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中絶率は20歳未満よりも多い【40代の予期せぬ妊娠】医師に聞く避妊方法とは?

40代になり生理周期が不安定になると「妊娠はしないかもしれない」と油断をすることも。しかし妊娠中絶手術をした40代女性の数は、20歳未満よりも多いことをご存じですか?生理がある状態で性交渉を行えば妊娠する可能性はゼロではなく、望まないのであれば避妊をする必要があります。今回は医療法人社団暁明会井上メディカルクリニック理事長/院長の井上憲先生に、40代に適した避妊法・緊急避妊についてお話を伺いました。

1:40代の更年期世代でも性交渉があると予期せぬ妊娠をすることはありますか?

40代以降は妊娠率が低下することが知られており、妊娠する確率は決して高くありません。しかし、もともとの妊よう性(妊娠する確率)には個人差があります。卵巣機能の低下スピードもそれぞれ違い、年齢で区切ることは難しいです。閉経後は、排卵も止まるので妊娠はしなくなりますが、閉経をしていない限り確率はゼロではありません。卵巣の機能が完全に停止していない段階では、望まぬ妊娠を避けるために、性交渉を行う際には避妊をする必要があります。

2:40代にすすめる避妊方法はどんな種類がありますか?

年齢を問わず、一般的に、

・コンドーム
・低用量ピル
・子宮内避妊具(IUD)
・子宮内避妊システム(IUS)

などの避妊方法がありますが、コンドームには装着に失敗したり破れたりするなどのリスクもあります。40代の方には、ミレーナなどのIUS(子宮内避妊システム)や、低用量ピルがおすすめです。とりわけ低用量ピルは比較的副作用の少ないピルといわれており、エストロゲンを補充することで更年期・プレ更年期の不調改善も期待できます。予期せぬ妊娠を予防するとともにこれから本格的になる更年期のカバーリングもできるので、一石二鳥の方法と言われています。

※IUSとはIntra Uterine Systemの略で、女性ホルモンの一つである黄体ホルモンが付加され、子宮の中に持続的に放出する子宮内システム。一度の装着で、その効果は最長で5年間持続する医薬品です。
参照先はこちら

3:IUSや低用量ピルを利用するデメリットはありますか?

もちろん、IUSや低用量ピルにも副作用はあります。体重や生活習慣などによって個人差がありますが、基本的には説明書に記されている一般的な副作用に注意しつつ使用することになります。事前に婦人科を受診することで定期的にアフターケアも受けることができ、自分にあった方法を選ぶことができます。

※低用量ピルの主な副作用=悪心、嘔吐、不正出血、頭痛、乳房の張りなどマイナートラブル

4:避妊に失敗した場合、婦人科を受診してできることはありますか?

昨今では、年齢を問わず緊急避妊薬であるモーニングアフターピルを利用する方も増えています。モーニングアフターピルとは、性行為があった72時間以内に所定量のピルを服用することで妊娠率を抑えるものです。実際に性行為があった時間から服用までの間隔が短いほど、避妊の確率が高いと言われています。

令和の40代女性は、既婚・未婚問わず活躍の場も増え、より活動的になっています。閉経前に性交渉があれば予期せぬ妊娠をする可能性もゼロではないですが、その分、避妊方法も選べる時代。婦人科に相談することで、今後起こりうる更年期を見据えての対策をたてることができるなど、嬉しいメリットも期待できそうです。

産婦人科医師。『医療法人社団暁明会井上メディカルクリニック』理事長/院長。慶應義塾大学医学部卒後研修修了、日本産科婦人科学会認定専門医、母体保護法指定医、東京産科婦人科学会学術編集委員、杏林大学医学部非常勤講師。井上メディカルクリニック

取材/星子 編集/岡村宗勇

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