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にしおかすみこさん(49歳)「認知症の母に『死んでやる!』と言われ、千葉の実家で暮らしています」

東京での長いひとり暮らしに終止符を打ち、実家がある千葉に戻って4年目になるにしおかすみこさん。認知症のお母様、ダウン症のお姉様、酔っ払いのお父様と暮らしながら、「東京での生活に未練?タラタラですよ(笑)」と言って屈託なく笑うにしおかさんの表情は、悲壮感どころかすがすがしさを感じるほど。今回改めて、実家に戻ってから今に至るまでの暮らしを、美ST ONLINEで特別に振り返っていただきました!

“ゴミ屋敷”と化した実家を目の当たりに。今思い返しても唖然とします

お話をうかがったのは…タレント・にしおかすみこさん(49歳)

《Profile》

1974年生まれ。千葉県出身。2007年日本テレビ「エンタの神様」で女王様キャラのSMネタでブレイク。現在ではテレビ東京「なないろ日和!」など、リポーターとしても活動。春風亭小朝師匠の指導のもと落語にも挑戦し、高座名は「春風こえむ」。
執筆活動でも、自叙伝エッセイ『化けの皮』に続き、FRaU web連載1回目で1,200万PVを超えた、家族と介護の物語『ポンコツ一家』を講談社より出版するなど、多岐に渡り活躍中。
趣味のマラソンでは、2019年にフルマラソンで3時間05分03秒を記録。

実家に戻ってからの生活を振り返ると、まず思うのはずーっとジタバタしているということです。もちろん今もですね。
元々実家に帰るつもりはなかったのですが、コロナ禍で仕事が激減し、当時住んでいた部屋からさらに家賃の安い部屋に引っ越さないといけない状況に。ようやく西新宿にいい物件を見つけて、あとは契約を済ますだけだったんですが、その前に実家に帰っておこうかなとふと思って。今思えば、あれは人生のターニングポイントだったのかもしれませんね。
いざ実家に帰ってみたらもうゴミ屋敷状態。その中でポツンと座る母の背中は、今思い返しても啞然とします。

「頭カチ割って死んでやるっ!」と喚く母。最初は受け止めきれませんでした

本にも書いたのですが、うちは、母は認知症、姉はダウン症、父は酔っ払いです。
私がゴミ屋敷と化した実家を目の当たりにした時には、すでに母は認知症に。とにかく状況が飲み込めず、母の気持ちもわからないまま掃除を始めてしまったら、突然母が「何様なんだよ!もう頭カチ割って死んでやるっ!」って喚いて。ネガティブなことなんて普段は言わない人だったのに、これがお母さん?と。ただでさえ、ゴミ屋敷の中でポツンと座る母にビックリしていたのに、その発言でもう愕然としました。これはただごとじゃないなって。

実家に戻る決心をしたのは、これと全く同じやり取りが数回続いたからです。私がまた掃除をしようとしたら、母が同じように喚いて。それも、さも初めてのように繰り返したんです。母の中でただごとではないことが起きていると感じました。現実を飲み込みきれていたわけではありませんが、悠長にはしていられず、引っ越しを予定していた部屋をキャンセルして実家へ。あの時は本当にお金がなくて、予定していた新しい部屋へ引っ越すか、実家に帰るか、どちらかしか選べなかったんです。

完璧を目指さない。自分ファーストで自分の機嫌をとる。これがなによりも大事

気持ちの整理もつかないまま実家での生活がスタート。私がしっかりしないと、とは思っていたし、今も思っていますが、全部を完璧になんてできません。最初から完璧は目指さず、私にできることをする、という感じ。例えば、私は家の掃除と、家族全員の3食分の料理を担当しています。姉のケアは母に任せたりして。とはいえできないことも多いので、そこはフォローをしたり。それで良くない?十分じゃない?って、自分に言い聞かせてるんです。ハードルを上げすぎてしまうと、あれもできないこれもできてないって、自分の首を絞めてしまうんじゃないかと思うから。

それに、姉の世話を母にしてもらうほうが、母の症状の進行も遅くなると聞いて。今までやってきたことを、いつも通りやれていると母が思えるように過ごせるといいなと思っています。

私は今49歳で、ちょうど美ST世代。この世代は親の介護や家族のケアをされている方々がたくさんいらっしゃると思います。同じ状況の方々にエールと言うとおこがましいですが、伝えたいのは、「自分ファーストで良い」ということ。相手ばかりになってしまうと、疲れてしまいます。身近な人に愚痴ったって良い。私は友達が少ないので、マネージャーさんに愚痴っています(笑)。

あとは、環境によっては難しいかもしれませんが、習い事や仕事など、ちゃんと自分の時間を持つこと。私の場合はベジタブルカービングをやっています。コロナ禍でおうち時間の気晴らしにと始めたんですが、これが楽しくって!専用のナイフで野菜に彫刻をして、お花とか龍とかの形にしていくんです。地味な作業をコツコツすることは私の性に合っているし、作品はその後刻んで料理にも使えるし、まさに一石二鳥。あとは、ちょっと贅沢なランチを食べに行ったり。私はお刺身好きなので、お刺身定食とかですね。なるべく自分に合ったことを見つけて、自分の機嫌をとって、自分が元気でいられる時間を少しでも確保する。そうやって自分ファーストで過ごすことが、すごく大事なことだと思うんです。

《衣装クレジット》
ブラウス¥39,600(リツ/フォーティーン ショールーム) 
パンツ¥18,000(バナナ・リパブリック)
イヤリング¥39,600、ネックレス¥51,700(ともにアナプノエ/フォーティーン ショールーム)
バングル¥19,800(ウシノエル/フォーティーン ショールーム)

《問い合わせ先》
バナナ・リパブリック br_info@bananarepublic.jp
フォーティーン ショールーム 03-5772-1304

撮影/向山裕信(cheek one) ヘア・メーク/橋泉朱 スタイリスト/中村智香子 取材/キッカワ皆樹 編集/浜野彩希

FEATURE

MAGAZINE

一生元気に!自愛ビューティ

にしおかすみこさん(49歳)「認知症の母に『死んでやる!』と言われ、千葉の実家で暮らしています」

2025年1月号

2024年11月15日発売

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