PEOPLE
今年、サディスティック・ミカ・バンドがファーストアルバム発売50周年を迎え、第2期ボーカルだった桐島かれんさんもソロアルバムのCDリマスター版をリリース。「あの頃の服はさすがにもう入りません」と笑いますが、体型も美貌もカッコよさも、当時とまったく変わりません。
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「子どもたちが巣立ち、家には長男がいるくらい。洗濯も食事を作る量も減りました。その分の労力を観葉植物の手入れや庭仕事に即行で移行。子育ては卒業と思っていたけれど、犬を2匹飼いはじめ、やっぱりお世話するのが楽しいんですよね」と緑に囲まれた葉山の自宅で話す、桐島かれんさん。
《Profile》
1964年神奈川県生まれ。’86年大手化粧品会社のイメージキャラクターに起用され、以降多方面で活躍。’93年に結婚し、4人の子育てをしながら、ファッションブランド「ハウス オブ ロータス」のクリエイティブディレクターを務める。母・桐島洋子さんの自伝に加え、3人の子どもたちが母への思いを綴る『ペガサスの記憶』(小学館)が好評発売中。
昨年11月、別荘として使っていた神奈川・葉山の家に、東京から拠点を移しました。昔から海の近くに住むのが憧れ。まだ体力のあるうちに家の手入れをしながら住むことにしたんです。長女と次女が社会人になり、三女はニューヨークへ留学中、長男も大学生になって、子どもたちの手が離れたのも理由のひとつです。
母(桐島洋子さん)は戦時中に葉山に疎開していて、私も結婚直後は葉山の洋館に住んでいたので、馴染み深く縁のある町なんです。ここは海を見下ろす高台にある古い日本家屋。夫(写真家の上田義彦さん)と何年もかけて和洋折衷の空間につくり上げ、好きなものばかりに囲まれています。目覚めた瞬間から海が見えてとても気持ちがいい。日々、愛犬と自然に囲まれた生活を送っています。
美容に関しては奥手でまったく無頓着。最近はいい化粧品を使っていますが、昔からこだわりはなく、シャンプーもドラッグストアで買えるものでした。でも、ヘア・メークさんから「かれんさん、シャンプーくらいはいいものを使ってね」と言われ、サロンで購入するようになりました。
運動は何もしていませんが、子育てに家事と庭仕事、最近は犬の世話も加わって、常に体を動かしてきました。ソファに寝転んでテレビを見るようなライフスタイルではなく、生活自体がいい運動になっているのかな。今もモデルをしているので、どんな洋服も着られないと困るから、無意識に体のことを意識はしていますね。
とはいえ、ダイエットで自分を厳しく律することはしていません。若い頃はダイエットなどもしましたが、結局リバウンドすることがわかっているので、規則正しい生活と3食きちんと食べることが大切だと思っています。
食べたいものは我慢せず、白米も揚げ物も大好き。アレルギーもなく、何でも食べますが、牛ヒレ、鶏のささ身など脂身のない肉以外は苦手で、簡単にベジタリアンになれるタイプ。娘たちがキヌアサラダが好きなので、腹持ちがするようにとパスタも入れて、キュウリやアボカド、トマトに紫玉ネギやケール、いろんなハーブも加えて大量に作って常備。それをよく朝ご飯に食べていますね。
母も美意識の高い人。美術を愛する文学オタクで、旅が好きでした。子どもの頃は、友達の家とは違うインテリアや母の個性的なファッションも恥ずかしかったけれど、今思うとなんて素敵なんだろうと。自然に母の影響を受けていましたね。
母は未婚のシングルマザーで私たち弟妹3人を育ててくれました。父親的役割もしていた母とは、同じ子育てでも、夫がいる私とは随分コンディションが違っていたと思います。
私の場合、28歳から3年ごとに4人を産み育て、12年間は妊娠しているか授乳しているか状態。子育てが楽しくて、なるべく家にいて、子どもの世話をしていたかった。その頃は今とは随分違って、家の中に生命がうず巻いている感じ。犬や猫、たくさんの動物もいたので、いわゆる「カオス状態」でした。
ストレスもありましたが、それを切り盛りする楽しさのほうが勝っていましたね。育児の、特に赤ちゃんのときの楽しさは格別で、授乳が大好き。でなければ4人も産みません。10人でも子どもが欲しかったけど、4人目を産んだ後に子宮筋腫が見つかり子宮を全摘。医師に「5人目を産みたいから他の治療法を」と頼んだほどです。
そして子どもの成長は早く、私の腕から離れて1人で歩くようになり、幼稚園に通い始めるといつも嬉しいような寂しいような気持ちになりましたね。
母は私たちの通信簿にはまったく興味のない人でしたが、私も同じく。学校での教育より、読書や芸術に触れさせて知的好奇心を高めたり、旅を通してさまざまな体験をするほうが子どものためには良いと感じることもあります。実際、私は高校生までに母に連れられて25カ国を旅しましたが、その経験は今でも私の宝物になっています。
子育てはある程度放任で、困ったときは後ろから支えてあげればいい。何かあったら帰れる場所があればいいんじゃないかな。毎日3食一緒にご飯を食べ、規則正しい生活をして、健康で優しい子に育ってくれたら、それだけでいい。だから、おいしいご飯だけはいつも用意していました。
