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主に30代から40代にかけて気になりだす白髪。ヘアセットをしている時にちらっと白く光る髪を発見したり、急に増えた白髪に気づいてショックを受けたことがある方も多いのでは?今回は白髪ができる原因から、これ以上増やさないために日常生活の中で取り入れられる予防や対策法、「抜くのはダメ?」といった細かすぎる(!)Q&Aまで、30代40代女性が気になる白髪にまつわる疑問を皮膚科専門のドクターに教えていただきました。

あまり知られていませんが、実は生え初めの髪の毛は全て「白髪」なんです!
髪の毛の毛根には、シミのメカニズムでもよく知られている「メラノサイト」というメラニン(肌や毛髪、瞳の色を構成する黒色のもととなる色素のこと)を作り出す細胞が存在します。髪が作り出される際に、このメラノサイトで作り出されたメラニンが髪に供給されることで黒髪になります。反対に、メラニン色素を取り込めない場合は白髪のまま、という仕組みになっています。
ちなみに、黒や茶色のメラニン色素を多く含んでいる髪は黒髪に、少ししか取り込んでいない場合はブロンド、全く取り込めなかった場合は白髪になります。

皮膚科専門医。東京大学大学院医学系研究科卒業(医学博士)。ニューヨーク州医師免許を取得し、2014年からニューヨークのロックフェラー大学皮膚科で診療、研究。2016年、東京大学医学部附属病院皮膚科助教。2018年に池袋駅前のだ皮膚科を開業。Instagram(@dr_shinji_noda)でも皮膚に役立つ情報を配信している。
一般的に、白髪が生え始める平均的な年齢は男女ともに35歳を過ぎた頃から。これより低年齢での白髪はいわゆる「若白髪」と呼ばれるもので、最近では10代〜20代で白髪になる方も増えています。ちなみに、若白髪も加齢による白髪も、白髪になるメカニズムは全く同じです。

多くの方が悩まされている白髪。最も大きな原因は加齢や遺伝的要因などと言われていますが、実は日常生活のちょっとしたことが原因の場合も。ここでは、白髪の原因として考えられる11個の要因を詳しく見ていきましょう。
白髪ができる圧倒的な原因は加齢です。年を重ねるごとに、毛根に存在するメラノサイトの働きが悪くなりメラニン色素を生成する働きも低下。そのため、新しく生えてきた髪が十分なメラニン色素を取り込めなくなり、白髪になってしまいます。
特に若い年齢でできる白髪は遺伝が大きいと言われています。白髪そのものが遺伝するというより、メラニン色素を作りにくかったり、作ってもメラノサイトが髪に供給できないといった体質が遺伝すると言われています。
若白髪に悩む方で両親も若白髪になった経験がある場合は、遺伝によってメラニン色素が髪に取り込まれにくい体質であることが考えられます。
体と同様に髪の健康を保つためにも栄養が必要。ダイエットや偏った食事などで栄養不足になると、メラニン色素を作るために必要な栄養素が足りなくなって白髪になるケースも。
ストレスが溜まると交感神経の働きが増し、白髪の原因になる場合があるという研究結果があります。交感神経の働きが強くなるとノルアドレナリン(脳内で神経伝達物質として分泌されるもので、恐怖や怒り、不安などの精神的な作用に関わる)がより多く作られ、過剰なノルアドレナリンによってメラニンを作る細胞が減ってしまう場合があるからです。また、ストレスで活性酸素が増えると、色素細胞を生み出すのに必要なメラノサイトにまで十分な栄養が行き渡らず、白髪になってしまうことも。
栄養は血液によって運ばれるため、血流が悪くなると体の隅々にまで栄養を送り届けることができなくなります。加齢によって血管の内腔(ないこう:血管の内側の空間のこと)が狭くなったり、血流が余計に悪化しやすいのです。
体や髪の毛の成長に関わる成長ホルモンは、睡眠中に最も分泌されると考えられています。睡眠不足により成長ホルモンの分泌が阻害されると細胞のダメージが蓄積してしまい、細胞の一種であるメラノサイトの活動も低下させてしまう可能性があります。

