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英国のエリザベス2世女王が、今年、在位70周年を迎えます。最も裕福な女王、最も多数の加盟国を持つ連邦の首長、最も多くの国の紙幣・硬貨に、最も長い在位、最高齢の君主、最高齢の英国女王――6つの世界記録を持つエリザベス女王は生涯現役、その波瀾万丈の人生と笑顔の魅力は、まさに【人生100年時代】のお手本になるはず!
エリザベス女王は4月21日で96歳になられ、今年2022年6月2日から4日間にわたり在位70周年をお祝いする「プラチナ・ジュビリー」の催しが、イギリス各地で盛大に行われる予定です。日本でもエリザベス女王の初の長編ドキュメンタリー映画が公開になったり、東京のホテルで初めて英国式アフタヌーンティーを提供したと言われるホテルで「プラチナ・ジュビリー アフタヌーンティー」が行われたり、楽しみがいっぱい。みんなが大好きなエリザベス女王について、知っておきたいことあれこれ。
1952年2月、父であるジョージ6世崩御の翌日、エリザベス女王は25歳でイギリス女王に即位し、1953年6月2日にウェストミンスター寺院で戴冠式が行われました。「プラチナ・ジュビリー(platinum jubilee)」は在位70周年の祝典のことを言います。25周年がシルバー・ジュビリー、40周年がルビー・ジュビリー、50周年がゴールデン・ジュビリー、60周年がダイヤモンド・ジュビリー、65周年がサファイア・ジュビリー。70周年は英国君主としては初。王室メンバーがバッキンガム宮殿バルコニーに勢ぞろいする「トゥルーピング・ザ・カラー」やバッキンガム宮殿でのコンサート(BBCで中継)など、多くの行事が予定されています。
女王即位の前、1947年11月にフィリップ殿下とご成婚。フィリップ殿下はギリシャ王室とデンマーク王室の家系、イギリス海軍で第二次世界大戦に従軍しました。結婚に至る運命の出会いは女王が13歳の時、フィリップ殿下との結婚はいわば初恋の人との恋を成就させた、ということ。女王の即位により殿下は海軍を退役、結婚し5年とたたずに女王に即位した時から女王は妻であることよりも国王である立場を優先するかに見え、海軍でのキャリアを諦めたフィリップ殿下にとっても女王を支えることが最優先という立場への葛藤が続きます。しかし、女王は時間がかかってもフィリップ殿下の希望を聞き入れる努力をします。1957年に王配の称号を与え、子供たちにフィリップ王配殿下の姓、マウントバッテンを継がせ、マウントバッテン=ウィンザーを名乗らせたことも一つの例。フィリップ王配殿下も1969年に王室のテレビドキュメンタリー製作を企画するなど、王室に新しい風を吹き込みました。殿下は、2021年4月9日、ウィンザー城にて99歳で逝去。葬儀の際、棺の上には「In loving memory」「Lilibet」(「リリベット」はエリザベス女王の少女時代の呼び名)と書かれたエリザベス女王の直筆の手紙が添えられていました。
離婚経験のあるアメリカ人、シンプソン夫人のために王位を捨てた兄エドワード8世の退位により、思いがけず40歳の時に王位を継いだジョージ6世が女王の父。母、エリザベス王太后は王族出身ではなく、貴族の出身ながら魅力的な人間性で101歳で生涯を閉じるまで、クイーンマザーとして国民に愛された方。女王も両親の誠実な人柄に大きな影響を受けています。妹、マーガレット王女は華やかながらも奔放な性格で離婚歴のある男性との恋愛や、その後の自身の離婚、年下の男性とのスキャンダルなどゴシップには事欠きませんでしたが、女王は常に妹を見守り続けていました。マーガレット王女も晩年は落ちついて、王室内で孤立しがちだった故ダイアナ元妃の良き相談相手でもあったそう。母の亡くなる7週間前に妹、マーガレット王女は71歳で亡くなりました。
チャールズ王太子とダイアナ嬢の結婚は世界的に祝福され、ダイアナ嬢の初々しさ、美しさからも、それは理想的で完ぺきなもののように誰もが思ったことでしょう。しかし、のちにわかったのはチャールズ王太子がダイアナ元妃のことを「彼女は幼すぎる」と言っていたこと。カミラ夫人との不倫スキャンダルもかなり早い時期に発覚し、ダイアナ妃にとって結婚生活は幸せなものではありませんでした。その後離婚に至り、ダイアナ元妃も事実を隠さずに公言することで王室には苦々しく思われていた面がありますが、ダイアナ元妃は社会活動を続け、常に注目を集める存在で国民から支持されていました。そして突然の事故死。この悲劇に王室の対応が冷たいのではないかと、国民の批判が高まります。事態を収めるために女王が特例で追悼メッセージを発表することになり、王室は危機を乗り越えました。
