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1828年フランスで創業した世界を代表するブランド「ゲラン」。なかでも1912年に3代目調香師のジャック・ゲランによって生み出された『ルール ブルー 1912』は不朽の名作として知られています。夕方から夜へと移り変わる、世界が深い蒼に包まれる時、ブルーアワー。そんな「蒼の時」の儚さや永遠、胸に湧き上がる感情を描いた名香『ルール ブルー 1912』。誕生から114年の年月を経た今、ゲラン専属調香師、デルフィーヌ・ジェルクさんによってまったく新しい『ルール ブルー』が新登場! 「ゲランが常に特別な存在感で200年近く存続し続けているのは、常にイノベーションを起こしているから。大切なことは過去に生きることではなく、過去と今に架け橋をかけること」と語るデルフィーヌさんに、新作『ルール ブルー』についてお話を伺いました。
デルフィーヌ・ジェルク(Delphine Jelk)
2014 年よりゲラン専属調香師、その後フレグランス クリエイション ディレクターも務める。ゲランの香りのシグニチャーの一貫性を保ちつつ進化を促すことを目指す。「メゾンの魂を尊重しつつ現代に投影すること」を使命に創作活動を行っている。檜や芸者の美など日本にインスパイアされた新フレグランスも構想中。
Q:1912年の『ルール ブルー』と2026年の『ルール ブルー』、伝統の名香の名前を受け継ぎながらもまったく新しい香りが誕生しました。2品に共通すること、また明らかに違うことは何でしょうか。
『ルール ブルー 1912』は1912年に3代目調香師 ジャック・ゲランによって誕生したゲランを象徴する名香です。アイリス、ギモーヴ アコードにオレンジブロッサムが調和した詩的な柔らかさ、優雅さが感じられる香りは私も大好きです。新たな香りを生み出すにあたり、私が大切にしたのはジャック・ゲランのクリエーションを尊重すること。「1912年のオリジナルストーリーが現代まで続いていたらどんなものになるだろうか?」と想像してそれを形にしたいと考えたのです。
オリジナルの魂(ソウル)を残すためにアイリス、オレンジブロッサムとヴァニラの香料はそのまま継承、今回の新しいポイントは1912年には存在しなかったカスカロンという香り成分を加えることで“空の香り”を表現したことです。カスカロンはエアリーでフレッシュなピュアノート、私の考える“空の香り”にぴったりでした。そこに伝統的なアイリスやオレンジブロッサムを合わせた“蒼空のアコード”で現代的な『ルール ブルー』が完成したのです。これはジャック・ゲランの時代よりはるかに幅広い香料のパレットがあったことで成し得たことでもあります。
忙しい日々の中で束の間、動きを止めて自然の美しさを受け止める“蒼の時”に抱く感情は1912年も2026年の今も何も変わりません。1日の義務が終わって「さあこれから自由な時間! なんでもできる」という高揚感で感情が身震いするような時間。ジャックもきっとこの身震いを表現したかったに違いない、と思うのです。つまり元となる感情は同じだとしても香りの表現方法が違うということ。魂は守り、新たな息吹を与えた、と自負しています。
Q:新しい『ルール ブルー』を創るにあたり、苦労したこと、心がけられたことは何でしょうか?
フレグランスを生み出すためにはエモーションとイノベーションが大事だと思っています。今回の『ルール ブルー』の創作にあたっては、1,000以上の試作を重ねて独自の香料アイリス チンクチャ―を抽出するのに3年以上の年月がかかりました。美学を見つけるのに時間はかからなかったのですがテクニカルな部分に時間がかかりました。香りの拡散性や余韻を持たせることなど細かいところが気になるので、さまざまな香料を微調整をしながら調香を繰り返しました。ゲランのフレグランスは、人に忘れられない印象を残すものでなくてはならないのです。次にその香りを嗅いだ時に「あ、あの人の香り!」と思い出してもらえるような香りでなくてはならない。言うなれば、皆さんのまわりにオーラができるような香りを創ることが使命です。ブランドの美学を保ちながらオーラを作るためには技術が必要であり、たくさんの試作が必要でした。再解釈ではなく、現代版を作るのでもなく、ジャック ゲランと『ルール ブルー 1912』にオマージュを捧げるという感覚で新しいフレグランスを完成させました。新『ルール ブルー』のキーポイントはオゾニック アコード!まるで洗いたての洗濯物のような清潔感とラグジュアリーな存在感のコントラストがとても気に入っています。また、女性らしさを声高に叫ぶのではなく、自分らしさ、真の女性らしさを大切に表現、力強くも優しくもなれる女性を表現しました。私が頭で思い描いたこと、心で感じたことは余すことなく表現できたと思っています。
Q:”ルール ブルー(蒼の時)”と聞いて、ご自身が思い浮かべるものとは何でしょう?
