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日本では半数以上の夫婦がセックスレスに陥っているといわれています。保険会社の事務職に従事する派遣社員の杏奈さん(仮名、42歳)と、IT企業で働くエンジニアの慶さん(仮名、43歳)も、2年ほどレスの状態。小学4年生の女の子と小学2年生の男の子を育てている杏奈さんは「プレ更年期ですしレス自体はそれほど気にしていない」と話します。しかし長女の雪さん(仮名、10歳)の中学受験に対する「意識の違い」で性交渉がなくなり、夫婦関係がギスギスしてしまったことについては悩んでいるといいます。
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杏奈さんと慶さんは幼稚園時代からの幼馴染。
「ずっと仲良かったわけではないんですけど、成人式以降、同窓会や地元飲みで定期的に会っていました」。
隣の席に座ったら「最近どう?」とお互いの恋愛の相談をしたり、5、6人でスノーボードや花火大会などに繰り出すような20代を過ごした2人。
「好きなアニメやK-POPアイドルが同じだったりと趣味が合ったので、『30歳でお互い1人だったら結婚しようか』とありがちな約束をしていました。まさか本当になるとは思いませんでしたけど」。
杏奈さんの地元の仲間は30歳になる年に「成人10周年祭り」という大規模な飲み会を開いたそう。
「30人くらいでワイワイ近況を報告し合いました。そこで再会した夫の慶は、ちょうど彼女と別れて2日目だといって落ち込んでいました。しょんぼりしている顔がかわいく見えて『うちで飲み直す? 話聞くよ』と下心満々で誘って。まんまと引っ掛けてしまいました」。
その後、慶さんが元彼女と杏奈さんの間で揺れたりと紆余曲折もあったそう。一度は別れたものの、再度ヨリを戻したいと慶さんに言われた時、条件として「婚約」を持ち出した杏奈さん。答えはOKで、2年後には両家も大喜びの「幼馴染婚」をしていたとのこと。
「昔から夫のことを『頼りないけど顔はタイプ』と思っていて、30歳で私の方からガツガツ行った感があるので、浮気されないか心配でした。でも結婚してしまえば夫は子煩悩で家庭的ないい父親になりました。休日はだいたいずっと子供といるので、浮気のリスクも想像していたよりずっと低そうです」。
末っ子長男で甘え上手な慶さんは、常に子供か杏奈さんとくっついているのが好きらしく、30代はセックスレスにはならなかったそう。
「レスで悩んだことはないです。子育てや仕事が忙しい時期はしませんでしたが、冬場になると寒いのでなんとなくひっついて再開する、みたいな感じでした」。
そんな平和な家庭で予想外のうれしい悲鳴が上がったのは、長女の雪さんが「誰に似たのか際立って才能豊か」だったこと。
「ギフテッドっていうんでしょうか。私も夫も理系で、私は都内近郊にキャンパスがあるマンモス大学の工学部卒。慶は高校時点で私より偏差値がかなり高かったのですが、家庭の事情で大卒ではなく高専卒です。2人とも、中の中から中の上だったんですが……。娘は2歳まではどちらかというと言葉が遅いくらいでしたが、3歳で急に言葉が達者になったので遊びを交えた知育学習を初めてみたら驚くような集中力を発揮して」。
雪さんの才能は、勉強にとどまらなかったそう。
「私たち夫婦は、得意な科目は理系に特化していて国語や楽器やスポーツはどちらかというと苦手です。娘は、算数も国語もピアノもスケートも水泳も、先生が『なんでいきなりできるの?』と絶句するようなオールラウンダーでした」。
雪さんは小学校に上がると全国統一テストで都内上位の成績を叩き出し、塾では優秀さの証のオブジェももらい、算数の能力を競う大会に出ればメダルをゲット。消防車の絵は区役所に飾られ、絵手紙コンテストに出せば図書券が送られてくるなどコンテスト荒らし状態に。
「両家の祖父母も得意不得意はありながらよくて中の上。同じように育てた2つ年下の長男は、宿題すら渋々やっている勉強嫌いで、サッカーや体操が大好きな、虫や恐竜関連の理科だけ興味アリの自由人です。娘の遺伝子はどこから来たのか……。強いていえば私の母方の叔父が東大卒ですが、文系でややコミュ障気味な翻訳家です。娘は、ギフテッドというイメージに反して素朴で明るくお友達も多い子で、不思議で仕方がないです」。
