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家族や友人とともに過ごす充実した時間や華やかなイベントを、SNSにアップする「リア充」アピールが加速する一方で、最近台頭してきたのが「ぼっち充」。40代がたどりついた「ぼっち充」の中身と理由を、アンケートをもとに徹底解剖します!
決して友達がいないわけではなく、リアルでもSNS上でも友達は多い。いつでもどこでもすぐに誰かと繋がれてしまう時代だから、あえて一人時間を大切にしたい。だから〝ぼっち〟の行動も寂しくなく、かえって充実していること。好きなものに貪欲だったり、自立した大人のイメージで語られる。
「Aさんはじめ、〇〇から駆けつけてくれたBさんまで! 計〇〇人がお祝いしてくれたバースデー。皆さんに支えられて今の自分がいることに感謝♡」「今日はかけがえのない大切な友人Cちゃんと〇〇ホテルのアフタヌーンティーへ。サプライズされて感激!」などなど、SNS上にダダ漏れしまくる「愛されている私」「多くの友人と時間や楽しみを共有する私」像。
友達の数=人望、人間性の深さでもないのに、何かと競うように、あるいは取り憑かれたように充実している日常をアップする人々。インスタ映えを省略し「映え」という言葉も一人歩きし、逆にSNSのために行動するという本末転倒現象も起きています。個人情報、大丈夫?と心配になるほど「リア充」をバーチャルワールドに向けて世界発信し続ける風潮の陰で、盛り上がりつつあるのが「ぼっち充」です。
①買い物
②ゴルフの打ちっぱなし
③映画館へ行く
④日帰りスパ
⑤海外旅行
この他にも●舞台鑑賞、コンサート、ジャズライブ●神社・仏閣巡り●陶芸・アクセサリー作りなどの没頭系習い事●書店めぐり●ラグジュアリーホテルでのアフタヌーンティー●東京から長野あたりまでの遠出ドライブ(新蕎麦を食べるため)など様々。
30代までは、一人でいる自分は友人がいなくて淋しい女に見えているのではないか、という不安に怯えてたけれど、40代になると若いころほど『ひとりぼっち』でいることが気にならなくなった、という声が多く聞かれました。人からどう見えるか、という必要以上の自意識過剰から脱し「私は一人を選んでここに来てこうしている」という自信が身につく人が急激に増えるよう。ぼっち充が快適な理由を聞くと圧倒的に多いのが「人の意見や機嫌に左右されない快適さがたまらない」というもの。「映画は絶対一人で行く。観る前も観終わった後も作品に集中できるから、自分自身の感性と正面から向き合える」(髙橋史さん・43歳・会計士)といった「誰かとつるむより感受性の刺激になり、判断力や経験値が上がる」という理由は、まさしく大人ならではの見解。自分は本当は何が好きなのか、何をいちばん強く感じるのか、何に孤独を感じるのか。一人の時間は自分の心の内側と真摯に向き合う時間をもたらしてくれるのです。
では、ぼっち充は人とともに行動することやリア充とどういう点で違い、どういう利点があるのでしょうか。「リア充だな、と思う時は人と意見を交換しあえる瞬間。理解したり共感したりできる時間。一人だと深く強く、自分自身の感性と向き合える。自分を冷静に見つめ直せて物事への執着から自己を解放できる(森 さやかさん・45歳・看護師)、「人との時間はアウトプット、一人はインプット。人とは対話、一人時間は自分との対話。人とは発散、一人時間は没頭。両方のバランスが取れていないと今の自分が磨かれないし成立しません」(佐藤加奈子さん・48歳・会社経営)という言葉に代表されるように美ST世代は様々な経験を重ね、人間関係も多様であり、感性も研ぎ澄まされ、自分が何者かがつかめてきている年代だからこそ、様々なシチュエーションをうまく使い分けることができているのかもしれません。
本当にひとりぼっちでしかないなら、環境も精神も孤独なら、リア充はもちろん、ぼっち充も成立しません。リア充あってこそのぼっち充。そしてどちらが欠けてもバランスのいい生活は成り立たないのです。日常的にきちんと人とコミュニケーションをとっているから味わえるぼっちの充実感が人生の質を高めてくれることにみんなが気づき 始めているのです。
また、人に承認してもらわなければ完成しない日常も「充実」とは言いません。「いいね!」は自分で押せれば充分。それも大人のぼっち美学。「学生時代に恩師から『孤独が人を育てる。孤独になれない人は大人になれない』と言われ、当時はピンときませんでしたが今は納得」(49歳・ライター)の言葉のように、孤独を恐れず孤独に親しむ余裕こそ成熟した大人の賢さ。欧米のようなパートナー文化もいいけど、ぼっち充も粋、そんな多様な社会になってこそ成熟社会と言えるのかもしれません。
(本文中の名前はすべて仮名です)
2018年『美ST』10月号掲載
撮影/吉澤健太 モデル/藤井やよい(TEAM美魔女) ヘア・メーク/小松胡桃(Roi) スタイリスト/rikako. 取材・文/柏崎恵理
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