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日本では半数以上の夫婦が陥っているといわれるセックスレス。では海外に住む夫婦の場合はどうでしょうか? カリフォルニアの広告代理店で働く紀子さん(仮名、52歳)は、アメリカ人の夫ポールさん(仮名、51歳)と結婚して20年目。1人息子が日本に留学中の2人は「レスではないといえばレスではない」と言いながらも、性交渉の頻度は低いそう。そんな中でもかろうじて関係が続いている理由を「長いバケーションを楽しむこと」だと分析しています。
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紀子さんとポールさんが出会ったのは東京でした。当時、紀子さんは外資系ゲーム企業で働いていましたが、英語にコンプレックスがあり、帰国子女の友人に「英語飲み会」を開いてもらっていたそうです。
「短期留学の経験はありますが、当時は軽い日常会話ができる程度。アメリカ人上司との雑談はなんとかなりましたが、海外での自社製品の説明となると通訳が必要なレベル。20代後半に部署異動でさらに英語が求められるようになり、慌てて英会話教室に通ったり、英語圏の友人と交流を持つようにしました。その頃出会ったのが、日本語も英語もほぼネイティブで、むしろ日本語のほうが得意だと豪語するアメリカ人のポールでした」。
ポールさんは、親の仕事の関係で小学校から高校の途中までを日本で過ごしており、日本が大好き。アメリカの広告代理店から日本に出向しており、2年後にはアメリカに帰国する予定だったそうです。
「私は広報として働いていましたが、当時、広告代理店への転職を考えていました。英会話の練習と転職相談を兼ねて、彼に食事をごちそうしながら話をするうちに、お互いの距離が縮まりました」。
半同棲生活を始めた2人は、自然な流れで婚約し、紀子さんはポールさんと共にカリフォルニアに移住することを決めました。
30歳で結婚し、半年の準備期間を経て渡米した紀子さん。
「ある程度英会話力は上がっていたとはいえ、移住当初は不便なことが多かったです。転職先は日系企業だったので働きやすかったのですが、病院にかかる際には医療用語が聞き取れず苦労しました」。
夫婦仲は良好だったものの、なかなか子供ができず悩む時期もあったそうです。
「日本で医師をしている友人の紹介で、日米両国で長年の臨床経験を積んだ医師がいる婦人科を受診し、不妊治療を受けました。38歳で出産しましたが、高齢で授かった1人息子なので、孫のような感覚でかわいがっています」。
ポールさんと紀子さんは会話が多く仲の良い夫婦で、イベントやホームパーティーが大好きなアクティブ派。
「息子が小さい頃は、親としての役割に集中するあまり、男女という意識が薄れるのは日本でもアメリカでも同じかもしれません。少なくとも、うちの場合はそうでした。ただ、アメリカでは子供を家に1人で残せないため、夏になるとサマーキャンプに送り出す家庭が多いんです。その期間、私たちは夫婦2人きりになり、長めの休暇を取ってバケーションに出かけます。大人の男女2人で旅をすると、自然にカップルとしての意識が芽生え、夏の間だけ性交渉が復活する傾向があります」。
今年の夏と秋、14歳になった長男は日本の祖父宅にホームステイし、日本の学校に通いました。
「その間、私たち夫婦は九州の温泉や軽井沢の旅館に泊まり、日本旅行を楽しみました。夏の夫婦旅行は奮発することにしています。日本の高級旅館は雰囲気が素晴らしいところが多いので、『この環境でロマンチックにならないと元が取れない』という気持ちになり、男女の関係が復活します」。
紀子さんいわく、体力の衰えた中年夫婦が男女に戻るためにはロケーションが大切とのこと。
「意識的に『ハレの日』を作り、ドラマのセットのような空間に入り込むことで、他人の目を気にせず無理なく恋人ごっこを楽しめます。レスであろうとなかろうと特別なハレの日があることで、映えない日常を豊かに過ごせると感じています」。
※本記事では、プライバシーに配慮して取材内容に脚色を加えています。
取材・文/星子 編集/根橋明日美 イメージ写真/PIXTA
2025年2月16日(日)23:59まで
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