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見た目は若くても体の老化は始まっています。大事なのは閉経の前後から重なり合って起こる「アフター更年期」の過ごし方。漢方の知恵を使って、ネガティブになりがちな老化を先手先手でポジティブにしていきましょう。
更年期は閉経前後の5年間計10年を指し、平均的な閉経が50歳前後とすれば、45~55歳頃まで。最初の5年を更年期前期、後の5年を更年期後期と呼び、閉経を迎える。その前後、閉経と重なり合った時期以降がアフター更年期。
加齢に従って、誰もが「新陳代謝が活発な状態(陽)から、冷えている状態(陰)」とともに「胃腸が丈夫で疲れにくい状態(実)から、胃腸が弱く疲れやすい状態(虚)」へ移行。アフター更年期はこの「陰」と「虚」の状態へ。
東洋医学では28歳が心身ともに女性のピークで、40代になると、20代30代に比べて下降していくのは当然のこと。その変化を受け入れずに頑張ってしまうとエネルギーが枯渇するため、老化予防対策が必須。維持こそ大事に。
閉経の前後から、重なり合って起こる症状を「アフター更年期」と呼んでいます。「更年期は終わったはずなのに調子が悪い」と訴える50代半ば以降の女性が多く、女性ホルモンが減少し、男性との性差がなくなり、心臓疾患や疲れやすさ、だるさ、高血圧など、今まで女性ホルモンに守られていた女性は男性より症状が出やすい傾向にあります。誰でも老化するのは当たり前で、見た目の若さは関係ありません。そこに時間の逆行を願うのでなく、流れの速度を遅くすることが大事。それには先手必勝のケアが必須で、例えば風邪をひかないだけでも老化防止に繋がるため、予防接種やうがいをするなど、半歩先に行って自分をケアしましょう。また女性は情報に惑わされて、不必要なサプリを飲むなど、過剰傾向があります。足す足すより引く引くを覚え、自分のいい状態を知っておくことが何より大切です。無駄に過剰に頑張らないこと、それがポジティブ・エイジングに繋がるのです。
お茶の水女子大学卒業。中央官庁入省、オックスフォード大学大学院留学を経て東海大学医学部に学士入学。著書に『女40歳からの「不調」を感じたら読む本』(静山社文庫)など多数。
50年も生きてきたら人ぞれぞれでOK。自分の状態を測る「マイスケール」を持っていれば他人と比較して羨ましがったり、追いつこうと無理に頑張って気を枯渇する必要がなくなります。
香味野菜や柑橘類など「気」の巡りを改善する食材を積極的に取り入れ、夕飯は懐石料理をイメージし、ご飯を最後に食べる習慣を。お腹が減らないのに3食に拘らず1週間単位でバランスを考えましょう。
疲れを取る睡眠は最も大切。あえて7時間と時間で考えず、深くぐっと寝るには眠くなってからベッドに入って。決して早寝早起きに拘らない。エネルギーを補う深夜2時までには就寝を。
睡眠と食で取り入れたエネルギーを体の隅々まで巡らせるのが運動。ピラティス・ゴルフ・テニス……好きなことを続ける習慣を。好きなことに没頭する時間もストレス解消になります。
2020年『美ST』2月号掲載
撮影/吉澤健太(木村先生分)、ケビン・チャン(静物) イラスト/まるはま 取材/安田真里 編集/小澤博子
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