HEALTH

第1回 「トマト」

毎日のように野菜を見て、触って、感じた事実を基に、独自の野菜の見方・食べ方を確立してきた内田 悟さん。これまでの常識を覆すような、新たな野菜の魅力に触れられる新連載です。第1回の今回は、拡大版でお届けします!

 いろんな野菜が手に入る今だからこそ、「旬」を知ることから始めよう

スーパーに行けば、いつでも色とりどりの野菜がズラリと並んでいる今の時代。オーガニックや無農薬、○○さんの野菜、糖度を上げた高価なもの、新種の野菜もたくさんあります。でも、内田さんが最も大切にしているのは、「旬」。

「野菜自身の植生に合った時季、つまり旬に育つ野菜は、順調に細胞分裂をくり返し無理なく育っているので、見た目も味わいも素直。その健やかで力強い生命力こそが、美味しさの源なんだと僕は思います。

旬の野菜は栄養も豊かなはずですが、そんな机上の知識よりも自分自身の感覚を大切にしてほしい。五感を駆使して、野菜と付き合ってみてください。きっと想像以上の美味しさで応えてくれますよ。毎日の食卓で、旬の野菜を味わいながら、『美味しいね、そんな季節だね』と笑顔で語らうことができれば、それが何よりの食育です」

 

 

旬の野菜の「美しさ」は美味しさの目印です

「僕が『やさい塾』で必ず伝えているのが、野菜の目利きの仕方。野菜売場で目当ての野菜を見つけたら、まずは手に取り、その形や色、大きさ、模様などをじっくりと観察してみて。上の8つのポイントのどれかに当てはまっていれば、それは『無理なく健やかに育った、生命力の強い』野菜です。ただし、これはあくまでヒント。自分の五感をフルに働かせて、美味しい野菜を見つけてください」



第1回「トマト」
旬のトマトは変幻自在。フトコロの深さはまるで宇宙のよう!>>

 

旬のトマトは変幻自在。フトコロの深さはまるで宇宙のよう!

 

[トマト] 原産地は、乾燥して朝晩の寒暖差が激しい南米・アンデスの山岳地帯。だから高温多湿の日本の梅雨や夏は苦手で、原産地の気候に近い条件で栽培したトマト(晩秋に苗を植え春に実るもの、北海道の秋採れ)は、旨みも香りも濃厚。日本で最もポピュラーな品種は写真上の「桃太郎」。甘みが強く酸味は適度で、締まった果肉は生食から加熱調理まで幅広い使い方ができる。

 

トマトの目利きどころ

 

生、焼き、煮込んでも美味しい。
旬のトマトを食べ尽くそう

切り方によっても 味は大きく変わる! 料理にもよりますが、皮が薄く水分の多い「走り」は縦切り、皮が張って水が切れてくる「名残り」は輪切 りや湯むきが美味。よく切れる包丁を引くようにして、スパッと切って。 切れない包丁は細胞を潰し、アクが出て味わいが悪くなります。

「トマトの品種は8千種類以上もあると
いわれていますが、それは品種改良をく
り返しながら、世界の風土に適合してい
った結果。

ただ、姿形は変わっても、故郷の気候や風土を忘れることはないんです。日本でいえば、春になって寒さが緩み始めるころがいちばん心地よく、無理なく自然に、健やかに育つことができる。

だから、美味しくなる。これこそが〝旬〞でしょう。とはいえ、夏のトマトがダメっていうわけじゃありませんよ。少し酸味が強めだけれど、煮込んで甘みを引き出してやれば、とても美味しくなる。

そんなふうに旬とそれ以外の味の違いを見極めて、食べ方を考えるのも、野菜の面白さだと思います」

 

1955年、北海道生まれ。2005 年にレストラン専門青果店「築 地御厨」創業。本業のかたわ ら、2007年より一般消費者を 対象に「やさい塾」を開講。http: //www.yasaijyuku.com

 

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第1回 「トマト」

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