HEALTH

第6回 「茄子」

毎日のように野菜を見て、触って、感じた事実を基に、独自の野菜の見方・食べ方を確立してきた内田 悟さん。これまでの常識を覆すような、新たな野菜の魅力に出合える連載です。第6回のテーマは、走りの「茄子」です。

 

[茄子] 出荷量の最も多い「千両なす」(写真)のほか、200近くの品種がある。南の茄子は長く細く、北の茄子は丸く小ぶりな傾向があるものの、性質的には、みな同じ。暑さに強く、寒さに弱いため、冷蔵保存には向かず、油との相性は抜群。走りは水分が多く、皮が薄くて柔らかいので、揚げ物、炒め物、天ぷらが美味しい。名残りは水分が減り皮が張ってくるので、煮物、焼き物に向く。盛りはどう料理して食べても美味!

 

茄子の目利きどころ

 

 

ひと振りの塩で水分と
一緒にアクを出す
塩を振り1~2分おくだけで、水けが出てくるので、それを拭き取ってから油調理を。このひと手間でよりクリアな美味しさになる。
 

揚げても煮込んでも
トロリと旨い茄子で
暑い夏を乗り切る

 

 体をおだやかに冷やしてくれる茄子は、夏こそ積極的に食べたい野菜。深い紫色の成分は、天然色素アントシアニンで、その強力な抗酸化作用が細胞の老化を防ぐのに役立ちます。

「茄子を美味しく食べるコツは、走り、盛り、名残りで、切り方や調理法を変えていくこと。走りは油調理、名残りは、焼き茄子や煮物がおすすめです。今回作った揚げびたしは、皮が薄く実が柔らかい、走りの茄子にピッタリ。さっと油で揚げることで、水分が飛び、凝縮した旨みを閉じ込めることができます。酢を使ったマリネ液に漬けてもいいのですが、今回はトマトと青唐辛子で、スッキリ爽やかに仕上げてみました。まずはよく冷やして食べて、残ったらピザにのせたり、チーズをかけて焼くのもおすすめです。」

「もうひとつの料理、スープは、煮込むと繊維がほぐれてクリーミーになる茄子に、とうもろこしの甘みをプラスしたもの。茄子らしい風味が増す、盛りから名残りの茄子で作ってみてください」

1955年、北海道生まれ。2005年にレストラン専門青果店「築地御厨」創業。本業のかたわら、2007年より一般消費者を対象に「やさい塾」を開講。http://www.yasaijyuku.com

 

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第6回 「茄子」

2025年1月号

2024年11月15日発売

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