HEALTH
長年、料理の仕事に携わってきた〝ばあば〟のレシピには、知恵と工夫と愛情がいっぱい。あわただしい毎日を送る美ST世代に伝え遺したい、とっておきの美容弁当を教えてもらいました。
「ふりかけを混ぜたごはんをおにぎりにする場合は、しっかりめに握るのがコツ。竹皮は天然の防腐作用があり、ほどよい通気性もあるので、ごはんのおいしさが命のおにぎり弁当には最適です。固く絞った布巾で両面を拭いてから使ってね」
【材料】
塩蔵わかめ……120g
にんじん……1本
卵……4個
ごま油……大さじ4
みりん……大さじ2
醬油……大さじ2
塩……適量
【作り方】
①わかめは30秒から1分ほど洗って塩を落とし、水けをしっかり絞って、できるだけ細かいみじん切りにする。
②にんじんは皮つきのまま、できるだけ細かいみじん切りにする。卵をボウルに割り入れ、菜箸で白身を切るようにしながら溶きほぐし、塩小さじ1/4を加えて混ぜる。
③フライパンを強火にかけて熱し、ごま油大さじ2をなじませ、溶き卵を流し入れ、ポロポロの炒り卵にして、いったん取り出す。
④同じフライパンにごま油大さじ2を足し、中火で2のにんじんを炒める。しんなりしてきたら❶のわかめを加え、1分ほど炒め合わせる。
⑤みりん、醬油を回し入れ、汁けがほぼなくなるまで炒める。
※鍋肌にくっついたわかめはゴムベラでこそげ落とすとよい。
⑥炒り卵を戻し入れて炒め合わせ、味を見て足りなければ、塩適量を加え調える。
\わかめと炒り卵ぬれふりかけの完成!/
林幸子さんが得意とするのは、シンプルで明解、素材の輪郭が際立つ料理。繰り返し作りたくなるアイデアが詰まっています。
「昔ながらのやり方に縛られず、いまのライフスタイルに沿ってアップデートしたレシピで、料理の本質を伝えていけたらいいなと思っています。言うなれば『シン・ばあばの知恵』ね(笑)。手間をかけるところ・省くところを見極めることで、料理はもっと楽に、もっとおいしくなります」
そんな林さんが教えてくれたひと皿は、なんと「ふりかけ」。「独身時代から、作り置きしてよく食べていたのが、わかめとにんじんのふりかけ。それを見ていた母が、『炒り卵を入れたら、もっとおいしくなるんじゃない?』って。料理好きとは言えない母が口を出すのは珍しいことでしたが、やってみたらなるほどおいしく、見た目もヨシ。わかめのミネラル・食物繊維、にんじんのβカロテン、卵のたんぱく質で栄養バランスも言うことナシ。40年以上たったいまも、よく作る常備菜です。
わかめは、水洗いして塩を落とし、テローンとなればOK。水に浸けすぎると、炒めたときに油がはねて大変です。切るときは、まな板の上に長く延ばしてみじん切り。にんじんもなるべく細かいみじん切りにしたいところですが、苦手な人は『大きさを揃える』ことを意識してみて。ふりかけだから味は濃いめにしていますが、足りない場合は、醬油でなく塩で調整し、卵の色を活かしましょう。このふりかけは、炒飯やパスタ、スープ、だし巻きの具にもなる優れもので、わが家ではすぐ食べ切ってしまいます。塩蔵わかめを持て余したときがチャンス。ザクザク刻んで、作ってみてください」
兵庫県出身。大手食品会社で料理開発に携わったのち、独立。東京・表参道の料理教室「アトリエ・グー」主宰。栄養士、日本茶アドバイザー。海苔、塩、包丁、ワイン、落語をこよなく愛する。著書に『料理研究家がうちでやっているラクして楽しむ台所術』(サンマーク出版)ほか多数。愛用品は鋼の包丁と、おろし金。いずれも東京・江東区「吉實(よしざね)」謹製。
2022年『美ST』11月号掲載
撮影/須藤敬一 取材/伊藤由起 編集/小澤博子
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