SKINCARE
化粧品の歴史は女性が綺麗になる歴史。しかも美ST世代の青春時代から現在までの30年間は、化粧品が科学的にとても進化した時代です。厳しくも愛ある視線で化粧品を30年見続け、ヒットを予測してきた編集Iが、30年間進化してきた化粧品の名品3選をまとめました。
日本の高級クリームの代名詞「ラ・クレーム」は1982年10月に誕生した「クレ・ド・ポークリーム」から始まりました。この頃から5,000円以上の化粧品の売り上げが増加、より高いプレステージを獲得するために開発され、皮膚研究「セルラーバランス理論」を基にして、20gで3万円という価格で発売。知見、成分、処方すべてにおいて最先端でした。この精神は2代目1992年「クレ・ド・ポークレームシュペリエル」、そして3代目1996年「クレ・ド・ポー ボーテ ラ・クレーム」から現在の8代目まで受け継がれています。初代から「細胞の」を意味する「セルラー」という言葉を使い、「細胞がベストな状態であれば、肌もまたベストな状態に」という3代目の理論によって、〝スキンケアは肌科学〟という視点を認知させたのも大きな功績です。
最新8代目は毛細血管とコラーゲンの関係、夜の肌のメカニズムの知見に基づき、26にもなる有用成分を秘伝のレシピで完成。幹細胞・真皮・真皮基盤構造に働きかけ、再生力アップ、シミ、シワ、酸化ストレス、コラーゲン産生など総合的に対応。クレ・ド・ポー ボーテ ラ・クレーム[医薬部外品] 30g ¥60,000(クレ・ド・ポー ボーテ)2020年2月21日発売。
現在、日本のみならずアジアで愛される「雪肌精」は、1985年、ハトムギエキス、当帰エキス、甘草エキス、小麦胚芽油といった東洋で使われる植物に着目したスペシャルローションとして誕生しました。大きな宣伝広告もなかったのにジワジワと人気を広め、1993年に「薬用 雪肌精」となって大ブレイク。約100種もの和漢植物から厳選されたエキスの白濁したテクスチャーも新鮮でした。雪肌精のメインテーマは35年前の初代の企画書にもあった「透明感」。2020年、その実体が何なのかを〈透明感方程式〉によって解き明かしました。透明感=彩度(色の強さ)+色相角度(赤みと黄みのバランス) -キメ等方性(キメの流れの方向性の偏り)。透明感に関する因子を客観的に導き出したことで、35年目により進化したのです。
透明感方程式から導かれた因子にアプローチする独自成分ITOWAを配合。成熟したキメ構造に整えるコーニファイドエンベロープ、外部ストレスと水分の蒸散を防ぐタイトジャンクション、潤いを保持する細胞間脂質という3つのバリアを形成し強化する。雪肌精 クリアウェルネス ナチュラル ドリップ200㎖¥3,600〈編集部調べ〉(コーセー)2020年9月16日発売。
訪問販売を主にしていたポーラの新しいビジネスモデルの中心的存在「B.A」。肌表面のトラブルは肌の奥、「真皮」を生み出す細胞「線維芽細胞」の働きに関与するという「バイオアクティブ理論」を発表、1985年に頭文字をとって命名され、誕生しました。2003年発売の「ザ ローション B.A」のオーロラボトルから脚光を浴び、2009年の4代目では先駆けて肌の糖化に着目し、ベストコスメを初受賞。2015年の5代目からは、肌誕生因子「バーシカン」に働きかける再生医療的な皮膚研究を取り入れました。2020年の新知見は、10年間研究してきた「エピゲノム」。DNAの98%を占めるジャンクDNAの中に、線維芽細胞に関わる遺伝子のスイッチを後天的に一斉にオンにする鍵「LINC00942」を見いだし、6代目にリニューアル。
B.A初の製品は別名「水のクリーム」と言われ、3万円の価格にも拘わらず発売2カ月で32万個を売り上げた。6代目は、「LINC00942」の働きによって、老化のために機能を発揮できない線維芽細胞がエイジレスな状態に変わるよう、オリジナル複合成分「仙人穀ロスマ」を新配合。B.A クリーム 30g ¥32,000〈2020年10月2日発売〉リフィル 30g ¥30,000(ポーラ)2020年11月6日発売。
2020年『美ST』10月号掲載
撮影/河野 望〈静物〉 取材協力/味澤彩子 プロップスタイリスト/尾崎 愛 編集・文/石原晶子
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2024年12月16日(月)23:59まで
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