女王には3男1女、4人の子供がいます。しかし、残念なことに女王は子供たちにも悩まされることになります。チャールズ王太子のみならず、4人のうち3人が離婚経験者。長女、アン王女は今はティモシー・ローレンス海軍中将と再婚していますが、次男、アンドルー王子は離婚。そして大スキャンダルの当事者になってしまいました。そんななか、幸せな家庭を築いているのが三男のエドワード王子。1999年に広告業界で働いていた民間出身のソフィー・ヘレン・リース=ジョーンズ嬢と結婚。一男一女がいる理想的な家族と言われています。王室にとって大切な公務に問題を抱えるメンバーが登場するのは好ましくなく、ヘンリー王子とメーガン妃が王室離脱したため、現在公務において存在感を示しているのが、ウィリアム王子とキャサリン妃、そしてエドワード王子とソフィー妃の4人。新〝ファブ4〟と呼ばれて大活躍中です。
女王にとっての初孫は1977年、アン王女が出産したピーター・フィリップス。現在は8人の孫、そして12人のひ孫がいます。中でも注目を集めているのは、もちろん故ダイアナ元妃の息子で王位継承権2位のウィリアム王子。王位継承権順位はとても大切で、一時は3位だったヘンリー王子の王位継承権はウィリアム王子に子供が誕生するたびに下がっていきました。かつて、常に自分は予備のようだった、と語ったことのあるヘンリー王子。学生時代からの交際相手と結婚したウィリアム王子から、出会って間もないメーガン嬢との結婚を決めることに対して「もっと時間をかけて考えるように」と言われて兄に反感を持ち始めたとも言われています。その後、兄弟の不仲の修復は難しく、ヘンリー王子の王室離脱の一因にもなりました。王子2人、王女1人の良き両親であるウィリアム王子、キャサリン妃一家が国民に圧倒的な支持を集めていることは、救いでもある一方、ますますヘンリー王子を王室から遠ざけているといえなくもなく、英国王室は安泰かもしれませんが祖母としての女王にとっては悩ましいところです。
英国女王であると同時に現在16カ国ある英国連邦王国の女王。そして英国国教会の最高権威者、英国軍の最高司令官でもあります。名誉職も多く、膨大な公務を長年務めてきました。コロナ禍の2020年には「やがて良い時期が必ずやってくる。そう信じて今を切り抜けましょう。またいつか友だちに会える。またいつか家族に会える。私たちは必ず再会するのです」(スピーチ翻訳/濱野大道)という特別なメッセージを出されました。波乱万丈の人生を乗り越え、自分だけでなく他の人々を考えることをずっと伝えてきた女王の生き方は、コロナ禍を経験した私たちのこれからの指針になるのではないでしょうか。
ザ・ビートルズの「ノルウェイの森」や「ハー・マジェスティ」など多くの音楽が流れ、貴重なエリザベス女王の映像がモザイクのように構成された斬新なドキュメンタリー映画です。少女時代から外遊で航海した「ブリタニア号」で遊んでいる様子、公式スピーチではない女王の肉声も聴け、バッキンガム宮殿の内観やマナーなど興味深いシーンがいっぱい。英国王室を描いた映画やドラマ、コメディアンの風刺パフォーマンス、ポール・マッカートニーなどの有名人やイギリス国民のコメントなど、多角的に描いているのも面白い。監督は、ケンブリッジ大学を卒業後、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで活躍し、映画『ノッティングヒルの恋人』(1999)を監督した故ロジャー・ミッシェル(2021年9月急逝)。彼が新型コロナウィルスによって次回作の撮影機会が奪われてしまった時、「ドキュメンタリー作品を作ろう」と提案したのがきっかけだそう。ポップな描き方の中にイギリスの人々の女王への愛が感じられます。
『エリザベス 女王陛下の微笑み』
監督:ロジャー・ミッシェル 『ノッティングヒルの恋人』
製作:ケヴィン・ローダー 音楽:ジョージ・フェントン
出演:エリザベス2世女王、フィリップ王配殿下、チャールズ王太子、ウィリアム王子、ヘンリー王子、キャサリン妃、ジョージ王子、メ―ガン妃、ダイアナ元妃、ザ・ビートルズ、エルトン・ジョン、ダニエル・クレイグ、マリリン・モンロー、ウィンストン・チャーチル ほか
2021年/イギリス/カラー/90分/英語/5.1ch/ビスタ/日本語字幕:佐藤恵子/字幕監修:多賀幹子/
原題:Elizabeth: A Portrait in Part(s)
後援:ブリティッシュ・カウンシル 配給:STAR CHANNEL MOVIES
公式サイト:https://elizabethmovie70.com Twitter:@Elizabeth70_SCM
2022年6月17日(金)、TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国公開
ホテル椿山荘東京「プラチナ・ジュビリー アフタヌーンティー」概要
■期間 2022 年6月11日(土)~ 7月31日(日)12:00 ~L.O.18:00
当面の間、完全ご予約制(前日18時まで)で承ります。
特設サイト:https://hotel-chinzanso-tokyo.jp/70th_elizabeth_hct/
※ステイプランの「プラチナ・ジュビリー アフタヌーンティー付きステイ in Suite 」もあります。
取材/谷口令子 編集/石原晶子
※美ST2021年2月号掲載記事を再構成・加筆
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