誰に言われなくとも楽しんで机の前に座り、クイズやゲームを楽しむように勉強に取り組んでいるという雪さん。
「最初は夫婦ともに『あらら、これはすごいわ』『たいしたもんだねぇ』とポカンとしていました。でも私自身が教員免許を持つ母に育てられたこともあり、無意識に教育ママの種が埋め込まれていたみたいで。いつの間にか中学受験情報をネットで検索しまくって、娘の天才ぶりに夢中になっていました」。
小学2年生の3学期になり、慶さんの反対を押し切ってほかの習い事をすべて辞めさせ、中学受験で最も難関校合格率が高いとされる超有名塾に入れたあたりから、夫婦の間に隙間風が。
「夫は『雪のような子こそ、公立に行かせても問題なく難関都立高校から国立大学に進むタイプだ。弟の方が個性を活かす私立受験が必要なんじゃない?』と、小2からの中学受験塾通いを反対していました。私は『国立っていうけど、塾に国立中学を目指すコースだってあるよ? 御三家や国立中学の試験って独特で、早くから対策したほうがいいみたい』と押し切ってしまいました」。
当の雪さん本人は「おもしろい問題が解ければどっちでもいい」というスタンスらしく、4年生になった今もいい成績をキープしているそうです。
「夫は『家計や弟の進学のことも考えているのか』『100歩譲って塾に行くにしても特待生で無料になる塾を選ばなかったのは贅沢だ』と文句ばかり言っています。『学費は問題ないよ。うちの実家が援助してくれるって』と伝えると、喜ぶどころか『40過ぎて親に金を出させるなんて情けない』とプライドが傷ついたみたいでした」。
杏奈さん曰く、釣りや虫取りが好きな慶さんは子供達以上に「子供と自然の中で遊びたい」と思っているそう。今年の夏も、庭にビニールプールを広げてかき氷機を買ったのに雪さんが夏期講習で留守だったことに意気消沈していたそう。
「もちろん私だって無理に勉強漬けにするつもりはありません。かき氷とビニールプールは長男が堪能していましたし、夏休みには海にも行きました。娘本人が辛いなら受験や塾を辞めることも検討します。でも本人に才能があって、少なくとも嫌がってはいないんです。それなら最高の環境を用意してあげたいと思うじゃないですか」。
杏奈さんが雪さんの中学受験に熱中するうちに、慶さんとの性交渉はなくなりスキンシップすら激減。最近では会話をする度にイライラ。
「私が娘の塾に集中している間、夫が息子のサッカーのお当番を引き受けてくれればもっと円滑に物事が進むのにと思うことが多々あります。『ママが姉ちゃんばっかり気にしてるって思ったら、息子がかわいそうだからママが行ってあげて』と言われるんですが、私が息子のことを大切にしているのは誰の目にも明らかでむしろベタベタしすぎてるくらいなのに…」。
サッカーの教室選びにおいても、親が楽なスポーツクラブ系ではなく、あえて手間のかかるサークル系を選んできた夫に、塾選びに対抗して嫌がらせをしているのではないかと感じてしまうそうです。慶さんは送り迎えや塾のお弁当作りもやってくれているので、完全にワンオペというわけではないのですが、杏奈さんには不満が募っているといいます。
「結局のところ、私たちの教育方針の違いが無言の不満として現れ、日々の生活の中で張り詰めた空気を生んでいるんです。それに加えて夫は『親にお金を出してもらう』ということに怒っているんだと思います」。
また、最近では杏奈さん自身、イライラしたり汗が出るなど少し早めのプレ更年期を感じることもあるそうです。
「セックスレスになるのは自然の流れだと私は思っているので、それに関してはあまり気にしていません。ただこの家庭内のギスギスした雰囲気だけはどうにかならないものかと日々思っています」と話しつつも、「娘が嫌がらない限り一緒に中学受験を乗り越える」という目標だけは、何があっても譲れないといいます。
「夫婦の意見が食い違うのは理解できますが、娘が楽しんでいる以上、最善の環境を提供してあげたいという気持ちは、私にとって絶対に譲れないものです」。
杏奈さんは強い意志を持って中学受験への取り組みを続けています。
※本記事では、プライバシーに配慮して取材内容に脚色を加えています。
取材・文/星子 編集/根橋明日美 イメージ写真/PIXTA
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