や横に軽く引っ張ります。各5回。
(3)耳を軽く横に引きつつ、前と後ろに回します。各5回。
あまり強く引っ張り過ぎないのがポイントです。スッキリするので、気分転換にもおすすめです。
自律神経を整えるために正しい呼吸を意識しましょう。血管を拡張させる働きがある副交感神経を優位にするためには、ゆっくりと深い腹式呼吸をすることが大事です。おすすめの呼吸法をご紹介します。
(1)立った状態で足を肩幅くらいに広げて、肩の力を抜く。
(2)「前へならえ」の先頭のように、両手は腰辺りに。
(3)ゆっくりと時間をかけて口から息を吐きつつ、上体を前に倒す。
(4)今度は鼻から吸うことを意識し、背中をそらす。
(3)〜(4)を5回繰り返します。起床時、就寝前、気分転換したいときにもおすすめです。
体をしっかりと温めるには芯から温まる食事を摂りましょう。冬が旬で「寒い地域で採れるもの」を中心にすると体がポカポカと温まります。おすすめの食材は以下の通りです。
・ニンジン
・ゴボウ
・ホウレンソウ
・レンコン
野菜を豊富に摂取できて調理も簡単な鍋物、煮物がおすすめです。
またビタミンEが含まれるナッツ、ココアなどもいいでしょう。血液の流れをスムーズにし、手足の先の冷えを緩和できます。
なかなかセルフケアで効果が出にくい人には、漢方薬もおすすめです。漢方薬は、慢性的な不調や、体質の改善が期待できます。また、植物や鉱物といった自然由来の生薬をもとに作られていて、西洋薬よりも副作用リスクが少ないともいわれています。
冬の疲れ対策には、「血流を良くして体を温める」「消化・吸収機能を高めて栄養を全身に届け、心と体を元気にする」「自律神経を整えることで睡眠の質を上げ、心身の疲労を軽減する」といった働きをもつ漢方薬を選び、根本改善を目指します。
体を温めるためにおすすめの漢方薬をご紹介します。
・当帰芍薬散 (とうきしゃくやくさん):血行不良を緩和し、栄養を補うとともに余分な水分を排出して、体のバランスを整えます。婦人科系のトラブルにも適した漢方薬です。
・人参養栄湯(にんじんようえいとう):胃腸の働きを高め、不足した栄養を補い、血流を促すことで手足の冷えなどを改善します。
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう):疲れやすい人に適しています。生命の源である「気」のエネルギー不足を補い、消化機能の働きを高め、倦怠感を改善します。
教えてくれたのは…「あんしん漢方」薬剤師 中田早苗さん
編集/根橋明日美 写真/PIXTA
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