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日本では夫婦の半数以上がセックスレスだといわれています。カメラマンの優子さん(仮名・52歳)と商社勤務の将さん(仮名・50歳)も性交渉がなくなって20年。結婚22年目の夫婦ですが、優子さんは長年まったく不満なく暮らしてきたそう。しかし、更年期を迎え、優子さんには「ある疑問」が頭に浮かんでいるそうです。
「私と夫の間に子供はいません。夫は子どもをほしがりませんでした。私はというと、30代半ばごろに世間体が気になり子供がほしい時期がありました。でも40代になり犬を2匹飼ってからは、なんとなく“お世話欲”が満たされたせいか『別にいいか』と思い始めました」
優子さんと将さんは「犬連れOKの音楽フェス」や「愛犬とサーフィンイベント」などに連れ立って参加するイベント好き夫婦。
「出会いは音楽フェスです。電話番号を交換した直後に、夫のほうから好意を示されてデートに誘われたのですが、はじめは戸惑っていました。
実は私は20代の頃、元彼氏が男性を好きになって振られたことがあり、ほかにも片思いした人が男性と交際していたりした経験もあって……。『美人でもない年上の私に好条件の男性が一目惚れなんてありえない。同性愛者で、“お友達として”ってことなのかな?』と考えてしまったりして。あまりモテてこなかったこともあり自信がなかったんです」
実際にデートしてみると、将さんは優子さんの「顔が好み」だと言ってくれて、さらに話していて楽しかったことから、交際が始まります。
「夫は目がぱっちりしてちょっと困り顔の女性が好きだそうで元彼女もそんなタイプ。まさに、今うちで飼っているレトリーバーみたいな顔ですね。
交際期間の5年はレスではありませんでした。子どもはほしくないとは交際当初から公言していました。遺伝する可能性のある病気を持つ親族がいるという事情もあるのですが、そもそも子どもが苦手なんだそうです」
優子さん自身も子どもは嫌いではないものの、母親がネグレクト気味だったこともあって20代は子育てをするということに自信が持てなかったそう。セックスレスに関しても「5年あったなら普通じゃないか?」と気にしていなかったと振り返ります。
「10代20代の恋愛が半年で終わることもあったので、恋愛感情もパートナーへのドキドキも性交渉も5年もてば長いほうなんじゃないかなって。子作りの目的もなく、恋愛の延長で籍を入れて、気が合うし両家の相性も良好で離婚する理由もない場合、レスになっていくことは自然なことじゃないでしょうか?」
優子さんは、自身の5倍近い収入のある将さんのおかげで安定した生活ができてありがたいと思っている面もあり、家事は好きなので多めに請け負うことも苦にならないそう。
「郊外ですが大型犬を飼える一戸建てに住んで、フリーランスカメラマンとしてブライダルなどの好きな仕事を受けて、楽しく暮らせるのも夫のおかげです。夫はりんごもむけず、みかんですら義母にむいてもらっていたような一人息子。独身時代は水はウォーターサーバーで食事は外食か惣菜。キッチンの水道は封鎖されており、火はほぼ使わなかったそう。お互いの需要と供給が合っています。でも、それ以上に『犬と気が合う男性との暮らしが楽しいしラク』というのはあります」
将さんの浮気については、「気づいたことも疑ったこともないけど、1度くらいはあるんじゃないか」と思っているそう。
「男性といってもいろいろなタイプや体質の人がいると思うので一概には言えませんが、20年もレスですからね。キャバクラなんかは付き合いで行っていたので、30代40代は何かあったんじゃないですか? でもあやしい様子はなくて、家ではのんびりした『犬のお父さん』。それなら気に病む理由もないですよね。一応、離婚してもやっていける貯金と仕事量を維持するようにはしていますが、今の時点では仲がいいです」
優子さんは、仮に浮気に気が付いたとしても、見てみぬふりをしてパートナーとして普通に過ごしたと思う、と分析しています。
優子さんは最近、更年期障害で指がこわばったため婦人科で血液検査を受けた際、医師から「女性ホルモンが低下して男性ホルモンの影響が強く出ている」と言われたそう。
「それがきっかけで『私はもう男性のほうに近いんだよ』と友人に話したら、『そもそも女子だったときはあったの?』と笑われました。『だって、子供も欲しがらず、レスも気にならず、夫の浮気を疑うこともしないとか珍しいよ』と言われたんです。
私だって20代は、男性にモテたら嬉しい時代もありました。性欲のようなモヤモヤも若い頃はあり、セルフで解消したりもしていたんですが……」
とはいえ、最近ネットやテレビで「ノンバイナリー」「無性愛」という言葉を見るたび、「モテたいというのは、世間体とか承認欲求だったかもしれない。そもそも私は男性が好きだったんだろうか?」という思いが浮かび、自分の人生について考えてしまうことがあるそう。
「そうは言っても、もう50代。初老っぽさも出てきています。夫の両親とも仲が良く、多少ですが義父母の介護のサポートもし始めています。私自身、古風な人間なのか、嫁として組み込まれているのが居心地がいいんです。
今さら、女性が好きだろうが男性が好きだろうが、どちらにも興味がなかろうが、深掘りしなくていいとは思っています。ただ、そういう記事を読むたびに『令和に生まれたらどうなっていたかな』と、好奇心を抱くことがたまにあります」
※本記事では、プライバシーに配慮して取材内容に脚色を加えています。
取材・文/星子 編集/根橋明日美 イメージ写真/PIXTA
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