紫外線は肌にダメージを与えるのみならず、白髪をつくる原因になります。太陽光に含まれる紫外線は、肌の細胞や機能を壊してしまうほど強いダメージを与えるため、発毛機能の低下やメラノサイトの老化などを引き起こします。
こうした頭皮へのダメージは白髪のみならず、薄毛や髪が傷む原因にもなります。
主にタンパク質で構成されている髪の毛。塩素が含まれる水道水で洗い続けると、タンパク質が塩素により破壊され、髪の毛の表面を守ってくれているキューティクルが剥がれて髪の毛が傷んでしまいます。さらに頭皮の乾燥も引き起こすため、頭皮環境が悪くなり、白髪の一因に。
喫煙は多くの病気のリスクを高めると言われていますが、実は白髪の増加にも影響が。タバコに含まれる多数の有害物質が毛根にあるメラノサイトにダメージを与え、髪が白くなることがあります。また、髪の栄養素の吸収も妨げるため、髪自体の健康を損なうことも。さらに、タバコに含まれる有害物質の代表例・ニコチンには血管を収縮させる作用があるため、喫煙をすると頭皮の血行が悪化。髪の毛に必要な栄養素が十分に供給されなくなり、白髪の発生につながります。
もはやスマホやパソコンは現代人にとって欠かせないツールですが、長時間使用すると眼精疲労を引き起こしたり、眼球付近の筋肉が凝り固まって毛細血管の血流が滞ることで、疲労物質や老廃物を蓄積させてしまいます。そうすると頭部の筋肉も凝り固まって血行不良となり、メラノサイトに十分な栄養を届けることができなくなるのです。
白髪になる原因は様々ですが、じつは病気が原因であることも少なくありません。例えば円形脱毛症の場合、回復する過程で白髪が生えてくる場合があります。これは髪の毛を作る毛母細胞(毛根の下のほうにある細胞)が回復している一方で、メラニン色素を作り出すメラノサイトから正常にメラニンを受け取れない状態で毛が生えてきたためです。また、尋常性白斑が頭にできるとその部分の色素が抜け、白髪になってしまうこともあります。

髪の分け目や後頭部など、いつも同じところに白髪が生えている気がしませんか?実は、それにはきちんとした理由があることも。白髪ができる代表的な箇所とその理由を知れば、自分の白髪の原因がわかるかもしれません。
頭頂部や分け目に白髪が多いのは紫外線が原因かも。どうしてもこの部分は直射日光が当たりやすく、紫外線により活性酸素が発生して白髪になりやすいのです。髪にも使用できる日焼け止めスプレーで保護するなど、お肌だけでなく頭髪にも紫外線対策をしましょう。
生え際に集中して生える白髪は、眼精疲労が原因の可能性があります。目の疲れが溜まると、おでこやこめかみの筋肉が緊張状態に陥って血液の流れが悪くなり、十分な栄養が頭皮に送られないことで白髪が増えやすくなります。デスクワークで長時間パソコンを使っている人やスマホを手放せない人は要注意。
後頭部には生殖器系のツボがあるため、ここに白髪が多い方は生理不順や婦人科系、自律神経に支障をきたしている可能性があります。また、寝ている間に枕と頭皮が擦れて、その刺激が原因となっている場合も。枕と頭皮の摩擦は白髪だけでなく髪のツヤなどにも影響が。摩擦の少ないシルクの枕カバーなどに変えてみることをおすすめします。
これまでご紹介してきたように、白髪には様々な原因が考えられます。残念ながら加齢や遺伝による白髪には明確な治療法などはありませんが、生活習慣の改善やケアを行うことで白髪の発生を遅らせたり、白髪の量を減らせる可能性も。ここでは日常生活の中でできる予防・対策方法を7つご紹介します。

まずおすすめしたいのは、血流をアップさせる頭皮マッサージ。新しい髪が生えてくる環境がよくなると、白髪だけでなく薄毛やうねりなどの髪悩みにも効果的です。
頭皮ケアと併せて活用したいのが、頭皮用美容液。頭皮用のアイテムといえば、育毛剤など男性が使うものというイメージがありますが、最近では化粧品メーカーからも女性を対象とした頭皮用美容液が多く販売されています。中には、女性のホルモンバランスを考慮に入れながら血流を促したり、メラノサイトに働きかけたりする機能を持つものまで!気になる髪のお悩みに合わせてアイテムを選び、日々のヘアケアに取り入れてみてはいかがでしょうか。
心臓よりも上にある頭にはもともと血液が届きにくく、食事から栄養をきちんと摂取していても頭皮まで行き渡らず、白髪が生えてしまうことも。生活習慣が乱れている場合はさらに要注意。自律神経が不安定になり、筋肉が強ばった状態になるため血行不良が起きやすくなってしまいます。
湯船に浸かったりマッサージを行ったりして体全体の血行を良くし、頭皮の血行不良を改善させましょう。

