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日本では半数以上の夫婦がセックスレスに陥っているといわれています。ショッピングモールのコーヒーショップで働くあいかさん(仮名:49歳)は、ケータリングサービス会社に勤める亮さん(仮名:49歳)と、25歳になる長男との3人家族。「子供が巣立ったら夫とまた恋人同士のような関係に戻りたい」と密かに願っていましたが、長男は一向に実家を出る気配がないそうです。
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あいかさんと亮さんは調理師専門学校の同級生でした。当初はシェフを目指していたあいかさんですが、実習の厳しさや不規則な生活に限界を感じ、洋菓子メーカーに就職したそうです。
「最初は工場勤務で静かな空間になじめず辛かったのですが、半年後にデパート勤務となり、そちらのほうが私に向いていたようで楽しく働けるようになりました。夫はホテルのレストランやチェーン展開している高級中華料理店を経て、今はケータリング会社で管理職をしています」。
2人は20歳から交際を始め、23歳で結婚。新婚旅行で子供を授かり、一人息子を「やや過保護気味」に育ててきました。
「仕事は妊娠と同時に一度辞めました。ちょうど夫の転勤が重なったこともあったためです。友人や家族もいない土地で赤ちゃんを育てることになり、孤独で辛かったです。泣く息子の声から逃げてトイレに籠もって過呼吸になったこともあります。夫はいつも優しかったんですが、当時は帰宅も遅く飲みの席に出なくてはいけないことも多く、私は産後うつになってしまいました」。
産後うつで一度実家に帰り夫と別居したことで、20代半ばで一度セックスレスを経験しているといいます。
「レスの期間は2年くらいでした。夫は連休の時は車で3時間かけて私の実家に来てくれましたが、なにせ実家なのでいちゃいちゃする気にはなれません。その時期に浮気されていなかったかどうかはわからないし深く考えたこともありませんが、もししていたら墓場まで持っていってほしいですね。基本的にはいつも穏やかで少し優柔不断ながら愛嬌のある学生時代の彼のままで、仲の良い夫婦です」。
ホテルレストランでの修行に区切りをつけ、あいかさんの実家から通えるデパートの中華レストランの社員へと転職した亮さん。その頃には長男は保育園に通い、あいかさんはショッピングモールでパートをしていました。あいかさんの実家近くにマンションを購入した時点で、一旦レスは解消したとのこと。
「やっぱり長く離れていて寂しかった面もあって2LDKの新居を購入して気分が上がりました。子供を預けやすくなったので、夫が運転するバイクの後ろに私が乗ってデートに行くことも。なんといっても20代だったので若い夫婦らしく過ごしていました」。
そんな2人の関係が変わってきたのは、長男が小学校に入学し不登校になった頃。
「保育園が同学年10人に満たない手厚いところだったので、いきなりマンモス校の公立小学校に入ってびっくりしてしまった面もあると思います。最初は玄関で泣き叫ぶのを抱っこで車に乗せて無理やり送っていこうとしました。でも逆効果かもしれないと思い直して、自宅学習に切り替えました。特に母子分離不安があって、寝る時でも私にべったり。その頃から夫とはまたレスになりました」。
あいかさんは発達障害を疑い専門機関を受診しますが、特に問題は見つからずはっきりとした結果は出ませんでした。
「スクールカウンセラーの先生や、地域の児童相談所、児童精神科などにも行ったのですが、名前のつく特性は指摘されませんでした。通信教育や地域の算数塾で勉強しながらのんびり過ごしていたら、徐々に状況は好転しました。2年生になってベテランの女性の先生が担任になってたまに学校に行けるようになったんです。ただし私の付き添いが必須でしたが。私は授業を受ける息子の隣に椅子を置いて、彼を見守る日々でした。その時期はパートも辞めて、精神的にも辛くてレスで悩む余裕はありませんでしたね」。
あいかさん自身は、産後うつの経験が強すぎて、2人目は「授かれば生むけど妊活まではしたくない」と思っていたそう。
「一度、レスが3年続いた頃、夫のほうから『おふくろに、2人目は?って言われたんだけど、妊活で病院行く?』と聞かれました。そのとき私は『ごめん。メンタル的にもそんな状態じゃなくて無理かも』と断ってしまいました。性交渉自体を固辞したつもりはありませんが、優しい夫にしてみれば『無理はしないほうがいい』と思ったのかもしれません。レス解消のチャンスだったのに、もったいないことをしました」。
その後、長男は個別指導塾で中学受験に挑みます。
「4年生になる頃には私の付き添いがなくても登校できるようになっていました。彼は将棋が得意で、将棋クラブを気に入ったようです。中学受験は難関校ではなく、インクルーシブ教育を理念に掲げた自由な校風の学校を3つ受けて、そのうちの一つに合格しました」。
中高一貫校で将棋研究部に入り、やや繊細な部分は残しつつ、普通に通学するようになったそうです。
「学校が少し過保護に感じるほどに手厚くて『勉強が嫌いになるくらいなら宿題はしなくていい』という方針なので楽しかったんじゃないでしょうか? それでも冬季うつになりやすくて、冬になると3日に一度は学校を休んだりと手のかかる子ではありました」。
長男の教育に右往左往しつつも、家族でグアムに行ったりキャンプをしたり、それなりに楽しい日々を過ごしていたというあいかさん。
「夫との関係は完全にレスですけど、パート先の先輩に『息子が大学進学で一人暮らしをして巣立ってから夫と2人でスキーに行くようになって20年ぶりにイチャイチャした』と聞いて、『その手があったか』と思いました。せっかく早婚で早く出産したんだから、息子が20歳になっても私たちはまだ40代。夫のことは今も好きだし、夫婦2人の生活はその後楽しめばいいか、と気楽に考えていました」。
しかし長男は、IT系の専門学校に進んだものの卒業を控える時期になっても本格的な就職活動をする気配がなかったそう。
「IT企業への就職に強い専門学校と聞いて入学させたのですが、息子は専門学校を卒業してからも在学時からのアルバイト先であるインターネットカフェに勤め続けています。『居心地がいいんだよ』『就活はしたけど落ちたし、交通費全額支給で社員登用もあるらしいから』と言っています。正直、そう簡単に社員にはなれないと思うのですが……。そのままの状態が続いて今年25歳になります」。
長男は週5〜6日アルバイトに入っていて、収入は低いながらも安定しているそう。
「とはいえ、家に食費も入れていないし、仮に社員になったとしても一人暮らしをしたら今のようにアニメや漫画を買うお金はなくなるでしょう。息子はかわいいので25歳になったのを機に少額でも家に入れてもらって30歳まで様子をみようと思います。不登校の頃は引きこもりを心配したので、週5働いてくれているだけでもありがたいのかもしれないですが……。『この子が自立する日は来るのだろうか』『夫婦2人水入らずなんて甘かった』と意気消沈しています」。
※本記事では、プライバシーに配慮して取材内容に脚色を加えています。
取材・文/星子 編集/根橋明日美 イメージ写真/PIXTA
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