2016/5/25 PEOPLE

早坂香須子さんに学ぶ、美しくなれる丁寧な暮らし

仕事に邁進するのも子育てに忙しいのも40代の特権。でも、最近よく耳にするのは「何気ない普段の暮らしに手をかけたい」という声。口にするものも、肌に塗るものも、きちんと吟味して、できるだけ「カラダにいい」ものを選びたい。そう、日々の暮らしを丁寧に送る人は美しいんです。今、もっとも勢いのあるメークアップアーティスト早坂香須子さんの丁寧な美しい暮らしぶりに密着します。

「美しさ」はきちんと暮らしているからこそ得られる結果です

メークアップアーティスト　早坂香須子さん（43歳）
国内外のモデル・女優から支持され、インナービューティや香りなど多岐にわたり提案をしている。著書『100％ Beauty Note』発売中。

週に１度はお花屋さんで目が合った子を連れて帰ります。花があるとその風景を美しく保ちたいので部屋を片付けるように。以前は生花は苦手でしたが毎日お水を替え、声掛けすることで長く楽しめるように。自分を更新しました。恵比寿のポワンヌフ（☎03-6277-2299）はハレの日用のショップです。

〝身の回りのことひとつひとつに気を配ることが結局、美しさへの近道です〟

もともと家族の中では、「いちばん雑な性格」だと言われて育ちました。土台はグータラで、忙しくなると生活の質や美意識が落ちていくことがわかっているので、気に入った物だけをまわりに置いて暮らしています。うちには炊飯器もなくご飯は土鍋。これしかないと、前日から水に浸さないと美味しい玄米が食べられない、粉でなくコーヒー豆を買えばミルで挽かざるをえない、そんな風に形から入って、後から生活を合わせていったら、自然と今のような暮らしになりました。

思い浮かぶのは、30代の4年間を逗子で過ごしたこと。逗子や葉山の方々はやりたいことを実現しながら、暮らしも大切にし、肩に力を入れずに楽しんでいます。お金をかけて美味しいものを得るのではなく、地元の漁師さんに蛸やワカメをわけてもらったり、パン屋さんの脇で売られている新鮮な野菜を買ったり。それを小さなコミュニティで集まって食べるのが楽しかったんです。海を見て暮らしていると排水にも気を配るようにもなりました。当時、まだ言葉はなかったけれど気負わないロハスの生活。そんなところに身を置いたことが大きくて、骨董のミルを購入したのもこの時期でした。その後、離婚して東京に戻り、人生最大の断捨離をして、物をそぎ落として再スタートしたのが39歳の頃。そのとき、「私の求める生活って何？」って考えたんです。自然の中も都会も大好きで、できればいいとこ取りをしたい。それは都会で暮らし、忙しくても自分の時間に立ち返れるのがミルだったり、お鍋だったりすることに気づいたんです。生活の素地が逗子で培われていたのだと思います。

決して丁寧に暮らしているとは思いませんが、暮らしを大切にするようになると自分を大切にするようになるものです。美容に関してもクレンジングは布で拭き取ったり、マッサージも習慣に。どんなに疲れていても湯船にゆっくり浸かるとすとんと安眠できます。ほんのちょっと手間をかけることが、結局は一番のキレイへの近道だったりします。

日常の美意識が高くなるのが40代なら、物選びを簡単に済ませラクな方向に流れるのも40代。今はどれだけ気に入った物を長く使っていけるかを考えています。それが私にとっての丁寧な暮らしだから。とはいえ、買物は大好きで断捨離したのに買っちゃうの。そんな風に惑いつつ暮らすのが楽しいのかな。