うちには夫のアシスタントが多いときは6人いて、昼食と夕食は常に一緒。最初のうちはプライバシーがないことに慣れなかったけれど、孤独な中で子育てするのとは違い、大勢の若者たちに手伝ってもらいながら家事ができてありがたかったです。子どもたちとも遊んでくれましたし。
うちの子たちは、友達と遊んでいても、途中で夕飯を食べに帰宅して、また遊びに出かけていきます。ティーンエイジャーになると自分の部屋に引きこもりがちになりますが、食後はおいしいデザートを用意すると、自然と食卓に集まりました。
結婚したときはご飯も炊けなかったほどでしたが、必要に迫られてやるうちに料理が好きになりました。母も料理好きで、ポトフやクスクス、タジン鍋など旅先で食べた料理をよく作ってくれました。なかでもチーズフォンデュは格別! 40年以上前に横浜のスーパー「ユニオン」でエメンタールチーズとグリュイエールチーズ、白ワインを買って作ってくれました。それを引き継いで、私もよく作っています。
母は86歳になり、9年前に認知症がわかったときはとてもショックでした。強くてインテリの母がよりによって認知症って、すぐには受け入れられなかったですね。最初のうちは大きな変化はなかったけれど、病気が進むと母独自のキレの良さやシャープさ、批判精神が失われていきました。かつては母との会話のキャッチボールは鋭くって、きょうだい3人とも母の前で話すのは怖かったくらいです。
今はやっと普通のおばあちゃんになれて、ニコニコしています。ヘルパーさんと一緒に横浜に住んでいるのですが、よく家族で集まります。今でも旅に行きたがり、「じゃあロシアのエルミタージュ美術館に行こう」と言うと、顔がパッと明るくなります。だからなるべく旅の話をするようにしていますね。
すべての女性が感じるように、私も子育て中は社会から隔絶された不安を感じ、気持ちが行き詰まっていました。やりたいことと子どもがいる狭間でのジレンマも。それで34歳のとき、育児第一優先ながら、家でできることを考え、自宅を開放してハウス オブ ロータスを始めました。何も考えずに始めてしまったのですが、子育てでアップアップしていたからこそパワーが湧いたのだと思います。
子連れでタイ、バリ島、ベトナムまで買いつけに行き、値づけから何から何までやりました。でも失敗だらけで、全然儲からない。思い通りに行かないことばかりで挫折もしましたが、そこからビジネスを学び、少しずつ形態も変わって会社になって、入れ代わりはありますが、3店舗構えるまでになり、今はクリエイティブディレクターとして関わっています。頑張って続けて、本当に良かったと思います。
怖いもの知らずでしたが、とりあえず私は誰にも言わずにdoer(ドゥーアー/実行する人)、やってみるタイプ。そうすると没頭し、時間も忘れて無我夢中になれるんです。アドレナリンも出て、それって人間にとってはとてもハッピーな時間。幸せホルモンを生み出すには、自分の好きなことをすることです。この経験から、失敗したとしても自分が楽しいことを探すようになりました。今は観葉植物の手入れが楽しいですね。コロナ禍でグリーンとの暮らしに開眼し、今では家じゅう観葉植物に囲まれて過ごしています。
そもそもストレスは少ないほう。物事を柔軟にとらえるタイプです。何事にも正解はないし、白黒つけられないことのほうが多いから。母は嫌な経験をいっぱいしてるのですが、愚痴や悪口を言うこともなければ、言い訳をしたこともありません。
子どもの頃、私たちが「だって」とよく言うので、うちでは「だって」が禁止になったほどです。母は逆境でも自分を追い込まずに切り替えて、乗り越える逞しさを身につけていました。自分のケアは自分でしかできないから、できないことはしない、嫌な人とはつき合わない、くよくよしない、と自分を大事にして守ってあげるシステムをしっかり身につけています。この年齢でストレスなんて、嫌だもの(笑)。
結婚当初、夫には子育てのストレスから八つ当たりしたり、考えの違いから衝突することはありました。何度も喧嘩をしてわかったことは、「文句を言っても相手は変わらない」ということ。相手を変えようとして無駄なエネルギーを使うより、相手の良いところに目を向け、感謝をするほうがいいですよね。
いよいよ来年還暦です。過去の自分の若さにしがみつくより、私は10年くらい先の自分をイメージしてきました。そのほうがラク。そうすると10年前に想像していた60代に自分が近づいていて、幸せだなと思います。次の10年後は、エレガントで落ち着きのある品のいいお婆さまになっていたい。でも、いつもせかせかと動いている私には一番難しいかもしれません(笑)。
私たちの日常は、愛すべきものに満ちています。彩り豊かな花や植物、繊細で美しい工芸、おいしい料理、家族や友人たちとの愉快なおしゃべり、音楽や読書の時間、冒険心あふれる旅……。皆さまの人生も、愛すべきもの、慈しむべきもので満たされますよう。
《衣装クレジット》
ワンピース¥79,200/ハウス オブ ロータス
2023年『美ST』11月号掲載
撮影/湯本浩貴 取材・文/安田真里 編集/和田紀子
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