アパホテル社長・元谷芙美子さん「逆風でも吹けばラッキー。風があれば前に進める」<前編>

華やかな帽子とミニスカート、「私が社長です!」でおなじみ、アパホテル社長の元谷芙美子さん。スリーサイズは92・63・87のボンキュッボン。「90歳までミニスカートで最前線にいたい」と言う元谷さんの美とエネルギーの源とは?
アパホテル社長・元谷芙美子さん(73歳)
小学生の頃から帽子好き。先生に「授業中はかぶっちゃダメ」と注意されるおしゃまな女の子だったそう。ファッションも大好きで、鮮やかなブルーのスーツは銀座マギーで購入。アパホテル本社情報館にいると、外を歩く女子高生から声援が送られるほどの人気者。

むちむちのボンレスハム。でもボンキュッボンが自慢

忙しいことを言い訳に、美容に関しては大したことをしていません。石鹸で洗顔後は、気分によってシャネルかヤクルトか雪肌精でお手入れをしますが、いちばん気に入っているのはカネボウのオールインワン。でも機内販売で購入したエスティローダーのナイトリペアがとてもよくて、これだけは使い続けています。美顔器も持っているんだけど一度も使ってないなあ。持っているだけで安心するタイプです。
ステキな美容室「HIROIN」が大好きで、最低でも週2回行きますが、毎日でも行きたいくらい。シャンプー、トリートメント、マッサージ、ブローまで全部してもらいます。
お風呂が好きで、家のお風呂は酸素美泡湯。酸素を含んだミクロの泡が、横からも下からも出てきて、お湯が白く柔らかになります。体が温まり、皮膚が柔らかくキレイになりますね。
睡眠は中学生のときからずっと毎日5時間。2時就寝7時起床。1分ですっと寝て、パチッと目を覚まします。睡眠薬は一度も飲んだことがないの。毎日熟睡しているから起きたときから機嫌がいいですよ。
ハードな運動は体によくないと聞いて、何もしていません。でも家が3階建てで、1階から3階までを一日10往復しているのが運動になっています。子どもの頃は運動が大好きで、陸上選手だったので、インナーマッスルが鍛えられているのかな。
食前・食後にもご飯をいただくほど大食漢(笑)。一日5食です。どの回もたっぷり食べます。ほっそり見えるようですが、実はむちむちのボンレスハム。でもボンキュッボンが自慢で、スリーサイズは92・63・87(笑)。
我が家は2世帯6人家族で次男家族と同居しています。完璧なお嫁さんで料理も上手ですが、夫(アパグループ代表の元谷外志雄さん)の好きなものは私が作ります。夕飯が終わって、11時からは「クラブふみふみ」を開店。 旦那さまだけがお客さまで焼酎の森伊蔵を1杯だけ作ります。おつまみは一夜干しのカレイや鈴波の帆立貝柱のみりん粕漬を焼いて出し、夫婦で美味しくいただいています。

自分に厳しくしないゆるキャラです

結婚して51年、喧嘩をしたことがありません。精神的には今も新婚当時と変わりません。夫とは福井信用金庫で働いていたときに運命的に出会い、22歳で結婚しました。
昔から勉強が大好きで、高校は県内一の進学校。教師になるのが夢で、大学進学のために猛勉強していた高校3年生のとき、父が病気になり進学を断念しました。大学に行かないのは学年で私1人。とても残念でしたが、昔から気持ちの切り替えが早いほうで、「18歳で人生は決まらない。まだまだチャンスはある」と思い直し、逆にスイッチが入って一生懸命働きました。そのときに出会ったのが小松信用金庫の職員だった夫。結婚した翌年に夫がアパの前身「信金開発株式会社」を石川県小松市で創業し、私も参画。23歳で長男、27歳で次男の出産前後に休んだ以外は水を得た魚のように働くのが楽しくてしょうがなかったですね。
アパホテルの社長になったのは47歳。会社は急成長していましたが、ホテル事業だけが赤字すれすれ。夫からの抜擢人事で、小松グランドホテル(現アパホテル〈小松グランド〉)で就任式を行った際、「ホテル業界のジャンヌ・ダルクになります」と打ち立てると、来賓の銀行頭取や新聞社の社長さんたちが失笑。拍手もなくしらけて終わりました。そこで逆にやる気が湧いてくるのが私。期待されていない分、前向きに裏切って、できないであろうことを成し遂げようと思いました。これ以上のアゲインストはない空気で出発したことがとてもよかったですね。
とにかく物売りにならず、利益や見栄のためではなく、相手が何を望まれているのかをいちばんに考える。つまり、物より元谷芙美子の人間性を、アパの将来を買ってもらうことを念頭に置きました。天真爛漫に私自身が楽しみ、「仕事を遊びに、遊びを仕事に」の感覚でベストを尽くしました。気がついたら一度の赤字もなく、納税額は千数百億円を超えるまでに。でも、それは私だけの力ではなく、実力が足りないところは夫の力も借りました。一緒に仕事ができて本当にありがたかった。
実は夫も中学2年生で父親を亡くし、勉強が大好きだったのに進学を諦めて信用金庫に入庫。同時に慶應義塾大学の経済学部通信教育部に入学しました。悔しさをバネに頑張っている気持ちが、境遇が似ていた私にはよく理解でき、いっそう尊敬の念を持てたんです。だから、夫以上の素晴らしい人はいないと思っていますし、出会えたことに感謝しています。
子育てと仕事と家事の両立が大変だとは思ったことがないんです。子どもたちは1人の人として育て、私たちの生活に子どもを合わせました。無駄泣きすると叱り、泣いても要求は通らないと躾け、ありがたいことに2人とも聞き分けのいい親孝行な子どもでした。子育ても仕事も家事も全部完璧なんて無理。どれも30点が私。足して100点になればいい。自分に厳しくない、ゆるキャラです。

元谷さんの美の秘密①

全部大切に保管している家族からの愛溢れるカードや手紙
長男に3人、次男に2人、計5人の孫たちが、誕生日や結婚記念日などの節目に送ってくれるカードや手紙は私の宝物。一生懸命書かれた文字を見ると幸せな気分に。

元谷さんの美の秘密②

スネイクのネックレスは主人からのプレゼント
数年前パリに旅行に行ったとき、ホテル・ド・クリオンのジュエリーショップで買ってもらいました。講演会でつけているとびっくりされるので、普段使いにしています。
●Profile
福井県福井市生まれ。福井県立藤島高校卒業後、福井信用金庫に入庫。22歳で結婚し、翌’71年、夫の元谷外志雄氏が興した信金開発株式会社取締役に就任。’94年アパホテル株式会社取締役社長に就任し、全国規模のホテルチェーンへと成長させる。’06年早稲田大学大学院公共経営研究科修士号を取得。’11年同博士課程を修了。現在、アパホテル株式会社取締役社長をはじめ、アパグループ11社の取締役、東京国際大学特任教授、日韓文化協会顧問を務める。
後編へ続く

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2021年『美ST』5月号掲載
撮影/須藤敬一 ヘア・メーク/遠藤康弘 取材/安田真里 編集/和田紀子