白髪の原因の一つに、メラニン色素の生成に必要な栄養素が不足していることが挙げられます。メラニン色素は髪の色を決定する物質であり、銅や亜鉛などの栄養素が必要。牡蠣などの魚介類やレバー、ナッツ、大豆製品に多く含まれるので、これらを食事に取り入れるのがおすすめ。また、黒い食材(黒ゴマ、海苔、黒豆、わかめ、ひじき等)も白髪の改善に良いと言われています。
栄養バランスの良い食事が一番ですが、中でもタンパク質やビタミンB群などの栄養素は特に白髪に必要なものなので、肉・魚・野菜・種実類・発酵食品は積極的に摂取するようにしましょう。
白髪の予防に効果的な食材がある一方で、過剰に摂取すると白髪の原因になる食品もあります。糖質が多い食品や過度な塩分、アルコールやカフェインの過剰摂取は、酸化ストレスを増加させると言われています。酸化ストレスはメラニン色素の生成に必要な栄養素を消費してしまうため、白髪になる恐れが。さらにアルコールは、メラニン色素の生成に必要な栄養素の一つであるビタミンB12の吸収を妨げることが知られています。
ストレスが溜まると活性酸素が増えて白髪の原因となります。活性酸素は、呼吸により体内に入った酸素の一部が活発化して、細胞の機能や増殖にダメージを与えることで発生します。また、ストレスを感じると交感神経が優位になり、血管の収縮を引き起こします。活性酸素の影響を受けたり血管が収縮したりすると、色素細胞を生み出すのに必要なメラノサイトにまで栄養が行き渡らず、白髪になってしまったり、健康的な髪の毛が生えてこなくなってしまう場合もあります。白髪を改善するにはストレスを緩和することが大切です。
白髪の予防には運動も有効だと言われています。一つ目の理由は、体を動かすことでストレスを発散させられること。二番目に、運動をすると代謝が上がり、血流が良くなるからです。白髪は髪への栄養不足が関係しているので、血流が良くなることで髪へ栄養を届けやすくなり、白髪を予防することができます。
白髪に関する明確な予防法や治療法は未だ研究段階であり、まだ世間では知られていないことも多いのが現状。ここからはアラフォー世代が気になる白髪にまつわる素朴な疑問を、Q&A形式で確認していきましょう。

髪の毛を無理に抜くことは毛穴や毛根を傷つける恐れもあることから、次に生える髪にダメージを与えないためにもおすすめしません。また、毛穴や毛根の傷を修復するために多くのエネルギーをとられメラノサイトの活性にまで力が及ばず、逆に白髪が増える可能性もあります。ちらっと見え隠れする白髪が気になる方は、抜くよりもカットすることをおすすめします。
白髪になる原因であるメラノサイト機能の低下には、一時的に休止しているケースと完全に停止してしまっているケースがあります。完全に停止している場合は、残念ながら黒い髪に回復することはありませんが、一時的に休止しているだけであれば、メラノサイトが再び活動し始めれば黒髪に戻ることが可能と言えます。
髪を染めること自体が直接白髪の増加に関係があるとは言えません。しかし、カラー剤に含まれる成分の中には髪にも頭皮にも強い刺激となるものもあり、使用すると髪の内部のタンパク質や脂質が抜けて髪にツヤがなくなり、白髪が目立つことがあるかもしれません。また、白髪の量が増えて来ると同時に髪にコシがなくなることが多く、特に分け目に生える白髪が非常に目立ってしまうこともあります。
産後の脱毛はホルモンバランスの変化によって多くの方に起きる現象ですが、妊娠期や出産後に白髪が増えるということはありません。あるとすれば、妊娠・出産で一時的に身体に負荷がかかることや、出産後のストレス・栄養不足、高齢出産など、ホルモンバランスとは別の理由によるものでしょう。

直接的には関係ないと言われています。更年期の症状が出る時期と加齢による白髪が生え始める(増え始める)時期が重複していることもあり、更年期の時期に白髪が気になりだす方が多いのかもしれません。
同じ「毛」なので原因は頭髪と同じです。特に最近はデリケートゾーンの脱毛をする方も増えていますが、医療レーザー脱毛は黒い毛には効果があるものの、白髪に対しては脱毛効果を得られないので、白髪ができる前に施術を受ける必要があります。
現状、白髪の治療法として「これです!」と断言できるものはありません。皮膚科では薄毛のお悩みで治療される方が多く、美容皮膚科でのシワ・たるみ治療などでも使われているPRP療法が適用となります。これは自分自身の血液中にある成長因子を注入して頭皮の状態を良好に戻す方法ですが、白髪の治療として使われるわけではありません。この治療を行うことで白髪に対して明確に効果があるとは言えませんが、髪の毛を元気にすることで白髪の改善につながるかもしれません。
せっかくメイクが素敵にキマっていても、髪の毛に白髪を見つけてしまうとそれだけでテンションが下がってしまいがち。以前よりも白髪が増えたなと感じたら、これ以上増やさないためにも、まずは白髪が増える悪習慣をしていないか考えてみて。白髪に明確な治療法はないため、日々の生活習慣やお手入れ方法など、地道にできる予防対策をしていきましょう。
写真提供/PIXTA 取材/本荘衣理佳 編集/永見 理
※写真はすべてイメージカットです。
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