私は長年パリに住んでいるのですが、パリの”蒼の時”は世界でいちばん美しいと思っています。私の描く”蒼の時”は、どちらかといえば自然あふれる地方ではなく、都市部のイメージです。フランスには、夕食前に軽くお酒を楽しむアペロという習慣がありますが、午後7時、8時くらいにテラスでグラスワインを楽しんでいる、私にとってはそんなイメージです。とってもパリ的かもしれませんね(笑)。
Q:フレグランスをプレゼントする際のポイントを教えてください。
やはり誰かに差し上げる香りを選ぶことはとても難しいものです。フレグランスはその人のファッションやスタイルにリンクするものですので、まずはその人のファッションやライフスタイルを思い描いて選ぶことが大切ですね。フレグランスはファッションやデザインをバックグラウンドに洋服と合わせることも考えて作られていますから。そして、まだ試したことのない新作をプレゼントするのも面白いのでは、と思います。
Q:香りをよりカジュアルに楽しむためのコツがありましたら教えてください。
まずは、手首などにほんの少しだけつけることから始めてみてください。私も試作品を試すときにはそうしていますが、動いた時に微かにふわっと香ります。また、スカーフやマフラー、ヘアに少しだけつけてみても優しく香るのでいいと思います。そして私のおすすめは、香りのソープを引き出しに忍ばせて下着などにほのかな香りをつけること。少しの香りで気分を上げることができます。香りの纏い方にルールはないし、フレグランスは個人的なものなので、遊び心を持ってより自由に楽しむことがいちばんです。
Q:ジェンダーフリーが謳われる時代ですが、男性調香師と女性調香師では、作る香りに違いが生まれることはあると思われますか?
はい、もちろんあると思います。今回の『ルール ブルー』は自分が女性調香師であるということを意識しながら、女性のために作りました。現代は世界的にジェンダーレス、ユニセックスがトレンドではあり、それはある意味真実だとは思うのですが、すべてにそれが当てはまるとは思わないです。
フレグランスショップに行くと、女性用はピンク、男性用はブルーなどと色分けされているのを目にすることがありますが、私はあえて女性用にブルーのフレグランスを作りたいと思ったのです。男性調香師が女性のためのフレグランスを作る時、その人が思い描く女性像、ある意味リアルではないファンタジーのような女性像を思い描いていることがあります。私は、長年女性用のフレグランスに求められてきた“官能性”を全面に出したくはないと考えました。女性として、真の女性のためのフレグランスを作りたい、私の姉妹のために作るように全女性たちのために、親密でニュアンスに富んだ香りを作りたい、そんなふうに考えて創作しました。
それは自分を守ってくれるような、気分を上げてくれるような、そして自分らしさを感じられるような香りです。思い描いた通りのとても現代的な香りが完成したと思っています。フレグランスは女性にとって鎧のようなもの。『ルール ブルー』も大変なことや困難に直面した時に強く生きるためのお守りのような存在になれたらいいな、と思っています。
感情を呼び覚ます香り、新生『ルール ブルー』は30mLと50mL、さらに200mLのリフィルで展開し、2026年8月28日(金)より全国発売。
ルール ブルー オーデパルファン 30mL ¥12,320、50mL ¥17,600 ルール ブルー オーデ パルファン リフィル 200mL¥30,800(ゲラン)
取材/森島千鶴子 編集/佐藤拓真
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2026年11月16日(月)23:59まで
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