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日本では半数以上の夫婦が陥っているといわれるセックスレス。飲料メーカーで広報として働くつぐみさん(仮名・48歳)は、夫との死別後およそ10年、性交渉とは無縁の生活を送っているそう。夫の和明さん(享年40歳)が急逝した当時10歳だった息子は、いまでは20歳の大学生。「高校時代から4年間付き合っている彼女とまだ性交渉がない」と聞き安心する反面、驚きを隠せなかったといいます。
「夫は40歳になった夏、脳卒中で急死しました。働き盛りだった彼は元気に出張へ出かけたのですが、滞在先のホテルで頭痛を訴えて救急搬送され、そのまま無言の帰宅となりました。当時の私は、あまりに突然のことで現実を受け止められず、精神的に病んでしまいました」
仕事を半年間休職し、精神科に通院していたというつぐみさん。夫の和明さんの死後しばらくは、歯科医院を営む義実家のそばのマンションに暮らしていたといいます。
「何から何まで義父母に助けてもらいました。彼らはプロテスタントのクリスチャンで、大切な末息子を失ったばかりなのにとても気丈でした。また、小さい頃からパパっ子で泣く余裕もなくぼう然としていた小学生の息子のことも何かと気にかけてくれて、教会の日曜学校へ誘ってくれました。私もいつのころからか日曜日は礼拝に通うようになりました」
マンションを引き払って神奈川の実家へ戻った後も、精神科への通院と教会通いは続けたそうです。
「夫の死後、彼が職場を通じて複数の保険に加入していたことを知りました。それに加えて、当時はまだ現役の会社員だった実父や、歯科医師である義父母の援助もあり、息子は東京のミッション系大学付属中学を受験して入学することができました」
その後の10年間で、つぐみさんは、2人で食事デートをする関係の男友達に何人か出会ったそうですが、恋愛には発展しなかったといいます。
「40代前半はふと寂しくなる時期があり、バツイチの高校からの男友達や、離婚したばかりの上司など、お互い励まし合う茶飲み友達のような男性はできました。息子には『ママにだってデートする相手くらいいるんだから』なんて見栄で言っていますが、正直に言えば性的な関係はありません」
仲が深まらない理由は「簡単に言うと年のせい」と話します。
「男友達も上司も旅行に誘ってくれたことがありましたが、『いや、私はお腹も出てるし胸もたれているし、なんか疲れそう』と思ってやんわりお断りしました。その後は深追いせずに“飯友”でいてくれます。高校からの男友達のほうは『もう女性との交際は一生なくていい。娘が命』と言っていますが、上司のほうはまだまだ現役な雰囲気なので、彼に彼女ができたら2人でご飯に行くことはやめようと思っています」
そんなつぐみさんには、教会のボランティア活動を通じて知り合ったシングルファーザーの男友達がいるそうです。その男性の娘さんは、息子の渚くん(20歳)の高校時代からの彼女なんだとか。
「息子は冗談で『彼女のパパとだけは結婚しないで。昔の少女漫画みたいな、禁断の関係になっちゃう』なんて言って笑っています。そのパパさんと私はお互い『ないない』と苦笑いしていますが、気持ちのいい性格の方なので、親族としてなら大歓迎。彼女もいい子なので叶うのなら息子と結婚してほしいです。でも自分の20歳の頃を思い出すと、『20歳から一度も別れずに結婚するのはなかなか難しいかな?』なんて考えてしまいます」
つぐみさんが驚いたのは、息子と彼女の恋愛観が、自身の20歳の頃とは大きく違っていたことでした。
「私自身は真面目な大学生でした。当時はWebデザイナーになりたくて、一生懸命勉強していました。そうはいっても大学でできた彼氏はいたので、19歳の頃から性交渉はありました。それでも、半年付き合ってからクリスマスに初めてお泊まりしたので、『私って真面目』とすら思っていたんです」
つぐみさんは「親に言うわけないか」と思いながらも、息子の渚くんに「彼女とどうなのよ。そうだ、スキーに誘いなよ。でも妊娠だけは気をつけてね」と軽いノリで聞いてみたそうです。
「そしたら、すごく嫌そうな顔で『妊娠するようなこと、してねー。そういう絡み方だるいし、肉体関係はまだ重い。責任持てない』と言ってきたんです。さらに、彼女とおそろいの指輪をしているのですが、それがピュリティリングという指輪らしくて、検索したら一般的には『婚前交渉を控える意思を示す指輪』だとか。私も教会には通っていましたが、息子と違って洗礼は受けていないので、その温度感はまったくわかりませんでした」
つぐみさんは、息子の信仰心や恋人との関係には、基本的に口を出さない主義だそう。
「センシティブな話だと思うので、私としては『どーなってんの、彼女と?』とひじでつついて、『うるせーな、関係ねーだろ』という平成の親子みたいなやり取りを想像していました。ところが、めちゃくちゃ真面目に返されてしまって……。思わず『あんたはいいだろうけど、それで彼女はいいわけ? 若いんだから不満なんじゃない』といらないことを言ってしまいました。そこで初めて『うるせーな、関係ねーだろ』をいただきました」
華やかな雰囲気の彼女が「私って魅力ないの?」と悩まないだろうか、と心配しているというつぐみさん。
「そうはいっても今は時代が違いますからね。若い人のことは若い人に任せるしかないんでしょうね。私としては、真面目すぎる息子が奥手すぎて、かわいい彼女に振られてしまうのはしのびないのですが……」
ただ最近、中高校時代の女友達に会ったとき、「あんたも昔『処女で死んだら妖精になるらしいからみんなで妖精になろうぜ』って言ってたじゃん」と言われたそう。
「それは高校時代だし、私はたまたま女子校で高校までは奥手だっただけですが、そういう面で息子とまったく似ていないこともないのかもしれません。青春は一度きりですからね。なんにせよ、悔いのないように過ごしてほしいです」
※本記事では、プライバシーに配慮して取材内容に脚色を加えています。
取材・文/星子 編集/根橋明日美 イメージ写真/PIXTA
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