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更年期に入り、睡眠の悩みを抱えている女性は少なくありません。そのなかでも特に多いのが「中途覚醒」です。これには、更年期障害を中心としたさまざまな原因が考えられますが、日常の過ごし方やインナーケアで対策が可能です。今回は、40代や50代に入り中途覚醒にお悩みの方に向けて、朝までぐっすり眠れる対策を6つ紹介します。
中途覚醒は、就寝途中で目が覚めてしまう不眠症状のひとつ。ただし途中で眠りから覚めても、その後すぐ入眠できるようであれば問題はありません。改善が必要な中途覚醒は「入眠できず、気づいたら空が明るくなっていた」といった不眠症状が1ヶ月以上継続するケースです。厚生労働省によると、「中途覚醒などの睡眠障害が1ヶ月継続し、なおかつ倦怠感、意欲・集中力・食欲の低下が日中にあらわれる」ようになれば、不眠症とされます。いまの状態が不眠症と診断されるほどではないとしても、朝までぐっすり寝たいですよね。原因に応じて正しく対処することで改善を目指せますので、まずは中途覚醒が起こる原因から知っていきましょう。
40代〜50代女性の中途覚醒の原因は、女性ホルモン減少による更年期障害と睡眠負債です。更年期障害によるホットフラッシュや発汗が就寝中に頻発することで、入眠が阻害され、結果的に中途覚醒が起こります。しかしそれ以上に、更年期障害による中途覚醒は、うつや不安と深いつながりがあります。更年期に入ると不安やストレスに過敏になりやすい傾向にあり、なかには睡眠へのこだわりが強くなったことで不眠の恐怖が増して、不眠症状が慢性化する事例が確認されているのです。ほかにも、10代や20代から現在に至るまでの間に足りていない睡眠時間、つまり睡眠負債が原因となるケースもあります。中途覚醒は眠りが浅いことが原因で起こるため、睡眠不足による悪循環が中途覚醒の原因となる場合もあるのです。子育てや仕事などで睡眠不足になりがちな女性は、20年以上にもわたる睡眠負債を負っているといわれています。たとえば、睡眠不足で日中に眠くなり、昼過ぎや夕方頃に寝るとします。すると、夜の就寝時に寝つきが悪くなる、または眠りが浅くなって熟睡できず、夜中に目が覚めるといった悪循環に陥るパターンがあるのです。
朝までぐっすり眠れるよう、中途覚醒の対策を6つ紹介します。今日からすぐに実践できる方法もありますので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
寝るときは、心身ともにリラックスすることが大切です。体を締め付けないゆとりのある寝間着を選びましょう。また、肌触りが良く吸放湿性に優れている寝間着など、素材にもこだわるとより睡眠の質が高まります。
カフェインが多く含まれている食品を摂取すると交感神経が優位になるため、脳が興奮して中途覚醒が起こりやすくなります。カフェインを摂取する際は夕方までに留めるようにしましょう。
よく使われている白っぽい色の蛍光灯は体内時計を遅らせ、寝つきを悪くさせます。寝室は暖色系の照明にし、明るさは少し暗めに設定しましょう。暖色系の色は心をリラックスさせる作用もあります。
寝室の湿度や温度を快適な環境に整え、就寝中もそれを保てるようにしましょう。湿気が多いとべたつきを感じますし、室温が高くても低くても寝つきが悪くなります。厚生労働省によると、「睡眠の質を高める室温は20℃前後、湿度は40%〜70%程度が基準」だといわれていますので、参考にしてみてください。
人の体は、朝日を浴びることで体内時計がリセットされます。体は、光を浴びてから14時間目以降に眠気が生じるようにできているため、早朝に太陽光を浴びると、夜早くに眠気が生じて睡眠の質を高められます。
「西洋薬は副作用が心配」「一度飲み始めたらやめられないのではないかと不安」。そんな方には漢方薬がおすすめです。漢方薬のなかには睡眠外来で処方されているものもあり、心を落ち着かせたり、ストレスを和らげたりする作用があります。漢方薬は、一般的に副作用が少ないとされていますし、対症療法ではなく、体質の改善に働きかけることで根本的な解決を目指すものですので、同じ症状を繰り返したくない方に最適です。質の良い睡眠をとるためには、血流や水分の巡りを良くし、自律神経を整えることが大切。自律神経が整うと、中途覚醒だけでなく、入眠や熟睡感などを改善させることもできるでしょう。さらに、血流や水分の巡りが良くなると、栄養や水分が全身に届けられ、疲れにくい体や潤いのある肌を手に入れられるメリットもあります。また、健康的な食事やセルフケアを毎日続けるのは苦手という方も、医薬品として効果が認められた漢方薬なら、症状や体質に合ったものを毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。
以下では、中途覚醒におすすめの漢方薬を3つ紹介します。漢方では、体力のレベルを3つに分類して処方します。体力がある人用の実証、体力が中程度の人用の中間証、体力がない人用の虚証の3つに分けて紹介していますので、参考にしてください。
顔がのぼせたり熱感があったりして落ち着かない方に向いている漢方薬です。精神不安、不眠、イライラなどの精神神経症状が強い場合にも処方されます(※1)。
子どもの夜泣き、疳(かん)の虫にも使われていた漢方薬です。不眠、イライラしやすい、興奮しやすいといった精神神経症状をはじめとした更年期障害の症状にも処方されます(※2)。
産婦人科の三大漢方薬のひとつで、更年期障害や月経異常がみられる際に処方される漢方薬です。のぼせや発汗、イライラ、不安、ストレスによる不眠症状の改善に役立ちます(※3)。
漢方薬を選ぶ際には、自分の体質に合ったものを選ぶことが大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、思わぬ副作用が起こることもあります。購入時には、できる限り漢方に精通した医師や薬剤師にご相談ください。
漢方薬は、睡眠薬のように直接働きかけるものではありませんが、更年期障害による不快症状や気分の高揚を落ち着かせ、睡眠の質を高める効果が期待できます。また、漢方薬に加えて、睡眠環境を整えたり、寝間着やカフェイン摂取のタイミングを工夫をしたりすることも大切です。できることから取り入れて、朝までぐっすり眠りましょう。
「あんしん漢方」(オンラインAI漢方)の薬剤師。認定運動支援薬剤師。就実大学薬学部卒業。病院薬剤師として約7年間勤務後、漢方薬局で2年間勤務。ファスティングマイスターとして100名以上のファスティングをサポート。TiktokやInstagramでファスティング・美腸を普及する活動も行っている。Medicalhealthチャンネルに出演中。
編集/安岡祐太朗
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