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【セックスレス AND THE CITY -女たちの告白-】「事実婚でもセックスレス」の45歳カップルが別れないワケ

日本では、半数以上の夫婦が陥っているとされるセックスレス問題。家族になるとともにときめきが失われるという説もありますが、幼児教室で英語講師を務める凛子さん(仮名、45歳)は「事実婚でもセックスレス」という状況に直面しているそう。パートナーであるライターの純一さん(仮名、45歳)との仲は良好ですが、入籍することも性交渉を持つことも「なんとなくめんどくさい」と感じているようです。

■お嬢様とお坊ちゃまの「障害ゼロの恋」

「パートナーの純一は、私が大学1年生の時に出会った初めての彼氏。お互い同じ大学系列の女子校と男子校からエスカレーター式に入学して出会いました」。
2人が高校生だった’90年代半ば、東京のお坊ちゃま系男子校はティーンファッション誌でもてはやされ、そのスクールバッグを持つことが女子高生のトレンドになるほど。純一さんも仲間と読者モデルとして雑誌に登場したことがあり、凛子さんから見てやや派手な印象があったそう。
凛子さんは対照的に小柄で黒髪ロングのお嬢様風。ピアノやバイオリン、バレエを習っている少女でしたが、実は下町育ちの江戸っ子気質。

「大学時代の彼は、スタイルが良くおしゃれな男子でしたが『黙っていればモテるのに』と言われるタイプ。突然自転車で日本一周の旅に出たり、誰にも言わずにインドに行って剃髪して帰ってくるような、素っ頓狂な性格です」。
2人は猫の世話をするサークルで仲を深め、交際を始めました。2人の関係には何の障害もなく、互いの両親同士もママ友やパパ友のような関係になったそうです。
「なぜ四半世紀以上も籍を入れていないのに関係が続いているのかと問われても、たいした理由はありません。お互いに極度のめんどくさがりで、なおかつ好きなことにのめり込んで飛び回ってしまうタイプ。現状には満足している、としか説明できません。2人とも3人きょうだいの末っ子なので、甘やかされてやりたい放題だったのかも。親は30歳くらいまでは結婚を勧めてきましたが、今は『自立していれば何でもいい』と諦めています」。

■留学中に他の男性に惹かれるも腐れ縁は切れず

大学在学中に教員免許を取得した凛子さんは、卒業後にオーストラリアの大学に留学して幼児教育を学びます。
「実質的には別れていた4年間でした。彼はその間、実家のスネをかじってカフェを開いたり、バックパッカーになってカメラマンを名乗ったりしていたようです」。
留学中の凛子さんにはインドネシア人のボーイフレンドができますが、帰国とともに自然消滅。
「留学中も純一とは連絡を取り合っていました。彼はパトロンのような年上の女性と交際していたようでした。お互い違う人と付き合って、大人になってまた東京で再会したという感じですね」。

凛子さんは帰国後に大手教育系企業に就職。仕事は充実していましたが、体を壊したことをきっかけに退職し、40歳で幼児教育の道に進みます。純一さんとはオンオフを繰り返していましたが、凛子さんが卵巣のう腫の手術をした40歳の頃から同棲を始め、現在は事実婚状態。離れた時も再び交際する時も「別れよう」「付き合おう」という言葉はなかったと凛子さんは振り返ります。
「私に彼氏ができて離れたこともありましたが、たいていは純一のほうがフッといなくなって、いつも『ただいま』ってバツの悪そうな顔でうちに転がり込んでくるパターン。とはいえ彼もお金がないわけではないので、40歳までは自分のマンションもキープしつつ週末同棲をしていました」。

■復縁するたびにセックスは盛り上がっていたけれど…

20代後半からはウェブメディアで契約社員としてウェブディレクターをしながら、副業でフリーランスライターをしていたという純一さん。30代に1度、40代でも1度、彼から「籍を入れたかったら入れるよ」と言われたことはあるそうですが、凛子さんとしては特にメリットが浮かばず「このままでもよい」と答えていたそうです。
「籍を入れてもたぶん当時の彼は子供のような自由人だったと思うので。親に頼らなくてもじゅうぶん一人暮らしができる程度の収入はありますが、フラッとベトナムやラオスに行っちゃうような余裕があるのは、きっと親に譲られたものがあるからですね。『親はいつまでも元気じゃないよ』と説教したい気持ちになったこともありましたが、サラリーマンのうちの父と違って、彼の家は何代も続く資産家なのでピンとこないんだと思います」。

そんな2人の性交渉は、何度かのレスと復活を繰り返してきたそう。
「付き合い始めの頃はもちろん頻度が高かったんですが、大学を卒業するころにはすでにレス。距離を置いて復活した後だけ少し盛り上がるというのを繰り返し、40歳を過ぎたあたりから完全になくなりました」。
2人とも旅行が好きですが、凛子さんはオーストラリアやニュージーランド、純一さんは東南アジアと趣味が違うため、いつも完全に別行動。
「2人ともそれぞれが『船であり港でもある』みたいな感じで、仲はいいんですよ。でも女友達には『完全に腐れ縁』と言われていますし、本人たちも20代の頃は『気がついたらお互いに違う人と結婚してそう』なんて言い合っていました。最近やっと、このまま2人で老いていく未来がうっすら見えてきました」。

■アラフィフになってようやく大人に?

子供や動物は好きだけれど自分の子供を持つことには興味がない、結婚願望がない、仕事が好き、旅行が好き、ひとところに落ち着かない、引っ越しが好き、ペットの柴犬を溺愛、肉が好きで魚が苦手、極度のめんどくさがり屋のくせに慣れた環境には執着する、など「魂の双子」のように共通点が多いという凛子さんと純一さん。
「彼もたぶん、20代、30代は旅先とかいろいろなところで恋をしたんじゃないかな。私も留学中はもちろん、20代には試しに地元の男友達と付き合ってみたこともあります。ただその彼は話が全然合わなくてダメでした。30代は職場のおじさん達にちょくちょくサシ飲みに誘われましたが、不倫はめんどくさいので飲み仲間止まりでしたし」。

やはり純一さんしかいない、というより、消去法で気がついたら純一さんが隣にいたという凛子さん。アラフィフに差し掛かった最近では海外を飛び回る体力も喪失しつつあり、ようやくともに過ごす時間が増えた2人。ペットOKのマンションでは2匹の犬を飼っており、保護犬の預かりボランティアも一緒に行っているそう。
「最近、彼が『籍を入れる?』と言い出して、私も『そうだね、親も年だし時間があったら行ってこようか』なんて言っていますけど。アラフィフになってやっと大人になったのかな。でも下手したら時間ができるのは定年後、なんてこともあり得そうです」。
純一さんから、お互いにまったく興味がなかったハワイに「新婚旅行であえて行ってみようか」と言われたという凛子さん。「私たちは何かイベントがあるとにわかにレスが解消する傾向があるので、定年後にハワイで最後のレス解消、なんてこともあるかもしれないですね」と、気ままな老後に期待を寄せていました。

 

※本記事では、プライバシーに配慮して取材内容に脚色を加えています。

取材・文/星子 編集/根橋明日美 イメージ写真/PIXTA

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